相続時精算課税と暦年贈与についての質問
息子に住宅資金の援助をしようと考えています。例えば2500万円を援助しようとして①相続時精算課税を選択すると、私が死亡した時に2500万円-110万(贈与時の暦年贈与枠)で2390万円が相続税の対象となると思いますが、②金銭貸借契約を結んで2500万を貸与し、毎月の返済額を元手に毎年110万円を限度に還付し続け、完済したら実質無税で贈与できるように思います。この方法は税務署から2500万円の贈与隠しと見なされるのでしょうか?
税理士の回答
ご質問ありがとうございます。
息子様の住宅資金の援助を
考えているのですね。
贈与税との関係が気になると思いますので、
ご質問のケースに回答させていただきます。
■ 贈与と貸付の違い
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まず、贈与と貸付について整理します。
【贈与】
あげたお金は返ってこない
⇒ 贈与税がかかる
【貸付】
貸したお金は返ってくる
⇒ 贈与税はかからない
お金を「贈与」するのか、
「貸付」するのかで税金の取扱いが
異なるポイントをご理解ください。
■ 贈与の場合
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例えば2500万円を援助
①相続時精算課税を選択
2390万円が相続税の対象
ご記載の通り、正しい認識です。
援助(贈与)したということは、
息子様は2500万円というお金を手に入れ、
返す必要がない前提でお答えします。
息子様は無償で得していますので、
本来は贈与税が発生します。
ここで、相続時精算課税を選択すれば、
贈与の時点では税金はかからず、
相続の時点で税金の再計算をします。
■ 貸付の場合
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②金銭貸借契約を結んで2500万を貸与
毎年110万円を限度に還付
こちらの方法は①の贈与とは
別物として考える方がスッキリすると思います。
金銭消費貸借契約を結んだうえで
2,500万円を「貸している」だけですので、
息子様はお金を「返済」しなければなりません。
つまり、得していませんので、
そもそも贈与税はかかりません。
銀行から住宅ローンを借りても
贈与税がかからないように、
お父様からお金を借りても
贈与税はかかりません。
そもそも、相続時精算課税を選択する
必要はないように感じます。
ひとつ注意点をお伝えします。
例えば、3年後にご質問者様に
相続が発生したとします。
その時までに、330万円が返済されているとしたら
2,170万円(2,500万円– 110万円×3年)が
『貸付金』として、相続財産に計上されますので
ご注意ください。
税務署から2500万円の贈与隠しと見なされるのでしょうか?
税務署からすると、
2,500万円のお金の移動が、
贈与なのか貸付なのか
通帳を見ただけではわかりません。
お金を動かす時点で、
①贈与契約書
②金銭消費貸借契約書
のどちらかを、
実態に合わせて作成することを
オススメします。
ご参考になれば幸いです。
捕捉します。
②のケース
貸付の返済金を贈与すると、実質的には返済を受けていないことになります。
つまり、贈与となります。
鎌田先生のご回答に質問します。②のケースで返済金を還付するとその還付額が贈与になることは理解できますが、毎年110万円以下の還付であれば暦年贈与の控除が受けられると考えてよいでしょうか?それとも、毎年110万円の還付があることで贈与隠しと見なされ、貸与額2500万円に対する贈与税が一括して課せられる可能性があるのでしょうか?
民法的には贈与と貸借は別物です。
しかし、税法には「実質課税の原則」があります。
貸付する親御さん側から言いますと、
貸付の返済を毎年100万円受取り、一方で、毎年100万円贈与する場合。
このケースでは、実質は貸したお金を返済してもらってない。
つまり、返済が無ければ貸借とは見れません。
専門的には、「ある時払いの催促なし」という言い方をします。
親子間であれば、「催促しない、返済はいつでも」ということになりがちです。
この場合、実質的に贈与と認定されることになります。
本投稿は、2024年08月04日 02時40分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。