別表5-1にある貸付金と未収利息について
当社の決算書をチェックしていたら、別表5-1に子会社への貸付金と未収利息、代表者未収利息が計上されていました。前代表者の指示で会計事務所で処理したようです。仕訳帳を見ると、これらは貸倒償却され、別表5-1に計上されていました。
①貸倒償却し、別表5-1に計上している目的が分からないのですが、何か理由があるのでしょうか?
②別表5-1に計上されている代表者未収利息を帳簿から消すには、代表者に返済してもらうしかないのでしょうか?
③返済されずに代表者がなくなった場合には、子供に代表者未収利息を請求してもよいのでしょうか?
④子会社は売上がほとんどなく、貸付金や未収利息を回収できないのですが、その場合にどのような処理の方法があるのでしょうか?
税理士の回答

新木淳彦
こんにちは。
本当に悩ましい問題ですよね。
当事務所でも、このような問題を抱えておりました。
では当事務所はどうしたかですが、次のとおり処理しました。
まず、別表5-1の期首残に計上され、そのまま期末残に同じ金額が計上されていると思います。この場合、過去の貸倒償却した事業年度において、別表4の加算欄にその金額が貸倒損失否認として計上されていると思われます。
これは、企業会計上貸倒損失として処理したが、法人税を計算するうえでは、貸倒損失として処理しない場合の法人税を計算するためです。その翌年において、別表5-1で期首残に数字が計上されます。
これが①の理由です。
②ですが、企業会計上は貸倒損失計上しておりますので、本人が返しますと言わない限り回収は不可能です。
③ですが、代表者が債務として認識していれば、子供に請求できるかもしれませんが、仮にできたとしても「時効」を主張されるのがオチでしょう。
④についても貸倒処理されているとの事ですから、回収は出来ないでしょう。
②~④の債権(貸倒処理しているので税務上の債権となる)を回収するのは無理だと思われますので、処理としましては、2つの方法があります。
1つ目、相談者様の会社の株主総会を開催し、税務上の債権について回収方法を検討し、その検討結果に基づいて実行し、それでも回収できないと判断された場合は、別表4でその金額を減算欄に記入し、別表5-1で減少欄に記入して全額を消し込む方法。
2つ目は、別表4の減算欄に記入し、その金額を同時に別表4の加算欄と社外流出欄に記入します。同時に別表5-1でその金額を減少欄に記入します。
1つ目の方法は、法人所得を貸倒れの金額分だけ減少させることになりますので、税務署から何か言われる可能性もあります。
2つ目の方法は、法人所得を増加も減少もさせないので一番影響は少ないはずです。
ただし、どちらの方法を採用するにしても、相談者様の会社を顧問している税理士先生と良く事前打ち合わせしてからの処理として下さい。
ご検討をお願いいたします。
ちなみに当事務所の場合は2つ目の方法を選択し処理しました。
この方法で特に問題になったことはありません。
ただし、相手に返済能力があるにも関わらず、このような処理をした場合には、相手方に贈与の可能性もありますので、証拠資料を十分に備えてから行ってください。
丁寧なご回答有難うございます。
追加で質問です。
2つ目の方法で処理した場合、別表4と別表5-1に記入するだけで、他の調書には影響しないのでしょうか?
②について追加質問です。
代表者は、代表取締役を退任し、退職金(数千万円)を受け取っています。代表者未収利息は数百万円なので、この場合、返済能力があると判断される可能性は高いのでしょうか?
返済能力があると税務署に判断された場合には、贈与として扱われ、贈与税が発生するのでしょうか?

新木淳彦
こんにちは。
まず最初の質問ですが、2つ目の方法で処理した場合、会計処理は過年度において完了しておりますので、会計処理は基より特に調書も必要ないと思われます。
次の質問ですが、高額な退職金を受け取っているということであれば、返済能力はあると認められる可能性は高いと思います。
この場合、前代表取締役は債務免除益を受けたと認定され、課税される可能性が高いと言わざるを得ません。
そもそも、退職金自体を問題にされる可能性も含んでいると思われます。
ただし、これはあくまでも私個人の見解です。
従いまして、最終的な結論は顧問税理士と相談の上方針を決定して下さい。
よろしくお願いいたします。
本投稿は、2021年12月15日 19時38分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。