臨時株主総会での役員報酬額上限の改定について
期の途中で取締役を増員することになりましたが、その場合の役員報酬の合計が以前の定時株主総会で決議した役員報酬の上限額を超えてしまうことになります。
臨時株主総会を開催し、新取締役の就任とともに、役員報酬上限額の増額を決議したいと考えています。
一般に役員報酬の改定は年一度定時株主総会後と認識しておりますが、報酬上限額の増額は任意のタイミングで実施する臨時株主総会で差支えないでしょうか。
なお、臨時株主総会後、既存の取締役については、報酬の変更は行いません。
税理士の回答
一般に役員報酬の改定は年一度定時株主総会後と認識しておりますが、報酬上限額の増額は任意のタイミングで実施する臨時株主総会で差支えないでしょうか。
→会社法の取締役の報酬規定と法人税法上の役員給与の規定を混同されているようですが、法人税法上は同業種に比して不相応に高額な部分を否認する以外に報酬上限額に関する規定はありません。
ご記載の文章の内、前段は法人税法上の個々の役員の定期同額給与の改定のことで、後段の上限額は会社法上の規定です。
ご質問は、法人税法上の定期同額給与の改定に関するものではなく、会社法361条によるものであって、新任役員を含めた役員の給与が法人税法上の定期同額給与に該当する限り税法上の問題はありません。
ご回答ありがとうございます。
法人税法施行令第70条1号ロの規定により「定款の規定又は株主総会,社員総会若しくはこれらに準ずるものの決議により役員に対する給与として支給することができる金銭の額の限度額……略……を定めている内国法人が,各事業年度においてその役員……略……に対して支給した給与の額……略……の合計額が当該事業年度に係る当該限度額及び当該算定方法により算定された金額……略……に相当する金額の合計額を超える場合におけるその超える部分の金額」が損金不算入になるものと認識しています。
ここでいう「当該事業年度に係る当該限度額」を定時株主総会後の臨時株主総会で上書きできるのかが質問の趣旨です。
ご記載の施行令条文は、株主総会等で決議された限度額を超えて支給した場合に超えた部分を否認するというものです。
ご質問のケースは、就任(支給)前に臨時総会で決議するものであって時系列的に問題はありません。
事業年度途中での取締役の新任も臨時株主総会の決議が必要ですし、それに伴う役員報酬上限額の変更も臨時総会で決議しなければいけませんので、この決議による役員報酬を法人税法上認めなければ、事業年度途中で選任された役員報酬を税法が認めないというおかしなこととなります。
ご質問とは直接関係がありませんが、法人税法上の定期同額給与でも事業年度途中の職制上の地位の変更による改定は臨時改定事由として認められています。
該当の取締役の就任以前に決議すれば良いということですね。
ありがとうございました。
本投稿は、2021年06月26日 18時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。