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年末調整:前職源泉徴収票の件

お世話になって居ります。
標題の件ご相談させていただきます。

年末調整に向け、中途採用者に対し、「前職の源泉徴収票をお持ちの方はご提出ください」と案内したところ、
・「必ず提出しなければならないのでしょうか? 任意ですか?」
・「いずれにしても確定申告するので、提出しなくてもいいですか?」
との連絡が複数入りました。
事業所人事担当としては、どのように対応するのが正しいのでしょうか?

冊子等読みましたが、事業所の「必須」、「義務」という記載は見つかりません。
・「必須というわけではありません。任意です。」
・「提出期限までにご提出いただいた分については、年末調整にて計算させていただきます。」
・「間に合わない分は、確定申告ください。」
という案内で間違いないでしょうか??
基本的なところで申し訳ないのですが、先生方のご指導をいただきたく、何卒宜しくお願い申し上げます。

税理士の回答

回答します

 ご理解のとおりとなります。
 ただし、「任意」というよりも半強制(半義務)となっています。
 また、前職分の「源泉徴収票」の提出がない方に関しては、年末調整を行わず、給与の支給金額と徴収した源泉徴収税額及び社会保険料などの額を記載した「源泉徴収票」を発行して、本人が確定申告をすることいより、所得税を精算することになります。

【理由】
 所得税は、各人に帰属する全ての所得を「総合」し、その所得から基礎控除などを差引したのち課税する「総合課税」の建前をとっています。そして、所得者本人が所得とそれに対する税額を計算し、納税する「申告納税制度」を採用しています。
 しかし、給与等で生計を立てている方は、給与の支払者の下で比較的容易に総合課税の要請に応ずることが出来るため、給与の支払者に
め源泉徴収と「扶養控除申告書」の提出のある者に関しては、その年最後の給与の支払時に「年末調整」を義務づけ、給与所得者が申告納税する手数を省くこととしています。
 そして、その義務を遂行するため、前職がある方に関しては前職分の「源泉徴収票」の提出を受ることにより、正しい年末調整(所得税の精算)ができることになり、前職のある方には前職分の「源泉徴収票」の提出をお願いするように、説明会などではアナウンスしています。
 そのようない意味で「任意」というよりも「半強制」と回答させていただきました。

 しかし、実務上は前職の源泉徴収票の提出を拒む方もいるため、提出のない方は年末調整ではなく、確定申告により所得税の精算を行うようアドバイスをしております。

米森先生
  お世話になって居ります。
  ご返信ありがとうございます。
  なるほど、よくわかりました。社員にも、先生のご指導をもとに説明しようと思います。
  年末調整は事業所の義務、正しい年末調整計算のために前職源泉が必要
 →事業所としては、対象者へ依頼を行う→提出されたものは計算実施
 →未提出、提出拒否等の場合には年末調整の計算に含むことはできないので、
  確定申告いただく、ということですね。

  前職源泉提出依頼の書面を配布したところ、
  「どうせ確定申告するのだから、任意でいいはずだろう。
   提出期限まで書いてあるが、過ぎた場合(会社は)対応しないのだから、
   はじめから提出の必要はないだろう。」
  という意見があり、対応に悩んで居りました。
  丁寧にご指導いただきありがとうございました。

ご理解のとおりとなります。
 
 私は前職(国税)において、源泉所得税の指導・調査などを専門に行ってきました。事務を行うにあたり源泉徴収義務者への指導の際には、国税局より「源泉徴収制度は計算から徴収、納税まで源泉徴収義務者の協力があっての制度である」として、協力を得られるように指導するように指示されていました。
 
 源泉徴収義務者の皆様には、正しい源泉徴収の計算と納税を「義務」として法令上負わせているものの、前職の「源泉徴収票」を提出しない者に対して無理をさせるのは申し訳ないとして、説明会などでは、口頭で「前職の源泉徴収票を提出しない者の年末調整は行わないでください」とアナウンスするにとどまっています。

 もちろん、「源泉徴収(年末調整も含む)」そのものは任意ではなく、仮に「確定申告をする」との申し出があったとしても、源泉徴収は義務として行う必要があり、万一源泉徴収がされていないかった場合は、その源泉所得税の納税義務とペナルティは源泉徴収義務者が負うことになります。
 源泉徴収が任意となると、源泉徴収制度そのものが成り立たなくなってしまいます。それらのことをお含みおきいただいたうえ、従業員の方へのご指導をお願いいたします。

米森先生
 お世話になって居ります。
 先生のご経験、貴重なお話をお聞かせくださってありがとうございます。
 
 源泉徴収義務者(会社)が、源泉徴収制度を正しく遂行するためには、給与所得者(社員)の
 協力が不可欠ですが、先生のおっしゃるように、例えば前職源泉の提出を拒む社員も居り、
 悩ましいところでした。
 しかし、先生のご指導により理解でき、社員への説明のできそうです。
 米森先生、ありがとうございます。

  ご返信ありがとうございます。

  社員の皆様へのご指導、大変でしょうがよろしくお願いいたします。
  なかには、前職の源泉徴収票の提出がないにも関わらず、年末調整をしてしまい、調査で指摘をされるケースもありますのでご注意ください。

本投稿は、2020年10月12日 18時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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