有限責任事業組合(LLP)の分配と申告について
個人事業主2名で有限責任事業組合(LLP)を立ち上げる予定です。
【質問1】システムの事業についての分配はA:60%・B:40%/それ以外の事業の分配はA:50%・B:50%とした場合で分配する場合、LLP口座にクライアントから入金があり経費を差し引いて普通に各人に分配(確認の事業口座に振り込み)すればよろしいのでしょうか。
【質問2】LLPのお金の流れはLLP用の現金出納帳に入金と経費を記録し領収書などを保管しておくだけでよいのでしょうか。そして年度ごとに「有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書」に最終の収支を記して終了で、ほかに何もする必要はないのでしょうか。
【質問3】確認に分配された経費を差し引いたLLPの売り上げは、個人事業主の確定申告で申告しますが、源泉徴収などはせず単純にLLPからの入金額を営業売り上げとして計上すればよろしいのでしょうか。
【質問4】各個人事業主でLLP事業と重複する事業内容があったとしても、その事業を個人事業主として受注・実行した場合にはLLPの売上とは関係なく個人事業主側で普通に経費処理して問題ないのでしょうか。
【質問5】各個人事業主の売り上げのみで、LLPの売り上げが生じなくても、「有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書」は0円で提出するのでしょうか。
ご回答いただけますと幸いです。
税理士の回答

土師弘之
LLPの利益・損失について、各構成員の確定申告の方法は次の3通りあります。
①収入金額、支出金額、資産、負債等すべてを分配割合に応じて計上する方法
②収入金額、原価・費用の額、損失の額のみを分配割合に応じて計上する方法
③利益の額又は損失の額のみを分配割合に応じて按分する方法
このためには、まず、組合としての損益計算等が必要となります。
当然のことながら、そのための帳簿の作成・書類の保存も必要です。
「有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書」は組合としての損益計算等を報告するためのものであり、各構成員はこの「計算書」を基に確定申告書を作成します。この「計算書」がメインではありません。【質問1】【質問2】【質問3】
また、LLPとしての事業か各構成員個人としての事業かを明確にして取引することになっているため、重複することはあり得ないと思います。【質問4】
このようなことから、LLPが存在する以上、当該「計算書」の作成は毎年必要です。【質問5】
土師先生
この度はご回答ありがとうございました。
LLPの場合は収入も経費も割合に応じて割る事が出来るのですね。
その為A・Bが50%ずつの割合にした場合には、100万円が収入・50万円が経費とした場合、収入を50万円・経費を25万円ずつ分配する事が出来るという事ですね。
【質問4】についてですが、有限責任事業組合契約書で定めた事業目的と個人事業主の事業目的がかぶっている場合や、LLPと個人事業主で実際に同じ業務を行っている場合でも、契約書でLLPでの受注なのか個人事業主での受注なのかを明確にすることで、LLPの収入にするか個人事業主の収入にするかを切り分ける事が可能と考えてよろしいでしょうか。

土師弘之
【質問4】について、
債権者保護のために、組合財産と構成員個人の財産を明確に分別することを義務付けられていることから、「可能性」というより「強制」だととご理解下さい。
大変的確なご回答誠にありがとうございました。
本投稿は、2020年05月20日 01時44分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。