No.3306 「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」について
遠方にあります、父が亡くなり、不動産(父の持ち家です。)を相続することになりまして、売却する上で、二点お伺いしたいことがあります。ややこしい話かもしれませんので、ポイント絞って以下に記します。ご教示いただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。
国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm)
をみますと、ページ中程に、「2 特例を受けるための適用要件」というところがありまして、さらに、以下のように書かれています。
(2) 次のイ又はロの売却をしたこと。
イ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
(中略)
ロ 相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
以上になりますが、まずお聞きしたいのですが、よく言われている「この特例を受けるために、更地にしないといけない」というのは、上記で言う「ロ」に当てはめた場合であって、「イ」では必要ないのではないでしょうか。つまり適用条件を「イ」にして考えれば、更地にしなくても通常通り売却すれば、適応を受けれるということではないのでしょうか。
また2点目ですが、同ホームページにおいて、下段のほうにあります、「3 適用を受けるための手続」の(1)の「ハ」の(イ)には、「相続の開始の直前において、被相続人が被相続人居住用家屋を居住の用に供しており、かつ、被相続人居住用家屋に被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。」とありますが、直前とは1ヶ月前でもよいのでしょうか。(父は緊急入院して1ヶ月ほどで亡くなりました。)もしくは、本当に相続が有効になった日の、例えば前日などそれぐらいまで家にいないと適応にならないと考えられますか?そうであるとしても、どのようにどこのにも行っていないと、証明するのでしょうか。
以上になります。よろしくお願いいたします。
税理士の回答

空家特例の趣旨としては耐震性を充たさない建物であれば、取り壊してほしい。あるいは、耐震補強した上で売却して欲しい。その場合は、マイホーム控除(30百万)と同様の税の恩恵を与える。
といったものになりますので、同居している者が居ればその方がマイホーム控除(30百万)すればよいので対象外。
更地にするか、耐震補強した上で売却すれば他の適用要件を充たしていれば適用可能ですね。
他の控除を利用できるものは対象外なので、存外射程は狭くなります。
他、実際に適用を受ける場合は、申告に添付する書面等事前によく確認いただき、特に市区村長から入手する被相続人居住用家屋等確認書等については、昨年度は、市区町村の方も初めてだったせいか、何を用意すれば判らない、という所から制度の説明、必要な書面の確認、発行まで数か月かかることもありました。
申告書に添付する書類等も何時の時点で、何を、といったスケジューリングしておかないと落とし穴が幾つもある制度ですので、慎重に熟読、準備を進めていただけますと幸いです。
どうもご丁寧に詳しくご回答下さり、誠にありがとうございます。新たに疑問に思った点が3点ございます。追加で質問させて下さい。
1.
国税庁の文中にはさらに「譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること」とありますが、「一定の」というのが、どの程度までということは定まっているのでしょうか。もし安く「一定の」耐震工事ができるのなら出来るのなら、それも考える価値があるかなと思ったのですが。
2.
また父の不動産は古いため、不動産いわく「売却時はそのまま家屋付きで売ったらよいが、いずれにしても家屋は解体されることになる」という話だったのですが、この控除を受けるにはあくまでも、売却前に自分で解体しないといけないのでしょうか。それともあとから例えば、不動産が解体したのを写真で撮ってみせてもダメなものでしょうか。
3.
この文言にございます「更地」というのは、どの程度の土地をいうのか明確にされているのでしょうか。単に家屋を取り壊して撤去しただけで良いのか、もしくはその後にきっちりと次の家が建てれるように造成といいますか、そのようにまでする必要があるのでしょうか。
以上になります。だいぶ建築系の内容になり恐縮ですが、お答えいただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

1 現行の耐震基準。昭和56年以降適用されているものですね。
2 取り壊したうえで売却することが要件です。
事後的では要件を充たしません。落とし穴の一つですね。
税務申告は大量の申告を機械的に扱えるよう、行政の便宜を図った上で
要件が設定されていることがありますので。
3 これは一般的に建物を取り壊せばよいのかと存じます。
取り壊し費用も譲渡費用として申告にあたって経費に入れますね。
本当、ありがとうございました。とてもわかりやすく、詳しく解説してくださり感謝しております。困ったことが出てきた時には、ぜひご相談させていただきたく存じます。
今まで何人かに相談してきた中で、誰よりも正確で、1番詳しいご説明をいただくことができました。誠に感謝しております。
本投稿は、2018年04月25日 20時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。