前期における費用計上漏れについて
会社の決算について、前期に費用の計上漏れが発覚いたしました。
本来は更正の請求をすべきかとは思いますが、税金の追加納付ではなく、還付される方なので、今期に当該費用を計上しても問題ないでしょうか。
税理士の回答

山本健治
税務調査では、期ずれを指摘されると思います。
【結論】
前期の費用計上漏れについては、原則として当期に費用として計上することは認められず、正しくは「更正の請求」によって前期の税額を修正する必要があります。還付になるケースであっても、この手続きを踏むのが適切です。
【詳細】
損金算入の原則
法人税法上、費用は「債務が確定した事業年度」に計上しなければならないとされています。債務が確定するためには
債務が成立していること
具体的な給付原因が発生していること
金額を合理的に算定できること
の3要件を満たす必要があります。
前期費用計上漏れの扱い
前期に計上すべき費用を漏らしていた場合、その年度の所得を過大に計算してしまっており、税額も過大になっています。この場合は「更正の請求」により、正しい税額に訂正してもらうのが正しい対応です。更正の請求は、原則として申告期限から5年以内であれば可能です。
今期に計上する場合の問題点
会計処理としては「前期損益修正損」などを用いて当期に計上することもありますが、税務上は損金算入が認められない可能性が高く、法人税の計算上は否認されるリスクがあります。そのため、今期の経費とすることで還付を受けるのではなく、更正の請求を行うのが正しい手続きです。
【まとめ】
費用は原則「発生年度」に計上する必要がある
漏れがあれば「更正の請求」で還付を受けるのが正しい対応
今期に計上して処理するのは税務上認められない可能性が高い
せっかくの還付分、適切な手続きを踏めばきちんと戻ってきますので、安心して進めていただければと思います。
本投稿は、2025年07月25日 13時25分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。