債務超過の非公開株式の株の評価方法
要約
【債務超過の非公開株式の株の評価について】
弊社は非公開の株式会社かつ同族会社で税務上の中小企業です。
現状債務超過状態です(債務超過額=利益剰余金が▲1.5億円)。
繰越欠損はありません。
発行済株式4100株、額面1万円。
計資本金4100万円
その他純資産の部無しです。
株の配分は、会長1350株、社長(会長の弟)2000株、常務(社長姉)200株、専務(会長の息子)150株、部長(社外取締役)400株。
この度、弊社の税理士より、会長の持ち株を債務超過解消前に専務に贈与するよう提案がありました。ちなみに
債務超過は向こう3年程で解消する見込みです。
ただ、弊社税理士より今贈与するに当たり、贈与税が発生すると言われ戸惑っています。
実態及び実質債務超過中にも関わらず、弊社の株式について株の評価は出るのでしょうか?
弊社は特段、特許も特別な技術開発等は一切ありません。目ぼしい資産も存在しません。
そのような中で、株価を算定する必要はあるのでしょうか?
私は実態債務超過状態=株価0円と考えているので、このまま贈与して、納税無しで終わると思っていました。
更に、贈与税を納めるのが嫌なら、相続時精算課税制度で贈与してとも言われています。
ただ、会長は現金2000万程度、弊社の持ち株以外に他に資産はありません。
弊社会長の資産からいって相続時精算課税制度を使うメリットが分かりません。
長くなってしまいましたが聞きたいことは2つです。
①債務超過の中小企業の株式に評価はつくのか
②今会長の持ち株を専務に贈与して贈与税が発生するのか
③相続時精算課税制度を使うメリットがあるのか
の以上3点についてご回答お願い致します。
税理士の回答
取引相場のない株式の評価は、大会社、中会社、小会社に分類して評価します。しかし、純資産価額方式の評価額のほうが低い場合には、純資産価額を評価額とすることができます。
準資産価額方式評の評価額が0円であれば、贈与税は課税されません。
[参考]
No.4638 取引相場のない株式の評価
※ 東日本大震災により被害を受けた財産の相続税又は贈与税における評価方法等は、こちらをご覧ください。
[平成30年4月1日現在法令等]
取引相場のない株式(「上場株式」及び「気配相場等のある株式」以外の株式をいいます。)は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価します。
1 原則的評価方式
原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数、及び取引金額により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して、原則として次のような方法で評価をすることになっています。
(1) 大会社
大会社は、原則として、類似業種比準方式により評価します。類似業種比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する方法です。
なお、類似業種の業種目及び業種目別株価などは、国税庁ホームページで閲覧できます。
(2) 小会社
小会社は、原則として、純資産価額方式によって評価します。純資産価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する方法です。
(3) 中会社
中会社は、大会社と小会社の評価方法を併用して評価します。
①ご記載の文面から判断すると、株価は0円になると思います。
②株価は0円になると思いますので、贈与税は発生しないと考えられます。
③相続時精算課税を選択すると、その後暦年贈与は使えなくなりますので、ご記載の状況からメリットは余りないように感じます。
いずれにしましても顧問税理士に、株式評価の算定根拠を改めてご確認いただくことが必要かと思います。
山中先生、前田先生。
ご回答ありがとうございます。
お二方のご意見とても参考になります。
弊社顧問税理士に再度根拠を確認して参りたいと思います。
この度は本当にありがとうございました。
本投稿は、2019年06月17日 21時26分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。