所得の分類
事業で使用していた営業用車両の譲渡による所得は【譲渡所得】に分類されると思うのですが、いまいちピンときません。
例えばですが、
・寄宿舎である建物を従業員に貸し付けたことによる家賃収入は【不動産所得】ではなく、【事業所得】になると思います。なぜなら、事業上の従業員を雇用することで生じた収益なので、事業所得の収入と考えるからです。
・事業遂行上の取引先に対して貸し付けた貸付金の利子は【事業所得】になると思います。逆に、友人に対して貸し付けた貸付金の利子は【雑所得】ですよね。
例のような考え方をするならば、事業で使用していた営業用車両の譲渡が【事業所得】ではなく、【譲渡所得】に該当するのは何故なのか。考え方的なものを教えてほしいです。よろしくお願いします。
税理士の回答

竹中公剛
お考えを貫いて、事業所得でもよいです。
よろしくお願いします。
個人の所得区分は本当にむつかしいです。

岸川祐次
車両の譲渡が「資産の売却による利益」であり、事業活動としてのサービスや商品の販売による収益(事業所得)とは性質が異なるためです。
根本的な考え方は以下の通りです。
・事業所得は、継続的・反復的な経済活動、すなわち事業活動(商品・サービスの販売など)による所得です。
・譲渡所得は、資産(車両や土地など)を譲渡(売却)したことによる利益、つまり資産価値の増加分に課税されるものです。
例外としては土地や建物の売買でも、不動産業者のように「反復・継続して販売」している場合は事業所得と考えられます。
端的に言うと「事業活動の成果」の場合は事業所得となり、「資産売却の結果」の場合は譲渡所得に該当すると考えると良いと思います。
よろしくお願いいたします。
<参考>譲渡所得の対象となる資産と課税方法
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htm

丸尾和之
・寄宿舎である建物を従業員に貸し付けたことによる家賃収入
・事業遂行上の取引先に対して貸し付けた貸付金の利子
これらが事業の遂行に付随して生じた収入として事業所得になることは、
所得税基本通達 26-8、27-5に記載の通りです。
一方で、営業用車両の譲渡の所得区分については、所得税法上、事業所得の定義から、譲渡所得(資産の譲渡による所得)が除かれていることから、事業所得でなく、譲渡所得になります。
◆所得税法(一部省略)
第二十七条 事業所得とは、一定の事業から生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう。
◆ご参考
・所得税法基本通達26-8、27-5
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/02.htm

増井誠剛
営業用車両の譲渡が事業所得ではなく譲渡所得に区分される理由は、税法上の所得区分が「発生原因」に基づいているためです。事業所得は、反復・継続的な営利活動による収益を対象とし、通常の事業過程で得られる売上や役務提供の対価が該当します。一方、固定資産の譲渡は事業活動の本流ではなく、資産の処分という単発取引から生じる利益であり、その性質は資産価値の変動益と捉えられます。したがって、営業用であっても譲渡行為自体は事業収益の発生形態とは異なり、譲渡所得として整理されます。
本投稿は、2025年08月11日 10時38分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。