コンサルへの手数料の損金算入に関しまして
3月末決算の法人です。法人税法では有価証券の譲渡損益の認識は引渡し日ではなく約定日です(法61の2①)。
今回、当社が保有する子会社株式の売却に関して、コンサルに売却先を見つけてもらい、売却手数料を支払いました。約定日は2021年3月ですが、引き渡し日は4月です。有価証券売却益は約定日基準なので2021年3月期に益金計上しています。
一方でコンサルへの手数料ですが、コンサルとの契約書には「売却先との取引が完了した時点で成功報酬として〇〇円支払う」と記載されています。
このコンサルへの支払手数料は2021年3月期に損金算入してもよいでしょうか?
「売却先との取引が完了した時点で成功報酬として〇〇円支払う」との契約に基づき、実際に支払ったのは4月ですが、3月末時点で売却先と契約しており、いわば3月末時点では確定債務ととらえることができるので2021年3月期の損金として計上(会計上は未払費用の計上)して問題ないと思うのですが、税務調査で調査官
より、「契約書に基づき取引完了(=引渡し完了)時の4月に支払っているので損金算入は翌年度(4月)にすべきだ」と指摘されています。
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

文面からわかる範囲では、当該コンサルタント費用を2021年3月期の損金にするのは難しいものと思います。
契約書の文言の「取引が完了」とは、社会通念上、引き渡しが完了したことをいうものと考えられ、有価証券の譲渡損益を約定日基準で計上していたとしても、それは有価証券の会計処理の問題であり、関係ないことと考えるのが相当だからです。
ありがとうございます。契約書の文言に引っ張られるのではなく、税務は税法上別途考えるべきではないかと思っています。
売却先との譲渡契約を3月に結んだ時点で譲渡することはほぼ確実になるわけで、そうするとコンサルへの報酬支払いもほぼ確実=確定債務ということで2021年3月期の損金計上OKという考え方にはならないのでしょうか?会計上は監査法人から確定債務だから2021年3月期に費用処理しろと言われました。

①貴社とコンサルタントの間の取引については、契約書があるので、まず契約書の文言を文理解釈し、貴社とコンサルタントとの私法上の関係を確定させたうえで、税法にあてはめる、というのが税務実務となります。
②税務と会計は昔と異なり、考え方の違いが大きくなってきており、これもその一環であると思われます。監査法人は会計基準に基づいて言っているのであり、税法に基づいて言っているのではありません。
そのため、今回のケースのような課税当局とのトラブルが増えることになり、別表加算をしなければならなり取引がどの会社も増えています。
ありがとうございました。大変助かりました。
本投稿は、2021年11月05日 23時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。