所得税 賦課決定
源泉徴収を受けている個人事業主の場合を想定した質問です。
無申告の場合、税務署が所得税を賦課決定する際は、必ず税務調査があるのでしょうか?
それとも、源泉徴収額に基づき、税務署の憶測のみで決定させることもあるのでしょうか?
税理士の回答

坪井昌紀
税務調査は必要に応じて実施されます。
無申告のケースは、忘れてた人もあることから、まず、申告してくださいというアクションだけで申告させるケースもあるでしょう。
期限切れで無申告に気づいたときは、すぐ申告することが大切です。

松田光弘
所得税法156条、国税通則法74条の2第1項イをもとにすれば、必ずしも納税義務者への検査があってから推計課税及び決定が行われるとは限らないとも言えます。
ただし所得税法156条に定められているとおり、青色申告者には推計課税を行うことはできないので、期限後申告の要請→応じなければ青色申告の取り消し→(税務調査)→推計課税→決定、という流れになるかと思います。
以下の国税庁のレポートの「ハ 調査・指導」が参考になると思います。
https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2003/japanese/text/02/04_1-3.htm
松田先生
ご回答有難うございます。
無知で大変お恥ずかしいのですが、
青色申告とは名前は聞いたことはありますが、よくわかっていません...
対象の規定など簡単に教えていただけると助かります。
坪井先生
ご回答ありがとうございます。
申告してくださいというアクションはどのような形で通知されますか?
郵送だとして、気が付かない場合は(引越しや同居人が誤って破棄した場合など)何度か通知してくださるものなのでしょうか?

松田光弘
青色申告とは、納税者が青色申告承認申請書を税務署に届け出たうえで正規の簿記の原則による会計帳簿を整えている場合などに、事業所得や不動産所得などに関して所得控除など有利な税制の適用を受けられる制度です。
なお、青色申告に該当しない申告を白色申告といいます。
参考)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
松田先生
フリーランスや個人事業主は青色申告者に該当するということでしょうか?
その場合、フリーランスや個人事業主には必ず税務調査があるという理解でよろしいでしょうか?

松田光弘
該当するというよりはむしろ、フリーランスや個人は事業所得があれば青色申告者になれるということです。青色申告承認申請書を税務署に提出して承認を請けなければ青色申告者にはなれません。
必ず税務調査(ここでは、質問主様の意図を汲んで、納税者に直接接触して検査を行うことととらえます)があるかどうかは分かりません。税務署は納税者に接触して直接検査するほかにも、納税者の取引先に接触して納税者の収入に関する資料を収集することもあります。
証拠がそろっていれば直接の接触なしで決定を行うこともないとは言えないわけです。税務署からすれば、直接の検査をしたとしても実額課税のために十分な資料が出てくるかどうかは分からないので。
ただし当然、まずは実額課税のために十分な努力をするべきというのは裁判事例や学説で示されていることでもありますので、もし直接の検査なしで決定されるようなことがあれば所定の手続きを経て直接の検査を要求することもできる可能性はあります。
源泉徴収で税額のいう名目で引かれていたので確定申告の必要性を認識しておりませんでした。
最近になって、源泉徴収を引かれていても確定申告が必要であったことを知りました。
今からでも確定申告をし、すっきりしたいのですが、数年前のことなので、給与明細・領収書など行方不明です。領収書に関しては集めていなかった記憶です。
所得としてはそんなに多くなかったと記憶しているので、申告したら還付があると認識しています。
また、雇われていたオーナーに、確定申告のことを聞いたところ、「周りに迷惑がかかる。あとはどうなっても知らない」と言われ、怖い気持ちと共にどうすれば良いのか、、途方に暮れています。
この場合、どうしたら良いのでしょうか...

坪井昌紀
貴殿のケースでは、個人事業主の所得である事業所得は、①「所得税の確定申告」で行います。一方、個人事業主が従業員を雇用して源泉所得税を天引きして納付書で納付する②「源泉所得税」を分けて解説する必要がありそうです。
③また貴殿が事業収入で源泉所得税を天引後に受け取っているケースの補足も必要そうです。
①の、事業所得が確定申告されないまま無申告ですと、もちろん税務調査の対象になるケースがあります。
おそらく青色申告の申請書を提出されていない状況のようですから、白色申告という区分になると、推計課税はあり得ます。
ここでは、脱税指南の誤解を招かぬような回答になりますから、無申告であれば、税務署の連絡があるナシを言い訳にせず、直ちに申告と納税を完了させるべき、という回答になります。
②は、貴殿が従業員に給与を支払っているケースです。源泉所得税を天引きして給与支払いをしますから、預かっている源泉所得税を翌月10日までに毎月納付していく必要があります。
③は、貴殿が所得税の確定申告をする際に、源泉所得税は差引くことが出来ますので支払調書などをきちんと確認して申告書を作成していくことになります。
支払調書は、支払者から税務署へ提出を要する書類ですから、これは、申告の内容を確認する材料の一つとなることは言うまでもありません。
自分で申告書作成等が困難な場合は、税務署で相談するか、近くの税理士に申告書作成提出を依頼すると良いでしょう。
坪井先生
ご回答有難うございます。
何年も前のことなので給与明細、経費の領収書など行方不明なのですが確定申告はできるのでしょうか?
できるものなら今からでもやりたいのですが何もない状態でどうしたら良いか分からず...
因みに、当方は源泉徴収をされていた側で雇用主ではありません。

松田光弘
質問主様が雇われていたという表現が少し引っかかります。そのオーナーと雇用契約があったのであれば質問主様は従業員ということになりますから、雇い主が発行した「源泉徴収票」を使って確定申告をすることになります。
質問主様がオーナーと雇用契約がなく、個人事業主として業務を委託されていたのであれば、雇い主が発行した「支払調書」を使って確定申告をすることになります。
まず実態としてそのオーナーとどういった関係にあったのかを整理する必要がありそうです。
本投稿は、2025年06月19日 09時11分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。