年金について
質問失礼致します。親が亡くなってから親の預金通帳に振り込まれた年金があります。
通帳には、1つは従業員年金・もう1つは年金 と記載されております。
これらは、相続税の対象になるのでしょうか?(取得財産の価額に含めますか?)
税理士の回答

小川真文
相続税等の課税対象になる年金受給権(国税庁ホームページ参照)
[令和6年4月1日現在法令等]
対象税目相続税
概要
年金には国民年金や企業年金、その他個人年金保険契約に基づく年金など様々な種類の年金があります。被相続人の死亡により取得する年金受給権については、年金の種類などによって相続税の課税が異なります。ここでは主なケースを2つ説明します。
① 1つは、在職中に死亡し、死亡退職となったため、会社の規約等に基づき、会社が運営を委託していた機関から遺族の方などに退職金として支払われることになった年金です。この年金は死亡した人の退職手当金等として相続税の対象となります。
② もう1つは、保険料負担者、被保険者、かつ、年金受取人が同一人の個人年金保険契約で、その年金支払保証期間内にその人が死亡したために、遺族の方などが残りの期間について年金を受け取ることになった場合です。この場合、死亡した人から年金受給権を相続または遺贈により取得したものとみなされて相続税の課税対象となります。
③ なお、厚生年金や国民年金などを受給していた人が死亡したときに遺族の方に対して支給される遺族年金は、原則として所得税も相続税も課税されません。また、死亡したときに支給されていなかった年金を遺族の方が請求し支給を受けた場合は、その遺族の方の一時所得となり、相続税はかかりません。
根拠法令等
所法9、相法3、24、25、相令1の3、所基通9-2、9-17、34-2、相基通3-46
「1つは従業員年金」
>いわゆる②の「企業年金」と思料されますが、企業年金の遺族給付は税務上「相続財産とみなす」ものとされ相続税が課せられます。そのため、残余期間分の年金は、みなし相続財産として評価されます(通知書等をご確認ください)。
「もう1つは年金」
>一般に③に相当するものと考えます
ご丁寧な回答有難うございます。
母が今年亡くなりましたが、昨年まで勤めていた会社の従業員年金については、亡くなった母の口座内、所得税は父の口座に振り込まれておりました。
また母は令和5年度確定申告書を出していたようで、その場合準確定申告が必要とネットで書いてあったのですが、どのような申告が必要なのでしょうか?税金はいくらか還付されていたようですので還付金を相続財産に入れたら良いだけでしょうか。
年金は、亡くなってすぐは母の口座に、その後は初めの半分位の額で父の口座に振り込まれていました。
追加の質問失礼致します。母が運用していた有価証券の配当金も振り込まれておりますが、源泉徴収されているようなので、これは相続財産に入れなくても宜しいでしょうか。

小川真文
「母が今年亡くなりましたが、昨年まで勤めていた会社の従業員年金については、亡くなった母の口座内、所得税は父の口座に振り込まれておりました。年金は、亡くなってすぐは母の口座に、その後は初めの半分位の額で父の口座に振り込まれていました。」
>企業年金は受給者が亡くなられた月の分まで支払われます。年金を受けていた方がまだ受け取られていない年金がある場合、ご遺族の請求に基づき、未支給年金として支払われます。請求できるご遺族の範囲は、年金を受けていた方が亡くなられた当時に生計を同じくしていた配偶者となります。
「母は令和5年度確定申告書を出していたようで、その場合準確定申告が必要とネットで書いてあったのですが、どのような申告が必要なのでしょうか?」
>亡くなった人に所得があった場合、相続人が所得金額と税額を計算し、所得税の申告と納税を行います。これを「準確定申告」といいます。1月1日から死亡した日までに確定した所得金額が申告の対象です。相続の開始があったこと(亡くなったこと)の翌日から4カ月以内に準確定申告を行う必要があります。亡くなったお母さまが年金のほか給与や不動産所得があった場合には対象となるものと考えます。
税金はいくらか還付されていたようですので還付金を相続財産に入れたら良いだけでしょうか。
>還付金は被相続人の死亡後に相続人が受け取るものですが、還付を受ける権利は被相続人が存命のうちからあると考えられているため、還付金は被相続人の財産として相続税の課税対象となります。

小川真文
>故人が配当金を受け取る権利があったにも関わらず、受け取る前に亡くなってしまった場合、その配当金は相続財産として計上する必要があります。本来は、亡くなった方が受け取るべきものなので、相続税の対象となります。しかし、故人が保有していた株式の配当金がすべて相続財産に該当するわけではありません。相続財産に該当するかどうかは、①相続開始日、②配当基準日(配当の権利が確定する基準日)、③配当確定日(配当金が支払われる日)によって判断します。
配当基準日後から配当確定日の間に亡くなった場合は、②の配当の権利が確定した後、③の配当金が支払われる前に相続開始日(①)が来ているので、故人が配当金を受け取る権利をもった状態で亡くなっていることとなり、被相続人の相続財産に該当します。
亡くなった後(相続開始後)に配当基準日を迎えた場合は、①の相続開始後に②の配当の権利確定日がくることになり、故人の権利ではなく相続人の所得となります。相続財産には該当しません。
配当金が支払われた後に亡くなり相続が開始した場合には、③の配当金が支払われた後に①の相続開始日が来ているので、故人の所得として準確定申告の対象となります。
配当金計算書をご確認いただくことをお勧めします。
お忙しい中、追加の質問も含めご回答有難う御座います。
申し遅れましたが母が亡くなったのは今年6月13日です。
①従業員年金と年金に関して
従業員年金のみ相続財産になるという解釈で合っていますでしょうか。
②準確定申告に関して
2023年度は確定申告をしていたようですが、2023年8月に退職し、2024年は母の収入はありません。この場合は特に手続きは不要でしょうか。
③追加の質問の株の配当金について
届いた配当金計算書を見ると、支払い確定日が6月25日とのみ記載されておりますが、配当確定日と同じ意味になりますでしょうか?
銘柄は第一生命で、配当確定日で検索すると、出ず、権利確定日が3月31日とはなっているのですが。。
既に所得税と住民税が源泉されており、相続財産になると二重課税になるのかな?と思ったのですが、解釈の仕方が分かっておりません。
投資信託の分配金の案内も届きましたが、分配金は再投資していたようです。
たびたび失礼致します。配当金は9月に振り込まれています。

小川真文
① 「従業員年金のみ相続財産になるという解釈」
「従業員年金と年金に関して」詳しい内容が不明ですが、ご相談の内容的には問題ないものと考えます。被相続人(お亡くなりになった方)が受け取るはずだった企業年金で、死後遺族の方に支給される年金(「遺族年金」といいます。)は、相続税の対象となるため、「その他の財産」として申告が必要で評価額を計算する必要があります。評価額は、年金支給元から教えてもらえる可能性があるため、まずは年金支給元にお問い合わせ頂くのが良いと思われます。
② 「2023年度は確定申告をしていたようですが、2023年8月に退職し、2024年は母の
収入はありません」
「2023年度は確定申告」の内容が不明(納税?もしくは中途退職や医療費及びふるさと納税等による還付?)ですので申告義務の有無が判断できませんが、全くの無収入であれば申告の必要はありません。準確定申告の期限は相続発生から4ヶ月以内ですので、この期限を過ぎた場合、無申告加算税と延滞税の対象になります。なお、この期限を過ぎても5年以内であれば還付申告は受け付けてもらえます。ただし、還付金は相続税の課税対象になるため、相続税の申告が必要と見込まれる場合は、早めに還付を受ける必要があります。

小川真文
「母が亡くなったのは今年6月13日です」=①相続開始日
「銘柄は第一生命で、配当確定日で検索すると、出ず、権利確定日が3月31日」(国内上場会社は決算期末日に合わせて株主の配当の権利が確定する基準日(配当基準日)を設定しています。 事業年度が4月1日から翌年3月31日の会社の場合の配当基準日は通常決算期末日ですので3月31日です)=②配当基準日(配当の権利が確定する基準日)
「配当金計算書を見ると、支払い確定日が6月25日とのみ記載」(効力を生ずる日とは配当金の支払日または金銭以外の現物の権利が移る日のことです。一般的には、株主総会決議(株主総会が開催された年月日2024年6月24日)の翌営業日に設定されます)=③配当確定日(配当金が支払われる日)
>配当基準日後から配当確定日の間に亡くなった場合は、②の配当の権利が確定した後、③の配当金が支払われる前に相続開始日(①)が来ているので、故人が配当金を受け取る権利をもった状態で亡くなっていることとなり、被相続人の相続財産に該当します。
なお、被相続人様が特定口座で保有していた上場株式等は、相続人様の特定口座へ移管することができます。相続した上場株式等については、被相続人様の特定口座で管理されていた取得日、取得価額などが相続人に引継がれます。
源泉徴収ありの特定口座であれば確定申告は不要です。源泉徴収ありの口座では、上場株式の配当金や投資信託の分配金などの配当所得は源泉徴収されて特定口座内に算入され、年間の配当所得が計算されます。所得と損益通算が行われ、源泉徴収税額の過納分が還付されます、証券会社から税額分の徴収や還付があり、間接的に納税したことになります。
有難う御座います。
配当金に関しまして、この配当金は相続財産になるという事ですね。
母の有価証券は家族で分割しており先月までに其々の口座に移管して頂きました。
この配当金は、住民税と所得税が源泉された後に母の口座に振り込まれ→相続財産になる→相続税も引かれる
という流れになりますでしょうか?
お世話になります。税務署に確認しましたら、仰る通り、上記の配当金は相続財産に含むとの事でした。
年金の事や色々と教えて頂きまして有難う御座いました。
とても助かりました。
本投稿は、2024年11月28日 23時20分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。