未成年の子供への土地の生前贈与について
いつも他の方の質問より勉強させていただいております。
相続税対策の為に、自分の農地を子供(8歳、10歳)に生前贈与しようと検討中です。
①義理の父の会社(株式会社)で駐車場が必要になった為、農地を子供に贈与してから、義父の会社のお金で農地転用をして、経費にできるのでしょうか?
②相場より高めの値段で借りていただこうと思っており、そうすると、扶養を超えてしまうのですが、未成年で扶養以上にもらっても確定申告すれば大丈夫なのでしょうか?
③ゆくゆくは会社の代表取締役を義父から子供に交代する予定ですが、自分の会社で自分の土地を借りてもよろしいのでしょうか?
専門家の皆様のご意見を頂戴したく、何卒よろしくお願い申し上げます。
税理士の回答

佐藤和樹
① 農地を未成年の子に贈与し、会社が転用費用を経費にできるか
【結論】
農地転用費用を義父の会社の経費とすることは、原則として困難です。
【理由】
• 農地の所有者が会社ではなく子供(第三者)であるため、会社が所有者以外の土地の転用費用を負担しても、法人税法上は「会社の経費」として認められない可能性が高いです。
• 税務上、会社の支出が経費(損金)になるには、「会社の業務に必要かつ、会社の資産または契約上の義務に関する支出であること」が必要です。
【補足】
• 仮に「会社が将来買い取る予定の土地」だとしても、契約上の義務が存在しない段階では資本的支出や寄附金扱い(損金不算入)になるおそれがあります。
• このようなスキームをとる場合は、土地の賃貸借契約と将来の買受権を明確に契約書に明記するなど、税務リスクへの備えが必要です。
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② 相場より高額な地代を子供が受け取った場合の税務・扶養関係
【結論】
未成年者でも扶養から外れ、所得税の申告が必要になる可能性があります。
【ポイント】
• 地代収入は「不動産所得」に分類されます。
• 所得税法上、扶養控除(親の税務上の扶養)に関しては、合計所得金額が48万円超で扶養対象から除外されます。
• さらに、子供の所得が一定額を超えると住民税・国保等の課税対象にもなります。
【申告義務】
• 年間地代収入から必要経費(固定資産税など)を差し引いた所得が48万円超えた場合は、未成年でも確定申告が必要です。
• 申告は親権者が代理で行います。
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③ 自分の会社で自分名義の土地を借りることの可否
【結論】
可能ですが、税務上の「適正時価」での賃貸借契約、法人と個人の利益相反管理が必要です。
【注意点】
• 法人から個人に支払う地代が過大だと、否認され「役員報酬(給与課税)」扱いされるおそれがあります。
• また、将来的にお子様が代表となる場合は、「親から子への経済的利益供与」が税務上問題視される可能性もあるため、契約は公正・適正に。
【対策】
• 賃料は地元の不動産鑑定士や税理士等の第三者評価に基づき、「時価相当」で設定。
• 賃貸借契約書を締結し、通帳振込など実態を明確に。
• 賃料は役員報酬とは別に「不動産賃貸料」として処理し、法人では経費・個人では不動産所得として課税。
ご丁寧な回答、心より感謝申し上げます。
大変勉強になりました。
①に関しましては、子供に土地を贈与後に私が農地転用の費用を出すことは問題ないでしょうか?
②は確定申告いたします。ありがとうございます。
③に関してですが、下の子の土地にして、上の子が代表取締役であれば、高め設定でもよろしいのでしょうか?
お忙しいところ追加で質問申し訳ございません。
よろしくお願い申し上げます。
本投稿は、2025年05月15日 19時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。