源泉徴収義務者でない場合の印税分配時の源泉徴収について
音楽出版社⇒当方(著作権者)⇒先方(著作者)に音楽著作権印税を支払う際、源泉徴収を行うべきであるかについてお伺いいたします。
「給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人」に該当する場合には源泉徴収する必要はないという事になっています。
私は給与や退職金を誰にも支給していない事から、源泉徴収を行う必要が無いと解釈しております。
実際に問題にならないかをお伺いできればと思います。
税理士の回答

土師弘之
個人でも原則として「源泉徴収義務者」なりますが、常時2人以下の家事使用人(家庭のお手伝いさん)のみに給与を支払う場合には、源泉徴収を行わなくていいことになっています。
そして、給与所得について源泉徴収義務を有する個人でなければ、報酬料金等についての源泉徴収を行わなくていいことになっています。
この2つの規定から、おっしゃる通り、給与の源泉徴収義務のない個人は、報酬料金の源泉徴収を行う必要はないことになります。
土師先生
ご回答誠にありがとうございます。
具体的に話しますと、私は個人事業主で、更に著作権譲渡契約自体は友人の個人事業主と連名で先方の著作者と契約を結んでおり、私と友人が著作権を有しております。
あくまで権利は2人が持っていると言うだけでお金の流れは私の事業用口座に音楽出版社から入金があり、私の口座から著作者に振り込みをしております。
私も友人もそれぞれ別事業者として個人事業主開業届けを出し、白色申告で、従業員の雇用はしておりません。
この場合も源泉徴収は必要ありませんでしょうか。
何卒宜しくお願い致します。

土師弘之
著作者に対する支払い分について、源泉徴収すべきかどうかの心配をしておられるのでしょうか。
著作権は著作者からあなたはが2人が譲渡を受けているはずですので、著作者に支払うのは著作権の買取の対価であって、報酬料金である「著作権の使用料」ではありません。
「著作権の使用料」は音楽出版社が著作権者であるあなたと友人の2人に支払われるものです。
著作者に支払われるのが「音楽著作権印税」となっているのかどうか、契約内容をもう一度確認してみてはいかがでしょうか。もしそうであれば契約内容は矛盾が生じていることになります。
土師先生
再三にわたりご回答誠にありがとうございます。
こちらの件は著作権印税で間違え御座いません。
先生のおっしゃる通り『「著作権の使用料」は音楽出版社が著作権者であるあなたと友人の2人に支払われるものです。』と思いますが、その印税の取り分の一部を実際作品を作った著作者に再分配をしています(その条件で譲渡契約書を結んでおります。)。
その為、音楽出版社→著作権者(私たち2人)→著作者(作家)の流れで印税取分の分配を行っている事になります。
当然、私たちは著作権者は半分以上徴収し、一部のみ著作者(作家)に分配しております。
従って契約上著作権は、著作権者(私と友人の2人)が共同で著作権を有している状態です。
ただ、実際のお金の流れは、音楽出版社→著作権者(私)→著作者(作家)/音楽出版社→著作権者(私)→著作権者(共同で著作権を所有する友人)の2つの流れが生じております。※要するに出版社からの入金は私が窓口として私の口座にまとめて入金が入り、それを分配しているという事になります。
著作権者(私)も著作権者(友人)も著作者(作家)も全員が個人事業主で雇用はしておらず、源泉徴収義務者には当たらないのではないかと考えております。
ご回答頂けますと幸いで御座います。
宜しくお願い致します。

土師弘之
給料の支払いがない以上、源泉徴収義務者にはなりません。
余談ですが、(所得計算に影響すると思われるので)
契約書が「著作権譲渡契約書」になっているのであれば、著作権はあなたと友人に移ったと考えざるを得ず、著作者に支払う金銭は、著作料の再分配の形を採っていても、これは著作料ではなく、「著作権の譲渡対価の分割払い」と考えるのが妥当だと思います。(著作権を持っていない作家に支払う金銭が「著作権使用料」になるとは思われません。)
土師先生
誠にありがとうございます。心より御礼申し上げます。
契約書にもその事項を追記したいと考えております。
本当に大変勉強になりました。
本投稿は、2020年05月21日 12時24分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。