交通事故の2年後に死亡した場合の損害賠償請求権の課税上の扱い
申告期限があと3ヶ月に迫る中、解釈に悩んでいますので、よろしくお願いします。
【質問】
(1)下記の事案で、損害賠償請求権は相続税の課税財産になると考えますが、先生方の見解をお伺いします。
(2)非課税となり得る通達等があれば、ご教示ください。
【事案】
交通事故後、意識不明の状態となり、2年間の入院の後、死亡した案件です。相続開始時点で損害賠償金額は確定しておらず、相続人が相続した損害賠償請求権を行使し、加害者を相手取って訴訟する予定です。しかし、申告期限内に賠償金額が確定することは考えられない状況です。
【理由】
No.4111 交通事故の損害賠償金 のケースは、死亡事故の場合であり、今回の事案には当てはまらないものと考えています。すなわち、死亡事故の場合、相続人としては、相続によって取得した損害賠償請求権と、遺族に固有の損害賠償請求権を行使できる立場にあります。そうすると前者を放棄し、後者を行使したと観念することで、4111の結論が導けると思います。
本事案においては、(少なくとも民法上は)相続人として固有の損害賠償請求権が発生していないため、相続した損害賠償請求権で訴訟を追行することになります。そうなると、前述の理屈で4111の結論を導けず、損害賠償請求権は課税財産であると考えます。
【補足】
上記で、「少なくとも民法上は」と書きましたが、税務の世界では遺族に固有の損害賠償請求権を観念するような通達等があって、交通事故賠償ならば、非課税になるようなものなのでしょうか。
税理士の回答
№4111では、「被相続人が損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利すなわち債権が相続財産となり、相続税の対象となります。」とありますが、事案のように、被相続人が生存中に損害賠償請求権を行使していなければ、これには当たらないと言えます。
むしろ、「No.1705 遺族の方が損害賠償金を受け取ったとき」の「交通事故などの加害者から被害者の死亡に対する損害賠償金を遺族の方が受け取った場合には、所得税はかかりません。」というケースに当てはまるのではないでしょうか。
ご回答ありがとうございます。
先生の見解に関して、損害賠償請求権が相続財産になるのは限定列挙的に定められていて、そうでないなら相続財産でないとお考えなのかと思慮します。
結果、質問の(1)については課税財産にならない、という結論と理解しました。
今後、賠償金を受け取った時の所得税の取り扱いまで教えていただき、ありがとうございます。
本投稿は、2020年07月03日 20時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。