国債購入と贈与税
5年前に、父が息子の私に国債を買ってくれました。父が預金を下ろした1000万円をもって一緒に銀行に行き、その銀行で国債を私名義で購入、同時にその銀行に私の口座を作りました。父のお金で買った国債ですから、これは名義預金と同じで父が死亡して相続が発生したときには相続税の対象だなと思っていました。「息子に国債を買ってやった」と喜んでいる高齢の父に水をさすようで、事実上は私のお金にはならないとは、父には告げず感謝だけしました。最近相続税の控除額が下がり、私にも相続税が間違いなく発生するとわかり、いろいろ調べていたところ、この国債購入は相続時に名義預金とみなされるものではなく、贈与にあたるのでは思うようになりました。10年物の国債で私自身換金可能ですが、そうすると名義預金扱いにはならなくなると思い、そのままにしてありますが、換金して父の口座に返せば贈与にあたらず、相続財産になるのでは思っています。また換金して贈与税の期限後申告をすることも考えましたが、素人計算では400万円近い税金なってしまいそうです。アドバイス、よろしくお願いいたします。
税理士の回答
ご指摘のとおり、これは贈与と考えられます。ただし厳密にいえば、貴方は受贈の意思(もらったという認識)がなかったのですから贈与は成立していない、という理屈もあります。しかしその場で立ち会っている以上、常識的にはその主張は通らないと考えられましょう。
しかし贈与であったにせよ、それは勘違いによるものですから、「換金して父の口座に返せば」贈与税の問題は生じないと思います。仮に後日、税務署からこの件への問い合わせがあっても、この経緯の説明で納得してくれるはずです。
確かに親父さまに返せば、これは当然に相続財産になります。しかし贈与税の期限後申告払う税金(177万円)より、おそらく相続税の税金の方が安い(場合によってはゼロ)と思われます(親父さまがかなりの資産家であれば、話は別ですが)。
ですからなるべく早めに親父さまにお返しすることをお勧めいたします。
とはいえ、このご質問にはもう一点微妙な問題が潜んでいます。つまり「国債を購入したのは5年前であり、あと1~2年で贈与税の納税義務は時効(原則6年)になるではないか」という考えが出てくる余地があることです。
しかし私は、そうした考えは採りたくありません。その理由として、まず「適正な納税義務の実現」の観点から好ましくないことが挙げられます。
もう一点は、親父さまの相続発生に際してこの1,000万円を贈与済みとして相続財産から除外した申告を行った場合、税務調査でこれが「名義預金ではないか」と突っ込まれる余地があるからです。その場合、当初は名義預金と認識していた経緯があること等から、この追求を免れるのは容易ではないように思うわけです。
いずれにしてもこの1,000万円は、なるべく早めに親父さまにお返しすることをお勧めするしだいです。
ご回答、ありがとうございます。とても参考になりました。1点、質問させてください。期限内申告をした場合の贈与税は、231万円だと思います。回答文中の、贈与税の期限後申告払う税金(177万円)とは、加算税と延滞税の合計で、払うべき税金は贈与税も含めて408万円という解釈でよろしいでしょうか。
大変失礼しました。177万円は、直系尊属からの新税制による贈与の計算でした。この贈与は5年前ですからご指摘の231万円が正当です。
また期限後申告は延滞税のペナルティがきつく、10%の無申告加算税を含めた納付すべき税の総額は400万円超となるというご理解でよろしいものと思います。
本投稿は、2017年05月16日 13時35分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。