コインパーキングに接した私道の持分の評価
相続した私道持分は、行き止まり私道ではあるものの、相続人以外の私道共有者が営むコインパーキングに接しており、不特定の利用者が常時通行します。
財産評価基本通達24では、私道が不特定多数の者の通行の用に供されているときは、その私道の価額は評価しないとされており、国税庁の質疑応答事例では、「行き止まりの私道であるが、その私道を通行して不特定多数の者が地域等の集会所、地域センター及び公園などの公共施設や商店街等に出入りしている場合などにおけるその私道」が例示されています。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/04/06.htm
コインパーキングは5台が駐車でき、そのうち2台は入出庫時に私道を通行します。また精算機も私道を通らないと使えません。
コインパーキングは商店街そのものではなく、個人に過ぎませんが、商店街の商店の種類は限定されておらず、駐車場業であってもよいのではないかと思いますので「商店街等」の「等」に含まれ、この例示に当てはまると考えてよいでしょうか。
土地評価明細書を作った上で評価額ゼロを明記して提出しようと思いますが、いかがでしょうか。
税理士の回答

増井誠剛
結論から申し上げますと、評価額ゼロでの申告は一定の合理性があるが、事前に税務署と協議するのが無難です。財産評価基本通達24の趣旨は、不特定多数が通行する私道について、相続税の課税対象としないことにあります。国税庁の質疑応答事例では「商店街等に出入りする行き止まり私道」を例示しており、コインパーキングが「商店街等」に含まれる可能性は十分考えられます。
ただし、問題は「通行の程度」と「不特定多数性」です。5台中2台の利用であり、コインパーキング利用者が主である点が、税務署の判断で争点になる可能性があります。そのため、土地評価明細書を作成し、ゼロ評価の根拠を示した上で、事前に税務署へ相談することを推奨します。争いを避けるためにも、実際の通行状況の証拠(写真・契約内容)を整えておくとより安心です。
増井先生、ご多忙にもかかわらず、丁寧にご回答くださり、誠にありがとうございました。大変勉強になりました。
「通行の程度」と「不特定多数性」は、当該2台分の駐車スペースに駐車している車を観察し、記録することで判断材料とできるのではないかと存じますので、定点観測を行い、申告期限までの複数の日、それもなるべく多くの日に、駐車中のクルマを写真撮影してみようと思います。
月ぎめ駐車場への通路となっている私道で不特定多数性を否認された公表裁決事例がありました。
https://www.kfs.go.jp/service/JP/85/16/index.html
結果的に、おおむね特定の利用者ばかりですと厳しいかもしれませんが、定点観測をしてみないことには始まりませんからね。
本投稿は、2025年02月22日 07時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。