おしどり贈与を利用する際、2000万円を超える部分を預金から出した場合について
結婚26年です。
この度、おしどり贈与を利用して、約3500万円(売値)のマンションを 妻名義で購入したいと考えています。
夫が2110万円を現金で出し、不足分の1390万円を妻名義の預金から現金で出したとすると、贈与税はかからないでしょうか?
もし、かからないとすれば、提出書類に、居住用不動産の登記事項証明書などが必要のようですが、妻が不足分をだしたという証明はどうすればよいでしょうか?
また、現金での申告ではなく、マンションの贈与とした場合、マンションの価格から2110万円を差し引いた1390万円を現金で妻が出した場合についても、贈与税がかからないでしょうか?
この場合、おしどり贈与を現金で行うのとマンションで行うのとどちらが良いのか、アドバイスをいただけると幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答
こんにちは。
まず、勘違いされている点について回答いたします。
おしどり贈与とは、贈与税の配偶者控除の特例のことですが、この控除額が2,000万円と暦年による贈与税の基礎控除が110万円あるので、2,110万円の枠が確保できるというものです。この点につきましては、相談者様のお考えのとおりで合っております。
ただ、勘違いと申し上げたのは、あくまでも贈与税の課税関係になりますので、不足分の1,390万円については特に関係ありません。従いまして、不足分を奥様が出したという証明は、贈与税申告については必要ありません。あくまでも、奥様がご主人様より幾ら贈与を受けたのか、についてのみ贈与税の申告書を作成し所轄税務署へ提出します。
次に、おしどり贈与を現金で行うのとマンションで行うのではどちらが良いかという件ですが、こちらについては、贈与のタイミングがマンション取得時かその付近である場合には、現金を贈与した方が良いのではないかと思います。その理由としましては、マンションで贈与を行う場合、一旦ご主人様と奥様の共有名義で登記をする必要があります。その後に奥様に贈与となるわけで、この場合2回の所有権移転登記がひつようとなり、経費が2倍になります。それはもったいないと思います。
ただし、マンション取得後数年経過してからということであれば話は違ってきます。マンション取得時は、総額3,500万円の時価ですが、数年後となりますと、相続税評価額を参考にした評価額で2,110万円の贈与が出来ます。時価よりも評価額の方が低いため、より多くの贈与が可能となります。ということは、3,500万円のご主人の出し分がもっと増えるということ、言い換えれば奥様の出金額は1,390万円より少なくなるということになります。
ただし、この場合現時点で評価額は不明ですので竹を割ったようにすっきりとした計算は難しいでしょう。
所有権を奥様単独にしたいということであれば、奥様に対して現金贈与が一番宜しいかと思います。
マンションの場合、敷地権というものも存在します。これの評価も厄介ですから、簡単なのは取得時の現金贈与ということになりますね。
後は気を付けて欲しいのは、必ず期限内に贈与税の申告をするということです。これを怠りますと、おしどり贈与の適用は無くなりますので、必ず期限内申告をお願いいたします。
後、注意して欲しいのは、婚姻期間を戸籍謄本で必ず確認する事と、マンションの完成引渡による入居日(住民票で確認)が贈与年とずれていない事ですね。ここは特に注意が必要です。
加えて、現金贈与の場合、2,110万円を奥様の口座に移動したら、遅滞なく、マンション購入費用に充当されていることが必要となります。変に定期預金とか他の預金に移動したりしないように注意して下さい。
基本的におしどり贈与はいわゆる「飴」です。当然、飴は甘いですから、その分厳しい判断も必要となります。
贈与税の申告をされた後に、税務署は申告内容について確認を行います。もしも税務署が疑問を持った場合は、ここで初めて奥様の資金、1,390万円についても確認する可能性はあります。俗にいう、名義預金とか過去の贈与について調べる可能性があります。この場合は、税務署に対して、奥様の口座の中身をお見せする(提示する)必要が生じます。でも、名義預金等でなく、奥様が働いて稼いだ預金であれば、問題はありません。
ご検討をお願いいたします。
この度は、とても丁寧にご指導をいただきありがとうございます。
わかりやすい説明がありがたく感謝しております。
そして、私は勉強不足でして、先生のご説明で「名義預金」というものを初めて知りました。
実は、今回の妻の預金と言いますのは、10~20年前、夫の仕事の業績が良い時に、生活費とは別に夫から妻へボーナスのような意味合いで、多く現金をいれたものを妻が使わずに預金にしていたものです。
それは、10年ほど続いておりましたので、結構な額となっていました。税についての知識不足で、夫婦間で契約書なども交わしておりませんでした。
このような預金ですので、おしどり贈与を利用するなら、妻は現金を出さず、すべて夫がだしてマンションを購入した方がよいでしょうか?
そして、この預金は、今後大きな問題になるのでは、と動揺しております。
ぜひ、先生のご意見をおきかせいただけないでしょうか?
何度も申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします。
こんにちは。
奥様が使わずに預金していたのは、定期預金のようなものでしょうか?
それとも、奥様の普通預金でしょうか?
もしも、定期預金として預けていたのであれば、正しく名義預金に該当する可能性が高いと思います。
たぶん、奥様が預け入れした預金ですから、定期預金であっても奥様の印鑑を使用していると思われますし、預入票の記載も奥様の自筆で記載されていると思います。
しかしながら、このような場合であっても名義預金として認定される可能性もあります。もし、名義預金として認定されれば、その預金をマンションの購入費用に充当した時点で奥様への贈与として認定される可能性が高く、多額の贈与税を納めることになります。
マンションの購入時期が迫ってきているのであれば、その奥様の預金は使わずにご主人の資金だけで購入し、そのうちの2,110万円を住宅取得資金として贈与しておくというのが一つの方法となるかと思います。
奥様が自力の稼ぎで預金を構築することが不可能と判断されるようであれば、積極的に奥様の預金をご主人が作成した奥様名義の名義預金として自己認定し、一旦その預金を解約してご主人の普通預金に入れて、マンションの購入資金に充当する方法もあります。この場合でも、マンション購入費用による配偶者への2,110万円贈与を使うことは可能かと思います。
しかしながら、日本では贈与税は一番高い税金と言われております。
可能でしたら、お近くの税理士事務所に相談されることが一番安心だと思います。
奥様の預金として、預入年月日、預入金額、それらが本日までにどのような動きをしてきているのかを調べて、相談されれば宜しいかと思います。
ここに記載したことは、ほんの一例ですから、実際に相談されれば、通帳等の現物を見ながら良い方向性を示してくれると思います。
ご検討をお願いいたします。
この度は、たくさん教えていただきありがとうございました。
ほとんどが定期預金として預けておりますので、目の前が真っ暗になりましたが、税理士事務所に相談すれば、とのアドバイスに少し明るい光が差しました。本当にありがとうございました。
本投稿は、2021年09月24日 16時21分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。