不動産相続について(土地と家屋)
父が今年6月に他界しました。公証役場作成の遺言書があり、分配が記載されています。家族構成は、母・兄・娘のです。父が住んでた家屋と土地は兄が相続人と記載されております。この度、父が住んでいた家屋と土地を購入したい、と他者から依頼を受けました。名義変更はまだ何もしておりません。
兄の名義に書き換えた後に売却を予定しておりますが、母の名義で売った方が、税金が免除になると聞きました。誰の名義で売却することが得策なのでしょう?兄の名義で売った際は母と比べてメリットデメリットがどの様に発生するのでしょうか?譲渡所得税というキーワードを見受けます。その辺をご教示頂けます様、宜しくお願い申し上げます。売却値段はおよそ700万円位と想定しております。
税理士の回答

米森まつ美
回答します。
最初に「相続」について検討してください。
【相続】
遺言書とは異なる相続人が、家屋と土地を相続するには「遺産分割協議書」により、遺産を分割する必要があります。
本来、亡くなられた方の意志を尊重するためにも「遺言書」が優先されますが、相続人全員の了解があれば、遺言書とは異なる遺産の分割ができます。
そして、家屋と土地を相続した人が、その家屋や土地を譲渡した場合、その相続した人に譲渡所得の申告納税義務が生じます。
また、相続において、その家に居住している人が相続した時には「小規模宅地の特例」などにより相続税が低くなる制度があります。 なお、住宅に限らず、配偶者の相続には「配偶者の税額の軽減」があります。
【譲渡に関して】
相続で、その家屋や土地を得た人が売却した時に「譲渡所得」が課税されます。
譲渡所得の計算は
収入金額 - (取得費 + 譲渡費用)-特別控除額 =課税譲渡所得 となります。
相続で得た財産の場合「取得費」は、被相続人(お父様)が購入した価額(家屋は減価償却後の金額)となりますが、金額が不明の場合は売却価額の5%が「取得費」とされます。
そのうえで、
① その家に居住していた人が売却した場合は「居住用財産の特例」として3,000万円控除の特例があります。
② 相続した家が空き家となっっていた場合は、「被相続人の居住用財産(空き家)の特例」として3,000万円控除の特例があります。
ご質問の「母の名義で売った方が税金が免除される」との考えは、少し違いますが、お母様がその家屋にお住まいでしたら、相続時にの「小規模宅地の特例」も使え、かつ、3,000万円の居住用財産の特別控除は受けられます。
また、「誰の名義で売却した方が得策か」という質問としては、相続した方がその家にお住まいであったならばその方が相続して売却した場合は、確実に3,000万円の特別控除は受けられます。
空き家となっていた場合であっても条件さえ合えば「空き家特例」により、3000万円の特別控除を受けることができますので、誰ということはできません。
※いずれの特別控除も期限内の申告が条件となります。
上記の点を参考にしたうえで、相続をどのようにするのかから検討されることをお勧めいたします。
国税庁HPより、説明の関連個所を添付しますので参考にしてください
「相続税の計算」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
「土地や建物を譲渡した場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
「空き家特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
「小規模宅地の特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
本投稿は、2020年09月28日 21時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。