取引先に燃料代を請求するの場合の課税区分
不動産業者です。取引先に材料代金燃料代を請求するときに軽油は消費税ありで、
軽油引取税は消費税なしで請求しました。
売上を計上するとき軽油引取税分は不課税売上でよろしいでしょうか?
税理士の回答
軽油引取税は消費税がかからないため不課税売上になります。
辰見浩一
軽油引取税そのものは消費税の対象外になりますが、そのことから直ちに、取引先へ請求した軽油引取税相当額がそのまま不課税売上になるとまでは言い切れないように思います。
軽油引取税について、特別徴収義務者である特約店等が販売する場合は課税標準に含まれない一方で、それ以外の者が販売する場合は課税標準に含まれるとしています。 (https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/shohizei/shohizeishikumi/kazeihyojunzeiritsu/kojinshohizei.html?utm_source=openai)
そのため、ご質問のように不動産業者の方が燃料代を取引先へ請求する場面では、軽油引取税相当額のみを不課税売上として処理するというより、まずはその請求が立替精算なのか、あるいは自己で負担した燃料代の再請求なのかを確認して判断するのがよいように思います。
後者であれば、通常は請求額全体を課税売上として整理する方向が自然ではないでしょうか。
軽油引取税に相当する金額を、請求書等で軽油本体価格と明確に区分し、かつ消費税を上乗せせずに請求している場合、その軽油引取税相当額は消費税の課税標準(課税資産の譲渡等の対価の額)には含まれません。酒税やたばこ税などの個別消費税はメーカーなどが納税義務者となって販売価額の一部を構成するため課税標準に含まれる一方、軽油引取税、ゴルフ場利用税、入湯税は利用者などが納税義務者となっているため、その税額に相当する金額を請求書や領収証等で相手方に明らかにし、預り金または立替金等の科目で経理するなど明確に区分している場合には、課税標準には含まれないとされています(根拠:消基通10-1-11)。
つまり売上計上時は、
材料代金・軽油本体価格 → 課税売上
軽油引取税相当額 → 不課税(対価に含まれない部分として区分)
という整理で問題ありません。
実務上の注意点は下記の3つです。
①区分表示が必須
税額に相当する金額を明確に区分していない場合には、課税標準に含まれることになります。今回のように請求書上で軽油引取税を別立てし、消費税を課さずに請求している状態は、この「明確な区分」の要件を満たしています。
②金額の一致
請求先に転嫁する軽油引取税相当額は、実際に負担した(仕入先の請求書に記載された)軽油引取税額と一致している必要があります。ここに利益を上乗せしている場合、その上乗せ部分は対価性を持つため課税売上に含める必要があります。
③特別徴収義務者からの仕入れであること
軽油引取税は、その特別徴収義務者である特約店等が販売する場合(特約店等からその販売委託を受けてサービス・ステーション等が販売を行う場合を含みます)は課税標準に含まれませんが、特別徴収義務者に該当しないサービス・ステーション等が販売する場合には、課税標準から軽油引取税を控除することはできません。通常のガソリンスタンド等での購入であればほぼ特約店(またはその委託先)に該当するため問題になることは稀ですが、念のため仕入先の請求書・領収証で軽油引取税額が明示されているかを確認しておくと安心です。
勘定科目については、売上高の内訳として「不課税売上」の税区分で計上する方法でも、預り金・立替金といった科目で処理する方法でも、消費税申告上は同じ扱い(課税標準に含めない)になります。
結論から申し上げますと、ご質問のように「売上」として計上する場合、請求書に記載した軽油引取税分は「不課税売上」ではなく、全額が「課税売上」となります。
理由は以下の通りです。税務上非常に間違いやすいポイントですので、国税庁のルール(根拠)と併せて解説いたします。
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1. なぜ全額が「課税売上」になるのか?
軽油引取税が消費税の対象外(不課税)として認められるのは、「特別徴収義務者(元売業者や特約店などのガソリンスタンド)」が販売する場合のみと国税庁によって定められています。
不動産業者である貴社は、軽油引取税を都道府県に納める「特別徴収義務者」ではありません。貴社がガソリンスタンド等で軽油を購入した際、軽油引取税は「貴社自身が消費者として負担した経費(コスト)の一部」になります。
したがって、それを取引先に「燃料代」として上乗せして請求する場合、取引先から軽油引取税という税金を預かっているわけではなく、「自社が負担した経費を取引先に請求している(=事業の対価)」とみなされます。
そのため、請求書上で「軽油代」と「軽油引取税」を分けて記載したとしても、消費税法上は全額が課税売上(消費税の課税対象)となります。
【根拠:国税庁タックスアンサー No.6313】
(注) 軽油引取税は、その特別徴収義務者である特約店等が販売する場合は課税標準に含まれませんが、特別徴収義務者に該当しないサービス・ステーション等が販売する場合には、課税標準から軽油引取税を控除することはできません。
※一般事業者(下請け業者や他業種)が請求する場合も、これと同様に扱われます。
2. 今後の経理処理と申告上の注意点
すでに取引先へ「軽油引取税は消費税なし(不課税)」として請求書を発行されているとのことですが、自社の帳簿で「売上」として処理する際は、軽油引取税として請求した金額も含めて「課税売上」として計上(消費税の計算に含める)する必要があります。
これを不課税売上として処理してしまうと、消費税の申告時に売上の消費税額が過少申告となり、税務調査等で指摘される(追徴課税の対象になる)リスクがあります。
3. 【例外】もし「立替金」として精算した場合
今回の請求が自社の「売上」ではなく、「立替金」の精算に該当する場合は不課税(消費税対象外)となります。ただし、立替金として認められるには以下の要件を満たす必要があります。
* 貴社を通さず、最初から「取引先宛の領収書」をガソリンスタンド等でもらっている
* 貴社の経理処理において「売上」や「経費(燃料費)」に計上せず、単なる「立替金(資産)」の入出金として処理している
ご質問文に「売上を計上するとき」とありますので、自社の売上や経費を通している場合は、上記でお伝えした通り全額が課税売上となります。
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【まとめ】
次回以降、取引先に燃料代を請求(売上計上)する際は、軽油引取税という名目で分けるのではなく、貴社が支払った総額(軽油引取税を含めた金額)をベースに、全体に消費税をかけて「燃料代」として請求するのが税務上正しい取り扱いとなります。
軽油引取税の分を不課税売上にできるのは、貴社が軽油引取税の特別徴収義務者(特約店など)として販売している場合だけです。不動産業者である貴社が給油所で買った軽油を取引先に請求する取引では、請求した金額の全額が課税売上になります。
軽油引取税は利用者が納税義務者の税金なので、特約店等が販売するときは請求書で区分すれば消費税の対価に含めません。ただし特別徴収義務者でない者が販売する場合は課税標準から軽油引取税を除けないと国税庁も明示しています。貴社が給油所に払った軽油引取税は貴社のコストで、取引先から税金を預かっているわけではないからです。
例外は、取引先名義の給油代を貴社が立て替えて払っただけの場合で、その部分は貴社の売上ではなく立替金です。自社で使った燃料の実費を請求しているなら、軽油引取税相当額も含めて課税売上で計上してください。
本投稿は、2026年09月08日 00時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







