収納される土地と新たに買う土地
お願いします。
普通法人です。
自然災害で収納により買い取られる会社の土地の代金が、移転して新たに購入する土地の代金より少ない場合、圧縮記帳限度額は計算しますとマイナスになるので圧縮記帳額はゼロなのでしょうか。
税理士の回答
税理士の及川と申します。
よろしくお願いいたします。
土地を収用された場合の税法上の特例としては
1.上限5,000万円までの特別控除
2.ご質問の圧縮記帳
の選択ができます。
まず注意していただきたいのは、対象となるのは、収用金額(土地の代金)ではなく、利益=収用金額-土地の簿価だということです。
収用金額が1億円、土地の簿価が3千万円、譲渡経費は0円だとします。
利益は1億円-3千万円=7千万円です。
1.の特別控除を選択すると利益7千万円-特別控除5千万円=2千万円が法人税の課税所得となります。
2.の圧縮記帳ですが、代替資産(移転して新たに購入する土地)の代金が1億2千万円だとします。 圧縮限度額の計算は
差益割合=利益7千万円÷(収用金額-譲渡経費1億円)=70%
収用金額-譲渡経費1億円<代替資産1億2千万円∴1億円
圧縮限度額=1億円×70%=7千万円
となり、7千万円が圧縮記帳できます。
ですから収用金額<土地の簿価+譲渡経費のため赤字になる場合には特例の適用はありません。
以上です。

収用等があったときの圧縮記帳であれば、「代替資産の取得価額」と「補償金等の額ー譲渡経費の額」いずれか少ない額に「差益割合」を乗じた金額が圧縮限度額となります。そのため、「補償金等の額ー譲渡経費の額」の方が少ないようであれば、当該金額に「差益割合」を乗じた金額が圧縮限度額となります。より詳細をお伺いさせて頂く必要がございますが、「差益割合」がゼロでないようでしたら、通常、圧縮限度額がゼロとなることはないかと思われます。計算方法につきましては参考URLへご覧頂けるとお分かりになるかと思われます。
参考:収用等があったときの圧縮記帳
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5702.htm
以上、お役に立てますと幸いでございます。
ご回答を頂き感謝致します。
補足いたしますが、収用される土地の面積は、新たに移転して購入します土地の面積よりかなり狭い面積です(現在借地部分が多く、移転先土地は全て買い入れの為)。
結果として、収用補償金額が、収用される土地の簿価額より少ないため、差益割合の計算がマイナスになってしまうので、5千万円の特別控除も圧縮記帳もできない、ということでよろしいでしょうか。
それから、今回は移転先の土地は先行取得で補償金が次年度なのですが、買換えの特例の適用に関する届出書は適用にならないので出してはいけない、のでしょうか。それとも念のため出しておいた方がいいでしょうか。

収用による補償金額と、旧土地、新土地との関係に不明瞭な個所もございますが、収用による譲渡益が出ていないということになるかと思いますため、そのような場合には税務上圧縮すべき利益がそもそも出ていないということになります。
譲渡益への課税負担を軽減するための措置でありますため、譲渡益が出ていない場合には圧縮記帳、特例の適用はありません。
特定資産を買換えた場合の圧縮記帳、事業用の資産を買い換えたときの特例につきましも譲渡益の課税負担を軽減するための措置でありますため、一般的には譲渡益が出ない状況では適用はないものと思われます。
以上、お役に立てますと幸いでございます。
譲渡益がないので税額控除や圧縮記帳の特例は使用できない旨を理解できました。
先行取得ですが次年度に税制特例を受けるための事前に出す届出書も出す必要はないと思いますが、念のため先行取得の届け出を出すだけ出しておくのはかまわないのでしょうか。

具体的にはどちらの届出書になりますでしょうか?届出自体は問題なく可能かと思いますがご状況によりましては受理されない可能性もあるかと思われます。
以上、お役に立てますと幸いでございます。
ありがとうございます。
国税hpにあるものです。
[手続名]先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出
概要
特定資産の買換えの場合の課税の特例の規定の適用を受けようとする場合で、譲渡資産の譲渡事業年度の開始の日前1年以内に取得した資産(先行取得資産)を買換資産とする場合の手続です。
[手続根拠]
租税特別措置法第65条の7第3項、第68条の78第3項、租税特別措置法施行令第39条の7第12項、第39条の106第6項
[手続対象者]
先行取得資産を買換資産として、特定資産の買換えの場合の課税の特例を受けようとする法人等
[提出時期]
先行取得資産の、取得をした日を含む事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内

「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出」でありましたら届出は問題な受理されるかと思われます。ご相談者様ご認識の通り、特定資産の買換えの場合の課税の特例の適用可能性がありましたら、念のため届出を出されることをお勧め致します。
以上、お役に立てますと幸いでございます。
このたびはお2人の先生方に丁寧なご回答いただきましてありがとうございました。どちらのご回答も納得できました。
本投稿は、2016年11月01日 17時37分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。