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夫婦間の贈与税

夫婦間の贈与税について確認したいです。過去の相談内容も調べましたがよく分かりません。夫(夫の給与)の口座から400万円を妻の口座に移し、将来の学費のために定期を作りました。夫には口頭で伝えてますが、家計は妻の私が管理してます。この場合は都度必要な学費ではなく将来を見越しての貯金なので贈与税はかかるのでしょうか?もし、リスクがあるのであれば夫の口座に戻した方が良いですか?

婚姻後に発生したお金は共有財産なので問題なしと回答があるかと思えば、離婚時や相続時に問題になる場合もあるとあり、線引きが理解できません。

よろしくお願いします。

税理士の回答

とても大事な問題ですね。
「夫の給与から妻の口座に移した400万円が贈与税の対象になるか?」という点は、実務でもよく誤解が多いテーマです。整理してご説明しますね。

1. 贈与税の原則
・贈与税は「一方が財産をあげて、もう一方が自由に処分できる状態になった」場合に課税対象となります。
・夫婦であっても原則は適用されます。
 → 夫から妻へ財産を無償で移した場合は「夫から妻への贈与」となり得ます。

2. 夫婦間のお金の移動の実務的扱い
(1) 生活費・教育費・家計資金
・民法760条「夫婦の協力及び扶助の義務」に基づき、
 生活費や教育費としての資金移動は贈与ではなく、扶養義務の範囲と考えられています。
・よって「夫の給与を妻が管理して生活費や教育資金にあてる」こと自体は、贈与税の対象になりません。

(2) 将来の学費のための積立
・ご質問のケースは「生活費として即時に使う」わけではなく、妻名義の定期に積立している点が論点になります。
・実務上は、
 ・夫婦で共通の生活・教育費準備として積立している
 ・妻が管理しているだけで「妻の固有財産」と区別していない
  → このようなケースは、贈与税課税の対象には通常なりません。

3. 贈与と認定されるリスクがある場合
・「妻固有の財産」として扱われるような場合(夫に返す意思がない、妻だけが自由に使える形で明確に区分している)
・相続税の調査時に「夫の財産が妻名義に移されている」として、名義預金とみなされるケース
 → 贈与税ではなく「相続税計算上、夫の財産に戻される」という形で問題になることが多いです。

4. 夫婦の共有財産という考え方
・婚姻後に得た財産は「実質的には共有」とされることが多いですが、名義だけでは税務上の所有者は変わらないというのがポイントです。
・税務署は「誰の収入か?」で見るため、夫の給与はまず「夫の所得」となります。
・妻名義の預金にしても、証拠がなければ「夫の名義預金」と判断される可能性があります。

5. ご質問への結論
・今回の400万円の移動は「生活費・教育費準備の範囲」であり、通常は贈与税の課税対象にはなりません。
・ただし「妻の自由財産」として完全に切り離すと、将来の相続時に「夫の財産を妻名義に移しただけ=名義預金」として指摘される可能性があります。
・贈与税リスク回避のために「夫の口座に戻す」必要は通常ありません。
・ただし、相続対策や贈与対策を兼ねる場合は、**「贈与契約書」や「教育資金贈与非課税制度」**を活用するなど、明確に整理しておくとより安心です。

6. 実務アドバイス
・学費や生活費の積立であれば問題視されにくい。
・将来相続の時に「名義預金」とされないよう、**「夫からの生活費の一部を妻が管理している」**と説明できるようにしておくと良い。
・長期的に多額の資金を移す場合は、贈与契約や非課税制度の利用を検討。

✅ 結論
今回のケースは 贈与税の対象にはならない と考えて差し支えありません。
注意すべきは「相続時の名義預金問題」であり、そこを意識して「生活費・教育費準備の一環」と位置付けておくと安心です。

ご回答ありがとうございます。今回の定期は将来の為ではありますが、贈与税の対象外と理解出来ました。その上でまだ、分からない箇所があります。

①注意すべきは「相続時の名義預金問題」

と、ありますが、何が問題になるのでしょうか?仮に夫に先立たれ、この400万円をまだ使っていなかった場合はもともと夫のお金なので相続税の対象になるのが通常ではないのですか?それとも妻個人のお金で相続税とは関係ない場合があるのですか?


② 仮にこれから20年間毎年110万を贈与してもらったとします。そして、夫に先立たれたと仮定します。すると、初めの13年間は贈与税も相続税も関係なし。後半の7年は持ち戻しで相続税がかかるという認識で合ってますか?

③贈与税は6年、相続税は7年が対象ということですか?税務署は10年間の銀行記録を見れると聞いた事もあり、この辺りもはっきり理解できてません。

お忙しいとは思いますが、よろしくお願いします




とても良いご質問です。少し複雑な「名義預金」「贈与税と相続税の関係」について整理しますね。

① 名義預金問題とは?
・形式的に「妻名義の預金」でも、実態として 夫の収入を移しただけで妻が自由に使えない・管理していない場合、税務署は「夫の財産(名義預金)」と認定します。
・この場合、夫が亡くなれば「妻名義でも夫の財産」として相続税の課税対象になります。
👉 つまり「妻の固有財産」なのか「夫の財産を移しただけ」なのかが問題。
・ご質問の400万円も、夫の給与口座から妻口座に移しただけなら「夫の財産」とされやすい。
・一方、夫が「妻に贈与した」と明確に意思表示し、妻が自由に管理しているなら「妻の財産」として相続財産から外れる可能性があります。

② これから毎年110万円ずつ20年間贈与を受けた場合
・贈与税:基礎控除110万円以内なら課税なし。
・相続税:亡くなる前 7年以内の贈与は相続財産に持ち戻し(相続税法19条)。
👉 おっしゃる通り「最初の13年間の贈与」は相続税とは無関係、最後の7年間分だけ相続財産に加算されます。

③ 6年・7年・10年について
・6年:贈与税の時効までの年数です。
    仮に有効な贈与を毎年続けた場合に、後から税務署が気づいても更正することができません。
    ただし、脱税目的で贈与を隠すなど故意に申告しなかった場合には7年に延長されます。

・7年:相続税の生前贈与の相続財産への持ち戻し期間です。相続財産に加算されます。

・10年:税務署では銀行照会により10年分を入出金を見ることが多いです。
    目的は「過去の贈与が本当に贈与として成立しているか(贈与契約・贈与意思・通帳の管理実態)」を確認するため。
    7年超の贈与でも、贈与契約が曖昧なら「実は夫の名義預金だった」として相続財産に加えられる可能性があります。
    👉 ポイントは贈与と認められなければ贈与税の時効は成立しない、ということです。

✅ まとめ
1・名義預金問題とは「妻名義でも実質は夫の財産」として相続税対象になること。
  → 妻が自由に使える状態にして初めて「妻の財産」。
2.毎年110万円の贈与 → 贈与税なし。相続税に影響するのは死亡前3年分のみ。
3.6年は贈与税の時効の期間。7年は生前贈与の相続財産への持ち戻しの期間。10年は銀行照会の期間。

本投稿は、2025年08月27日 21時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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