被成年後見人だった親の家(親非居住)を相続し、売却する際に受けられる控除
昨年末、親の死去に伴い空き家を相続しました。これから売却をしようと考えているのですが、親は認知症のため、亡くなるまで10年ほどグループホームに入所していました。その間、私が成年後見人を務め、家庭裁判所の指導に基づき親がいつでも帰ってこれるように家を管理していました(売却・賃貸などはしてはいけないとのこと)。親の住民票はグループホームに移してありました。土地建物の査定額は3000万円以内に収まっています。売却時に何等かの控除を受けることはできるでしょうか。できない場合、今から節税のために行えることはあるでしょうか。
税理士の回答
考えられる特例はいわゆる「空き屋特例」であろうかと思います。これは独り住まいであった被相続人の自宅(S56年5月末以前建築の戸建住宅)を、相続開始後3年以内に1億円以下で売却した場合に、3000万円の特別控除が受けられるという規定です。ただしこの場合の自宅とは生活の本拠をいいます。
しかしご質問のケースでは、亡くなる前の10年間グループホームに入所していたということですから、生活の本拠は明らかにグループホームに移っており(住民票の状況もこの点を示しています)、この規定の適用要件を備えていません。したがってこの規定の控除を受けることはできないと思われます。
これ以外に考えられる規定としては「取得費加算の特例」があります。これはこの土地を相続したことにより納付した相続税がある場合には、その一定額を売却による譲渡所得の計算上、取得費に加算するという規定です。したがって、相続税が課せられていない場合にはこの規定の適用はありません。
また納付があったとしても、納税額が余程多額でない限りはそう大きな税の軽減は期待できないとお考え下さい。
これ以外の特例はないように思います。また今後節税のために行えることも特に思い当たりません。
本投稿は、2017年05月22日 12時01分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。