本人のものでない口座収入について
所有者の異なる不動産をひとつの口座で管理している場合の質問です。
両親それぞれの所有不動産(A物件は母、B物件は父と母の共有)の賃貸料振込先を母名義の口座ひとつにして、そこから地代の支払いや夫婦の生活費の引き出しを行っています。
この場合、B物件や地代支払は按分するとして、父の収入ではないA物件の賃貸料を、父の口座取引を入力する際どのように処理すればよろしいでしょうか。
A物件を除くと帳簿の残高と違いが出るため、悩んでいます。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

不動産の賃貸料収入を個人の確定申告で処理する場合、収入の計上方法と、帳簿のつけ方について検討する必要があります。ご質問のケースでは、以下の点がポイントになります。
1. 収入の帰属
A物件(母親所有):賃貸料収入は母親に帰属します。
B物件(父親と母親の共有):賃貸料収入は、共有持分に応じて父親と母親に帰属します。
2. 帳簿のつけ方
原則:それぞれの収入に対応する経費を差し引いて所得を計算し、確定申告する必要があります。
実務上の対応:ご質問のケースのように、一つの口座で管理している場合、以下のいずれかの方法が考えられます。
具体的な処理方法
以下のいずれかの方法で、父親の口座取引を入力する際にA物件の賃貸料収入を調整します。
方法1:A物件の賃貸料収入を「事業主貸」として処理する
父親の口座に入金されたA物件の賃貸料収入を、父親から母親への貸付(または贈与)とみなして処理します。
仕訳例:
(借方)事業主貸 ○○円 / (貸方)不動産収入 ○○円
この方法では、父親の収入として計上されたA物件の賃貸料収入を相殺し、帳簿残高とのずれを解消できます。
確定申告:母親はA物件の賃貸料収入を、自身の不動産所得として申告します。
方法2:A物件の賃貸料収入を「預り金」として処理する
父親の口座に入金されたA物件の賃貸料収入を、一時的に預かっているお金として処理します。
仕訳例
(借方)普通預金 ○○円 / (貸方)預り金 ○○円
その後、母親にA物件の賃貸料収入を渡した時点で、預り金を相殺します。
仕訳例
(借方)預り金 ○○円 / (貸方)事業主貸 ○○円
確定申告:母親はA物件の賃貸料収入を、自身の不動産所得として申告します。
方法3:按分計算を行う
A物件の賃貸料収入を、父親の口座に入金された時点で、母親への送金として処理します。
仕訳例
(借方)事業主貸 ○○円 / (貸方)不動産収入 ○○円
この方法では、父親の収入として計上されたA物件の賃貸料収入を相殺し、帳簿残高とのずれを解消できます。
確定申告:母親はA物件の賃貸料収入を、自身の不動産所得として申告します。
注意点
贈与税:A物件の賃貸料収入を母親に渡す際に、贈与とみなされる可能性があります。年間110万円を超える贈与には贈与税がかかるため、注意が必要です。
証拠書類の保管:賃貸契約書、領収書、通帳のコピーなど、収入や経費を証明する書類を保管しておきましょう。
その他
B物件の賃貸料収入については、父親と母親の共有持分に応じて、それぞれの不動産所得として申告する必要があります。
地代の支払いや生活費の引き出しについても、それぞれの収入に対応する経費として、適切に按分して計上する必要があります。
石割先生、ご回答ありがとうございます。
3通りの処理の仕方、確認すべき書類、按分の申告など参考に進めてみるよう伝えます。
本投稿は、2025年02月06日 08時05分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。