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テナント化・賃貸化した不動産の相続対策方法のご相談

父が所有している土地・建物をリフォームし、
1階をテナント(事業用スペース)
2階・3階を賃貸住宅
として活用する予定です。

この際に得られるテナント料や賃料を含めて、相続税対策を行いたいと考えています。法人を設立し、賃料の受け口を法人にする方法なども検討していますが、調べていると
◯現物出資 ◯管理委託 ◯資産管理法人設立
など、いくつかの手法があるようです。

父が所有する不動産の相続税対策としては、どのような方法が現実的で有効でしょうか。注意すべき点や、一般的に選ばれるスキームについても教えていただけると助かります。

税理士の回答

重要なポイントですね。
「不動産をテナント化・賃貸化した場合の相続税対策」を整理すると、次のようになります。

1. 賃貸活用による評価減効果
相続税評価は「自用地」よりも「貸家建付地」「貸家」とした方が低くなります。

・土地:貸家建付地評価により自用地より減額。さらに事業用・賃貸用部分については 小規模宅地等の特例(最大80%減額) が使えるため、まずは「賃貸化そのもの」で大きな相続税圧縮効果が期待できます。
・建物:賃貸部分は借家権割合を控除し評価が下がる

2. 法人活用の手法と特徴
(1) 個人所有のまま賃貸化
・父が賃料収入を直接受ける。
・相続税評価の減額+小規模宅地特例をフルに活用できる。
・所得税が父に集中し累進課税が重い点がデメリット。

(2) 管理委託方式
・不動産は父のまま、管理業務を法人に委託して管理料を支払う。
・法人に利益を移すことで所得分散や子世代への資産移転が可能。
・ただし不動産そのものは父の財産のままなので、相続税評価額は下がらない。

(3) 資産管理法人設立(現物出資または売却)
・不動産を法人に移して法人が賃料を受け取る。
・相続は「法人株式」として承継する形になり、株式評価の仕組みにより資産圧縮が可能な場合あり。
・ただし、不動産移転時に 登録免許税・不動産取得税・譲渡所得税 が発生し、規模が小さいと負担が大きい。
・また法人所有になると 小規模宅地等の特例が使えない点は重要。

3. 一般的な選択肢と現実的な対策
・規模が小さい場合(テナント+数戸の賃貸住宅レベル)なら、個人所有のまま賃貸化+小規模宅地特例の活用が最も現実的。これだけで大幅な評価減を実現できます。
・賃料収入が増えて父の所得税負担が重くなるようなら、管理委託方式で一部利益を法人へ移す方法が選ばれます。
・数棟アパートやビル所有など、賃料収入が数千万円規模なら、資産管理法人を設立して承継を株式化するスキームが検討されますが、初期コストや小規模宅地特例喪失のリスクを十分に試算する必要があります。

4. 注意点
・法人化は一度移すと戻せないため、相続税だけでなく所得税・承継全体を見て判断すべきです。
・小規模宅地等の特例は相続税対策の中で非常に強力なので、これを使えなくする法人化は慎重に検討すべきです。
・遺産分割や将来の承継方針(相続人間でどう分けるか)もスキーム選択に直結します。

◆まとめ
今回のケース(テナント+賃貸住宅程度)では、まずは 個人所有のまま賃貸化し、貸家建付地評価と小規模宅地特例を活用するのが王道で最も現実的。
法人化は「規模が大きく、所得税負担や承継のしやすさを重視する場合」に初めて有効であり、移転コストと特例喪失を天秤にかける必要があります。

👉 相続税対策としては「賃貸化そのもの」で十分効果が大きく、法人化は慎重に検討されるのが一般的です。

本投稿は、2025年08月23日 16時02分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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