輸出業 円建てとドル建ての場合の経理について
前担当者から引き継いで経理をしていますが、前任者の経理処理で不明なことがありお聞きしたいのです。
輸出業をしており、消費税還付を受けています。A社は円建て取引、B社はドル建て取引です。
B社に関しては、請求時と入金時の為替レートの差額を損益計上しているのでいいのですが、A社についてよく分からないのです。
前任者の経理はこのようになっています。
(入金日のレートが105円、50,000$分入金あるとすると)
普通預金 5,275,000円 売掛金 5,300,000
為替差益 25,000円
となっています。レートに0.5円プラスして入金額を計算しているらしいです。社長曰く「毎回0.5円の優遇がついている!」とのこと。まず、これはなぜ0.5円プラスして計算するのでしょうか?
それと、為替差益をここで使うのでしょうか?そもそも円建てなので為替差益は生じないように思いますし、何か意味が違うような気がします。為替手数料でもないですよね?
長年経理をしてきましたが、輸出業の経理は初めてなので分からないことだらけです。担当の税理士に聞きましたが、「ずっとこの処理でしてるから」という意味不明な返答で、モヤモヤしています。
上記の2点解明したいので、ぜひご教授ください。よろしくお願いいたします。
税理士の回答
ご質問の文面だけでは確定的な回答は難しいので想定されることを記載します。
円建て取引であれば、ご質問者様が仰る通り為替差損益は生じない筈です。
0.5円優遇というのは、おそらく銀行との取引レートが0.5円優遇されており、これをA社との取引にも適用していると考えられますが、円建て取引の場合、貴社は単に円で受け取っているだけですから為替変動リスクはないので間違えていると思います。
A社との取引が本当に円建てであるのであれば、本来貴社が計上すべきでない為替差損益で法人税が過少又は過大になっていると思います。
但し、貴社とA社との契約は本当はドル建てで、銀行とは売掛金入金時に自動的に円転して入金されるような取引をしているのであれば、貴社とA社との取引はドル建て取引ですので、一度取引銀行にご確認されたら如何ですか。
上記のような場合であって、継続的にTTBレートで円換算しており0.5円の優遇を受けているのであれば、ご記載のような為替差益はあり得ます。
前田先生、丁寧にお教えいただきありがとうございます。何となく理解できました。円建てと社長が断言していますが、先生の仰るように“本当はドル建てで円転換しているだけ”の可能性があります。銀行に聞いてみようとは思いますが、他に何で判断できますでしょうか?何度も申し訳ございませんが、お教えください。
契約書や請求書ではないでしょうか。
お返事ありがとうございます。銀行の“外国送金到着のご案内”というのは私が見ることができます。それには、「外貨USドル〇〇〇 為替レート〇〇円」などの記載があります。どうもドル建てのように思いますがいかがでしょうか?
何度も申し訳ないのですが、もう一点だけ質問させてください。
A社との取引が、“ドル建てで円転換している場合”に該当するとして、優遇レートにより通常計算より多くもらった0.5%分は「為替差益」の勘定科目を使うということで合っているのでしょうか?もしそれで良いのだとしたら、これは貸方に計上すべきものではないかと思うのです。前任者の経理処理では売掛金と相殺されており、借方に計上されているので損金になっています。売掛金が全然合っていなくて、ずっと遡って調べていますが、仕訳がそもそも間違っているような気がするのです。
また、請求時と入金時のレートの違いによる差額も為替差益で計上すべきかと思いますが、その点はどうなのでしょうか?
何年もこの処理を続けてきているようです。今さら経理処理を変えるのに勇気がいりますが、きっちりした根拠が必要になると思いますので、どうぞお知恵お貸しください。よろしくお願いいたします。
外貨建てのようですね。
確かに、借方に差益がくるのは仕訳がおかしいですね。
よく確認しておりませんでした。すみません。
外貨建てを前提にすると、為替予約をしない限り、売掛金はそもそも売上計上日のレートになりますので、入金日時点で売掛金の円価額を確定するのはあきらかに間違えています。
例えば、売上日のレートが110円で、売掛金入金日のレートが105円であれば
売上時 (借方)売掛金5,500,000円/(貸方)売上高5,500,000円
入金時 (借方)普通預金5,250,000円・為替差損250,000円/(貸方)売掛金5,500,000円
としかなりません。
当初の回答の仕訳はありえますは訂正させていただきます。
おそらくご質問者様が疑問に思われた通り仕訳が間違えていると思います。
売掛金残高が合わないのは間違った会計処理を正しい申告所得に調整するために、そうせざるを得なかったのだと思います。
外貨建取引に係る会計処理等の基本通達は以下をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/13_2/13_2_01.htm
前田先生、本当に助かりました。税理士さんによってこんなにも教えていただけることが違うんですね。今までの会計処理が間違っていたら、もしかしたら大変な損失になるかもしれません。社長と今後のことをよく話したいと思います。
ありがとうございました。
法人税は基本的に益金損金という概念ですので、申告所得に間違いがなければ会計上の間違いは看過してしまう可能性があります。
尤も、法人税法では一般に公正妥当と認められる会計処理に基づいて所得計算をするとされていますが...
ご質問者様の経理知識は間違いないと思います。
本投稿は、2020年05月27日 10時17分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。