「租税条約における届出書」に関する、提出まで、及び提出後の手順について
拝啓、租税条約に関する届出書(以下、届出書)の提出・運用の手順を知りたく、投稿いたします。
現在の状況としておおまかに並べます
①フリーランスの写真業
②ほぼ100%日本国外で写真を撮影(ただし取引先は全て日本)
③日本の住民票は抜いていないものの、現地の長期居住許可を取得済み(ただし、現地での自営業登録はしていない)
④全て日本源泉所得なので日本で確定申告(届出書は提出しておらず、現地でも現地会計士のアドバイスもあり現地での確定申告も行ってきた)
⑤各種手続き(取引先との契約、支払調書、保険等の事務手続き的なもの含め)は日本の住所で行っている
⑥現在の申告方法は白色申告(登録はしていませんが、家人が代理人として申告作業)
⑦PEについては、日本で税務署に質問・相談に行った際に状況を説明すると、事務手続き的なものを日本の住所で行っているのでそこを恒久的施設と認識できる、と回答を頂きました。ただし、現地国税務署の見解は、あなたの現状では、日本にPEがあるとは認め難いという事です(各国で基準が違うので、こちらの相違はさておき)
⑧日本の住民票はそのままで、各住民税は納入している
という感じです。(住民票の有無が、”税務上における非居住者”の定義とは別の話というのは日本の税務署で聞きましたので、今回の質問では割愛いたします)
色々調べたり税務署にも確認に行ってはいるのですが、届出書を提出した後、どのような手順を踏んでいくと現地の確定申告の際の減免措置を受けられるのかがハッキリ理解出来ませんでした。
以下の順番で、認識として間違っていないのかを知りたく。
(1)取引先から各税務署へ届出書を提出(現地国との条約に基づき10%となる←何%になるかは確認済み)
(2)日本で確定申告
(3)現地国へ、日本で届出書を出している旨を証明する書類を提出(←日本の税務所で発行?)
(4)現地国で確定申告((3)の書類を出していれば現地国の確定申告において減免措置がとられる)
という認識で合っているでしょうか、特に(3)のところが調べている中でハッキリと判る例に行き当たらなかったので、認識に誤りがあるのかと・・・もしも(3)の書類が(4)において減免措置を受けるために必須という事であれば、どのように取得を進めればいいのか、例がありましたらご教授頂ければありがたく存じます。
税理士の回答

土師弘之
「租税条約に関する届出書」は、源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払を受ける非居住者等が、日本において源泉徴収される所得税および復興特別所得税について、租税条約に基づき軽減または免除を受けようとする場合に、支払者(取引先)を通じて税務署に提出するものです。
つまり、租税条約の規定に基づき、「源泉所得税を軽減又は免除する」手続です。
一方、現地国で「外国税額控除」の適用を受けるために確定申告に必要な書類はこの届出書ではなく、「納税申告書(又は納税証明書)」、つまり、「所得税が課税されたことを証明する書類」のはずですので、減免を受けたかどうかは直接的には関係ないと思われます。
したがって、PEがあるために日本で確定申告を行っているのであれば、現地国で提出すべき書類は確定申告書及び納付書になると思われます。
もっとも、事業(写真)活動が日本国外であり現地国に居住しているのであれば、日本国内に事務所は必要ないと考えられ、単なる事務手続き的なものを日本の住所で行っているだけでは、日本国内に「恒久的施設」があるとは思えませんが。現地国税務署の方が正しいのではないかと思われます。
「恒久的施設」の定義として、国税庁のホームページに次のような説明があります。
「非居住者等の国内にある事業の管理を行う場所、支店、事務所、工場、作業場もしくは鉱山その他の天然資源を採取する場所またはその他事業を行う一定の場所。
非居住者等に属する物品もしくは商品またはそれらの在庫の保管、展示または引渡しのためのみに使用または保有する施設等については、それが非居住者等の事業の遂行上準備的または補助的な性格のものである場合は、上記に含まれません。」
つまり、「恒久的施設」であるためには、日本国内で事業活動をする必要があるということです。
土師様、
ご返答頂きありがとうございました。土師様のが現地国に出す書類として挙げられている”「納税申告書(又は納税証明書)」、つまり、「所得税が課税されたことを証明する書類」”とは、「源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税証明願」をもって発行される書類、ということで間違いないでしょうか。(前回書き込み後に継続して調べている時にみつけまして)
ご指摘を受ける前までは確定申告後に自身で取得できる「納税証明書(その2所得金額用)」(これを現地国にて公正翻訳したものを添付して提出していたのですが、一切考慮してもらえなかった)のことだと思っていたのですが、また別のものだということなんですね。
これについても土師様からの回答がある前にですが、自身で所轄税務署に確認したところ、「例えば租税条約に関する届出書を出してもらった取引先が5社あったなら、5社それぞれの納税証明書願いの手続きを行い発行してもらって、5社分の証明書を添付して現地国で確定申告」とのことでした。(余談ですが、その時に「多分、そうなると現地国で日本の居住証明書も求められるかも」とも、電話口でおっしゃっていました。)
租税条約届け出によって減免(軽減)を受けた源泉徴収をなされているのを、「源泉所得税の納税証明書願」によって証明する、ということであれば、(提出先や性格の違いは別として)この二つはセットで進めなければならないという事で、理解としては間違っていないでしょうか。
取引先の経理部門・担当者によって慣れ、不慣れもあると思うので、また各取引先に相談してみます。
PEの件は解釈の仕方がかなり幅広く感じますので、再度自身の所轄税務署、および現地国の税務署に確認いたします。(現地国の税務署は「貴殿の借りている(現地の)所(ホテル等ではありません)は控除対象認にならない」、と現地確定申告の際の控除対象にさせてくれないのですが、なぜか「PEが(現地国に)あるのだからこちらで確定申告の必要がある」と。控除対象にもならないようなPEって何?と、混乱しながら聞いていました)日本国内企業と取引を行うのは「日本国内での事業活動」と解釈していましたが、私のような場合だと国税庁の記述している「事業の遂行上準備的あたは補助的な性格のもの」が適用されるということですね(ここは所轄税務署員の見解とは違うところですが)。
一度落ち着いて整理してみます。返答が長くなってしまって申し訳ありませんでした。

土師弘之
「納税証明書(その2)」では、収入の内容・課税所得の種類がわからないので、これだけでは外国税額控除の証明書にはならなかったものと思われます。確定申告しているのであれば所得税の確定申告書も併せて必要となるはずです。
租税条約に基づく減免届出書は、あくまで国内法(所得税法)による源泉税率20.42%を10%などに減免するための届出書ですので、課税証明ではありませんし、減免を受けずに20.42%でいいのであれば、届ける必要もありません。
また、源泉徴収されたことの証明は、「源泉徴収に係る所得税及び復興特別所得税の納税証明願」を取引先に手続してもらう必要があります。
本投稿は、2022年07月18日 16時42分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。