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小規模宅地特例と2次相続、貸家立付け借地について?

相続に関してお伺いしたい事があります。
以前にも質問させて頂いたのですが、その後不明点が出てきてしまいました。お忙しいと思いますが教えて頂ければ幸いです。

★家族構成
父母、長男、次男
父母と長男夫婦は同居
次男は別居相続放棄の意向。

★相続財産
(1)自宅/750㎡(神奈川県内普通住宅地)
路線価 200千円
(2)店舗兼貸店舗
借地/200㎡(神奈川県内普通商業地)
路線価 500千円
借地に父が木造二階建ての店舗を建て
父と私(長男)で自営業を営む。
10年程前に店舗を半分に縮小し
空きスペースを貸店舗として活用。
現在、空きスペースは4店舗が賃貸中。
延べ床面積 205㎡
自前店舗面積100㎡/貸店舗面積 105㎡

以上の前提で質問があります。

①自宅について
1次相続で母が小規模宅地の制度を利用し2/3
(500平米)、長男が1/3(250平米)を相続した後
2次相続の際に母の所有している自宅の土地
(500平米)を長男が相続する際長男は小規模宅地特例の制度を利用できますか?

②店舗について
貸店舗部分は貸家建付け借地となるのでしょうか?
貸家立付け借地とした場合、自前店舗部分との面積の棲み分けはどう考えれば良いのでしょうか?
現在、自前店舗部分と賃貸部分が混在している状態です。(2階建て建物を2階部分全部と
1階部分1/3を賃貸中)
この場合の評価方法は延べ床面積に対する
按分なのでしょうか?

床面積での按分とした場合、自前店舗部分は
自用地路線価 × 借地権割合 × 店舗部分面積

貸店舗部分は
借地権の価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
でいいのでしょうか?
賃貸割合がよくわかりません。

本当にすいません。何を言ってるのか不明な部分が多いかと思いますが、お答え頂ける範囲でも結構ですので宜しくお願いします。

税理士の回答

税理士ドットコム退会済み税理士

①自宅について
1次相続で母が小規模宅地の制度を利用し2/3
(500平米)、長男が1/3(250平米)を相続した後
2次相続の際に母の所有している自宅の土地
(500平米)を長男が相続する際長男は小規模宅地特例の制度を利用できますか?
→できますが、お母様は配偶者の税額軽減を使えますので、お父様からご長男様の相続割合を多くし、一次相続でもご長男様が小規模宅地等の特例を使った方が節税になる可能性があると考えます。

②店舗について
貸店舗部分は貸家建付け借地となるのでしょうか?
貸家立付け借地とした場合、自前店舗部分との面積の棲み分けはどう考えれば良いのでしょうか?
現在、自前店舗部分と賃貸部分が混在している状態です。(2階建て建物を2階部分全部と
1階部分1/3を賃貸中)
この場合の評価方法は延べ床面積に対する
按分なのでしょうか?

床面積での按分とした場合、自前店舗部分は
自用地路線価 × 借地権割合 × 店舗部分面積

貸店舗部分は
借地権の価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
でいいのでしょうか?
→貸家建付借地権の計算式は次の通りです。
① その土地の自用地評価額×借地権割合
② ①×(1-借家権割合×賃貸割合)
土地の評価明細書に当てはめて計算してみると分かりやすいかと思います。
国税庁HP: 土地及び土地の上に存する権利の評価明細書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hyoka/annai/pdf/1470-5-5.pdf
第2表の「借地権」と「貸家建付借地権」の欄を使用します。
賃貸割合は建物の床面積を使います。
つまり、賃貸割合は、105㎡/205㎡ です。
自前店舗と貸店舗を分けて評価するのではなく、貸家建付借地権として一体で評価します。

お忙しい中、早速の解答有難うございます。
一夜漬けの知識しかないのでもう少し質問
させて下さい。

自宅について
①同じ宅地において1次相続(父から)、2次相続
(母から)の際に同じ親族(同居長男)が2回小規模宅地の特例を利用出来ると解釈していいのでしょうか?

②一次相続での長男の小規模宅地の利用の方が
より節税効果が高い可能性があるとのご指摘ですが。
課税財産の総額は母が一次相続で小規模宅地を利用しても長男が一次相続で小規模宅地を利用しても同じように感じるのですが。

課税財産価格は変わらず長男の取得面積が大きい分相続税は増えるように思うのですが、そのあたりがよく分かりません。

店舗について
①こちらは確認になるのですが自前店舗部分の面積は使用面積で計算すればいいのでしょうか?
敷地面積 200平米 × 100/205 × 借地権割合

②借家権割合はいくらと考えるのでしょうか?

お忙しい中、つまらない事を書き連ねてすいません。答えられる範囲で宜しくお願いします。

税理士ドットコム退会済み税理士

①同じ宅地において1次相続(父から)、2次相続
(母から)の際に同じ親族(同居長男)が2回小規模宅地の特例を利用出来ると解釈していいのでしょうか?
→はい。要件さえ満たしていれば、同じ方(ご長男様)が2回小規模宅地等の特例を適用することはできます。

②一次相続での長男の小規模宅地の利用の方が
より節税効果が高い可能性があるとのご指摘ですが。
課税財産の総額は母が一次相続で小規模宅地を利用しても長男が一次相続で小規模宅地を利用しても同じように感じるのですが。
→前提を簡略的にして例示をあげます。
【前提】
被相続人:父
相続人:母と長男の2人で全員同居
財産:①自宅土地330㎡ 5,000万円
   ②自宅建物 1,000万円
   ③その他の財産 2億円

A 自宅土地建物を母が取得、その他の財産は母が7,000万円、長男が1億3,000万円取得
① 母の課税価格
土地 5,000万円-4,000万円(小規模宅地の特例)=1,000万円
建物 1,000万円
その他の財産 7,000万円
1,000万円+1,000万円+7,000万円=9,000万円

② 長男の課税価格
その他の財産 1億3,000万円

③ 課税価格の合計額
①+②=2億2,000万円

④ 課税遺産総額
③-4,200万円(基礎控除額)=1億7,800万円

⑤ 相続税の総額
④×1/2=8,900万円
8,900万円×30%-700万円=1,970万円
1,970万円×2人=3,940万円

⑥母の納付税額
算出相続税額:3,940万円×9,000万円/2億2,000万円=16,118,181円
配偶者の税額軽減:16,118,181円
納付税額:16,118,181円-16,118,181円=0円

⑦ 長男の納付税額
3,940万円×1億3,000万円/2億2,000万円=23,281,800円(百円未満切捨)


B 自宅土地建物を長男が取得、その他の財産は母が1億3,000万円、長男が7,000万円取得
① 母の課税価格
その他の財産 1億3,000万円

② 長男の課税価格
土地 5,000万円-4,000万円(小規模宅地の特例)=1,000万円
建物 1,000万円
その他の財産 7,000万円
1,000万円+1,000万円+7,000万円=9,000万円

③ 課税価格の合計額
①+②=2億2,000万円

④ 課税遺産総額
③-4,200万円(基礎控除額)=1億7,800万円

⑤ 相続税の総額
④×1/2=8,900万円
8,900万円×30%-700万円=1,970万円
1,970万円×2人=3,940万円

⑥母の納付税額
算出相続税額:3,940万円×1億3,000万円/2億2,000万円=23,281,818円
配偶者の税額軽減:23,281,818円
納付税額:23,281,818円-23,281,818円=0円

⑦ 長男の納付税額
3,940万円×9,000万円/2億2,000万円=16,118,100円(百円未満切捨)

文字数制限がありますので、回答を分けます。

税理士ドットコム退会済み税理士

 例示は特例適用前の財産の価額で母と長男が平等に分割した2つのケースです。
 Aは母が自宅不動産を取得、Bは長男が自宅不動産を取得し、各々小規模宅地等の特例を適用すると、Bの方がAより税負担が7,163,700円減少しました。
 これは、母は配偶者の税額軽減により法定相続分と1億6,000万円のうち高い金額までは相続税の負担がなくなることから、母で小規模宅地等の特例を適用しても、その効果が薄れてしまうためです。
 例示は簡略的な数字を使いましたが、実際にどのような分割にし小規模宅地等の特例を適用するのが節税になるかのシミュレーションは複雑になりますから、相続に強い税理士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

店舗について
①こちらは確認になるのですが自前店舗部分の面積は使用面積で計算すればいいのでしょうか?
敷地面積 200平米 × 100/205 × 借地権割合
→このような計算はいたしません。
 計算例
【前提】
 店舗兼貸店舗の土地の自用地評価額:1億円
 借地権割合:70%←実際の割合は路線価図を確認してください。
 借地面積:200㎡
 賃貸割合:105㎡/205㎡

1.店舗兼貸店舗の評価額
㋑ 1億円×借地権割合70%=7,000万円
㋺ ㋑×(1-0.3×105㎡/205㎡)=59,243,902円

2.小規模宅地等の特例対象となる特定事業用宅地等の価額と面積
㋑ 特定事業用宅地等の価額(自前店舗)
借地権7,000万円×100㎡/205㎡=34,146,341円

㋺ 特定事業用宅地等の面積(自前店舗)
200㎡×100㎡/205㎡=97.560976㎡

3.小規模宅地等の特例対象となる貸付事業用宅地等の価額と面積
㋑ 貸付事業用宅地等の価額(貸店舗)
借地権7,000万円×105㎡/205㎡×(1-0.3)=25,097,561円

㋺ 特定事業用宅地等の面積(貸店舗)
200㎡×105㎡/205㎡=102.439024㎡

②借家権割合はいくらと考えるのでしょうか?
→借家権割合は30%です。

常に迅速に解答して頂き有難うございます。トンチンカンな質問にも素人の私にも分かるように例示までしてご説明頂き本当に助かりました。よく分かりました。ご迷惑かもしれませんが、また不明点が出たら助けて頂けると幸いです。
有難うございました。

税理士ドットコム退会済み税理士

お役に立てて何よりです。
またご不明点等がありましたら、お気軽にご質問ください。

お忙しい中、申し訳ございません。
最後にもう一つだけ確認させて下さい。
父が所有する店舗兼賃貸建物(借地)についてですが借地権つき建物は父個人の名義となっております。
賃貸部分並びに自前店舗部分(父が社長)からも父個人に賃料が毎月発生しています。
この場合の自前店舗は貸付事業用宅地と考えるのでしょうか?
それとも借地上の特定事業用宅地と考えるのかが
分かりません。教えて頂ければ幸いです。

税理士ドットコム退会済み税理士

自前店舗とはお父様が自営業でされているのではなく、同族会社なのですか?
つまり、お父様の借地にお父様が建物を建て、それを同族会社と第三者に賃貸しているということですか?
また、同族会社に賃貸しているとして、「土地の無償返還に関する届出書」は税務署に提出しておりますか?
同族会社からの賃料は固定資産税相当額など使用貸借と考えられるような、周辺相場に比して著しく低い金額ではないですか?
前提が違いますので、先の回答もだいぶ変わってきます。
まずは、権利関係をハッキリさせてから、再度ご回答させていただきますので、ご返答のほどお願い致します。

すいません。ご連絡有難うございます。
わかる範囲でご説明します。
有限会社ですが同族会社になると思います。
従業員は父と母、私と私の妻です。 
母、私、妻が役員になります。
土地の無償返還に関する届け出書は提出していないと思います。
80年程前に祖父が地主様より借地として契約し
住居として使用。その後祖父が住居兼店舗として
使用し40年前に店舗のみとなり父が20年前に相続し10年前から第三者への賃貸を始めたようです。
現在父が代表の店舗から父個人に年間150万円
で賃貸しております。
説明が下手で申し訳ございません。
宜しくお願いします。

税理士ドットコム退会済み税理士

ご返信ありがとうございます。
その有限会社からの賃料150万円が周辺相場と比べてどうなのかは分かりかねますが、賃貸借であるものとしてご回答いたします。

それでは、まず貸家建付借地権の評価額につきましては、その全体が賃貸されておりますので、
① 1億円×借地権割合70%=70,000,000円
② ①×(1-0.3×205㎡/205㎡)=49,000,000円
というような計算式になります。
(借地権割合は適当な数値にしておりますので、実際の割合は路線価図でご確認ください。)

次に、小規模宅地等の特例についてですが、同族会社(有限会社)が利用している自前店舗部分については、その借地を相続する方が相続税の申告期限においてその同族会社の役員であり、その借地を相続税の申告期限まで有しており、かつ、申告期限までその同族会社の事業の用に供している場合、「特定同族会社事業用宅地等」に該当し、特例による減額割合は80%です。
整理すると以下のような計算になります。

1.小規模宅地等の特例対象となる特定同族会社事業用宅地等の価額と面積
㋑ 特定同族会社事業用宅地等の価額(自前店舗)
評価額49,000,000円×100㎡/205㎡=23,902,439円

㋺ 特定同族会社事業用宅地等の面積(自前店舗)
200㎡×100㎡/205㎡=97.560976㎡

2.小規模宅地等の特例対象となる貸付事業用宅地等の価額と面積
㋑ 貸付事業用宅地等の価額(貸店舗)
評価額49,000,000円×105㎡/205㎡=25,097,561円

㋺ 特定事業用宅地等の面積(貸店舗)
200㎡×105㎡/205㎡=102.439024㎡

少し難しいかもしれませんが、ご相談者様の状況に近い情報が国税庁にありますので、よろしければ下記URLからご確認ください。
国税庁HP:特定同族会社事業用宅地等と貸付事業用宅地等が混在する場合
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sozoku/100713/03.htm

何時もスピーディーな解答に感謝しています。
丁寧な説明で少しずつですが理解が深まった気がしています。
確認ですが、特定同族会社事業用宅地に該当すると仮定した場合、1.イの価格(23,902,439)から
8割減額と考えればよいのでしょうか?
何度もすいません、宜しくお願いします。

税理士ドットコム退会済み税理士

確認ですが、特定同族会社事業用宅地に該当すると仮定した場合、1.イの価格(23,902,439)から
8割減額と考えればよいのでしょうか?
→はい。ご理解のとおりです。

 ただし、何度も同じことを申し上げるようで恐縮ですが、その土地の形状や、都市計画法などで土地規制などがあれば減額できるかもしれませんし、借地権割合も適当な数値を使って計算しているものですから、実際の評価額はこれまでのご回答で記載させていただいている金額とは異なりますこと、予めご了承ください。

お礼が遅れて申し訳ございません。
今回は私のしつこい質問にも丁寧に分かりやすく
しかもスピーディーに解答して頂き有難うございました。大変参考になりました。素人なりに少しずつ理解が深まったように思います。
またお世話になる事があるかもしれませんが、
宜しくお願い致します。

税理士ドットコム退会済み税理士

とんでもございません。
そもそも、納税は国民の義務としながら、こんなに理解の難しいものになっている税法にも問題はあると感じております。
また、分からないことがあれば、どうぞご質問ください。

本投稿は、2021年07月08日 14時14分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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