源泉徴収簿兼賃金台帳の所得税について
会社から基本給と歩合給をいただいています。
給料日には、基本給の明細書と歩合給の明細書をそれぞれもらっています。
基本給からは、所得税と社会保険料が控除されています。
歩合給からは、所得税だけが控除されています。
「源泉徴収簿兼賃金台帳」を見ると、歩合給の記載がありません。
所得税の欄を見ると、基本給から控除されている所得税のみが記載されており、歩合給から控除されている所得税の記載がありません。
質問
①「源泉徴収簿兼賃金台帳」に歩合給を記載する必要はないのでしょうか。
②「源泉徴収簿兼賃金台帳」に載っていない歩合給から控除された所得税はどのように処理されていると考えればいいのでしょうか。
③会社のこのような経理が法に触れる可能性はあるでしょうか。
会社が本来なすべき経理をしていないかもしれないと思うと、今後のことが不安です。
ご回答いただきたく、よろしくお願い致します。
税理士の回答

会社側が
①基本給については「給与」として処理
②歩合給については「報酬」として処理
している可能性があります。
②の歩合給の部分はどの程度税金が引かれていますか?
控除されている税額が、税金を控除する前の金額の10.21%だとすると報酬として処理されている可能性が高いです。
もし、歩合給に相当する仕事が基本給部分の仕事と同じであるならば、支給される金額の全ては給与となるかと思います。
(会社側の処理が誤っています)
歩合給部分が報酬ということであれば、報酬部分は雑所得として確定申告が必要となるかと思います。
会社側にどのように処理されているか確認した方が良いですね。
鈴木先生
お忙しい中、ご回答いただきましてありがとうございました。
歩合給の明細書を見ると、10.21%の記載がありますので、報酬として処理されていることが分かりました。
連続の質問で申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。
質問
①報酬(雑所得)は、源泉徴収の対象ではなく、確定申告の対象だから「源泉徴収簿兼賃金台帳」に載せる必要はないとの理解でよろしいでしょうか。
②歩合給に相当する仕事と基本給部分の仕事に違いらしい違いはないと思われるのですが、会社に確認してみます。
基本給(給与)と歩合給(報酬)に分けた場合とこれを分けない場合(給与のみ)とで変わってくることは何が考えられるでしょうか(確定申告の要否くらいでしょうか?)

①もし仮に内容がお給料で無いとすれば、報酬部分は賃金台帳に載せる必要はありません。
代わりに会社は「誰にいくら払ったか」ということを法定調書という書類に記載して税務署に提出します。
②分けない場合(すべて給与)であれば全額が給与所得ということになります。給与所得控除というサラリーマンに認められる所得控除が受けられますし確定申告も要りません。
それに対して分けた場合、給与部分は給与所得控除が受けられますが、報酬部分は雑所得となります。
雑所得は、ご自身で経費などがあれば集計する必要がありますし、確定申告も必要になります。
もし経費が無ければ、給与所得控除が受けれない分だけ不利になります。
鈴木先生
ご回答いただきましてありがとうございます。
市役所発行の「所得証明書」との関係でお聞きしたいのですが(何度もお聞きしてすみません)
会社が法定調書を税務署に提出しておけば、「所得証明書」には基本給(給与)はもちろん、歩合給(報酬)もきちんと載るのでしょうか。
それとも、歩合給(報酬)について確定申告をしない限り、「所得証明書」には歩合給(報酬)は載らないのでしょうか。

説明上、相談者様をAさんと仮定させていただきます。
法定調書というモノは「会社がAさんにいくら払いましたよ~」という報告をするだけのものですので、それだけではAさんの所得や税金に影響を与えません。
Aさんが自分自身で確定申告をしなければ、報酬部分は所得に反映されませんし税金の精算も行われません。
逆に言えば、税務署としてはAさんの法定調書が提出されているのにAさんが確定申告していないと「申告が漏れているのではないか?」ということが分かるようになっています。
市役所は税務署からの情報または会社から送付される給与支払報告書に基づき、Aさんの所得を補足します。
Aさんの報酬部分は税務署からの情報に基づきますので、確定申告をしない限りは所得証明書に報酬部分は載りません。
鈴木先生
お忙しいにもかかわらず、丁寧に説明していただきましてありがとうございました。
基本給と歩合給の税務上の取り扱い、源泉徴収、確定申告と所得証明書の関係を理解することができました。
何も分からず不安だったので、少し安心できました。

給与と報酬の線引きはグレーな部分も多いと思います。会社に確認した方が良いかと思います。
本投稿は、2015年09月17日 15時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。