不動産小口化商品の経理について
不動産小口化商品の経理について相談させてください。
不動産小口化商品を所有している法人で、年に2回分配金が入金されます。また毎年2月ころに確定申告資料が届き、持ち分に応じた損益計算書と貸借対照表が同封されています。この場合、分配金を受取配当金として処理するのはわかるのですが、確定申告資料に記載がある不動産所得(信託受益権型)も計上するのでしょうか?
逆に個人の場合は確定申告資料により不動産所得を計上しますが、期中の分配金入金も利益計上するのでしょうか?
どうぞ宜しくお願いいたします。
税理士の回答
不動産小口化商品(信託受益権型・任意組合型)の経理処理について回答いたします。
結論から申し上げますと、法人・個人ともに「確定申告資料(損益計算書)の数値で利益を計上」し、「期中の分配金入金は利益(収益)としては計上しない」のが正しい処理です。両方を利益にすると二重計上になってしまいます。
【1. 法人の場合の処理】
分配金を受取配当金として処理するのは誤り(税務上NG)となりますのでご注意ください。
理由:信託受益権型の小口化商品は、税務上「出資者が直接その不動産を所有し、自ら賃貸経営を行っている」とみなされます(パススルー課税)。そのため、株式の配当ではなく自社の「不動産事業の収益・費用」として処理します。
正しい経理処理の方法:
① 期中に分配金が入金されたとき(キャッシュの移動)
収益にはせず、貸借対照表上の勘定科目(預け金、投資未収入金など)を減少させます。
(借方)普通預金 〇〇円 /(貸方)預け金(または投資未収入金) 〇〇円
② 年に1回、確定申告資料(PL/BS)が届いたとき(損益の計上)
同封された損益計算書に基づき、自社の決算書に収益(不動産収入等)と費用(減価償却費等)を取り込みます。
(借方)減価償却費 〇〇円 /(貸方)不動産収入 〇〇円
(借方)預け金(差額) 〇〇円
※金額的重要性が低い場合は、純額(利益のみ)を「営業外収益」として処理できるケースもあります。
【2. 個人の場合の処理】
個人の場合も基本的な考え方は法人と同じです。
正しい経理処理の方法:
① 年に1回、確定申告資料が届いたとき(損益の計上)
確定申告資料に記載されている「不動産所得(収入から必要経費を引いた金額)」を確定申告書に計上します。これが課税対象となる利益です。
② 期中に分配金が入金されたとき(キャッシュの移動)
利益には計上しません。単なる資金移動(自分の手元にお金が戻っただけ)とみなすため、帳簿上は「事業主借」等で処理し、所得には影響させません。
【まとめ】
不動産小口化商品は「分配金が入った時」ではなく「不動産が利益を生んだ時(確定申告資料の数字)」に損益を認識するのがルールです。
① 法人:分配金は受取配当金ではない。入金時は預け金等の回収とし、届いた資料のPL/BSを決算に取り込む。
② 個人:分配金入金時は利益にしない。届いた資料の不動産所得のみを申告する。
もしこれまで受取配当金と確定申告資料の双方で利益計上していた場合、二重計上(税金の過払い)の可能性があります。
ご参考にしていただけましたら幸いです。
内容がお役に立ちましたら、ぜひベストアンサーに選んでいただけますと大変励みになります!
荒川先生、ご回答ありがとうございます!
回答に対する質問をして大変申し訳ないのですが、法人の決算がR8年5月として、確定申告資料が届くのがR8年2月です。2月に届く確定申告資料はR7年分の収益費用が計算されています。
この場合は事業年度に対応するためにどうすれば良いのでしょうか?
問い合わせをしたところ、個人のお客がメインなので暦年の確定申告資料となっているようです。
分配金と減価償却費を計上していれば大丈夫ですよという内容のことを仰っていました。
安島秀樹
パススルーというのは相手から計算書がとどかないと処理できませんから、なかみがいつのものでも届いた日の属するあなたの事業年度で処理すればいいようにおもいます。
ご質問ありがとうございます。
法人の決算期(5月)と、小口化商品の計算期間(12月決算・暦年)がズレている場合の実務対応ですね。不動産小口化商品(信託受益権型など)では、非常によく発生する問題です。
事業者が言う「分配金と減価償却費を計上していれば大丈夫」というのも、実務上の簡易的な対応を念頭に置いた発言だと思われます。
この「決算期のズレ」に対して、法人が取れる実務上の対応は大きく分けて以下の2パターンとなります。
【1. 確定した12月決算資料の数値をそのまま取り込む方法(継続適用が前提)】
不動産小口化商品の計算期間(1月〜12月)が終了した後に確定する年間数値(2月に届く資料)を、そのまま法人の当期(R8年5月期)の損益として計上する方法です。
① メリット:送られてきた確定申告資料の数字をそのまま使えるため、集計がシンプルで計算ミスが起きにくいです。
② 注意点:毎年同じルール(1月〜12月分を翌年5月期に計上する)で継続して処理することが必須条件(継続適用の原則)となります。
【2. 月割り・按分で法人の決算期(5月末)に合わせる方法】
原則通り、法人の事業年度(6月〜翌5月)に対応する期間の損益を計算して計上する方法です。
① 手順の例:
(1)R7年6月〜R7年12月分:2月に届いたR7年分資料から7か月分を算出
(2)R8年1月〜R8年5月分:分配金明細や月次報告書から5か月分を見積もり(または概算)計上
② メリット:期間のズレがなく、税務上最も厳密な処理となります。
【事業者の回答の意図と今後の対応アドバイス】
事業者が言っている「分配金と減価償却費を計上していれば大丈夫」というのは、「複雑な月割り調整をしなくても、届いた資料の数値(または実入金)をベースに計上しておけば、実務上大きくズレないため税務署から指摘されるリスクは低い」という意味合いです。
実務的な進め方としては、以下の対応をおすすめいたします。
① 今期の決算(R8年5月期)において、【1】の「確定した12月決算資料を継続して取り込む方法」で問題ないか、顧問税理士の方にご確認いただく(小口化商品ではこの処理が認められるケースが多いです)。
② 顧問税理士の方から厳密な対応を求められた場合は、【2】の「月割り・按分計算」にて処理を行う。
いずれの方法を選択する場合でも、一度決めたルールを毎年一貫して継続することが税務上もっとも重要となります。
ご参考にしていただけましたら幸いです。
安島先生、ご回答ありがとうございました!
送付された日の属する事業年度に処理する方法で処理をするようにします。
前任者が間違えていたことが確定し、私自身も知識不足でしたので勉強します。
お忙しい中ありがとうございました。
荒川先生、質問へのご回答ありがとうございました。
お恥ずかしながら不動産小口化商品に対する理解・知識があまりにも不足していました。
前任者が間違えていたところ、さらに間違えを繰り返してしまうところでした。
先生のご指摘から資料を確認したところ、不動産所得と分配金入金額(年2回)の合計額に大きな乖離はないので、これまで雑な処理をしていた処理をしていたのだとわかりました。
「確定した12月決算資料の数値をそのまま取り込む方法」で問題がないか確認したいと思います。
不動産小口化商品、パススルー課税について調べるために本を探そうと思います。
先生のご回答は簡潔・丁寧で、最後にまとめを提示してくださるので分かりやすかったです。
問題点の指摘、思考の流れを短い文章の中で示してくださりありがとうございました。
本投稿は、2026年09月09日 08時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







