売上の概算計上と申告後の概算計上の差額について
私はコンサルティングなどを営んでいます。
ものづくり補助金のサポートも仕事のお一つとして行っております。
売上については成功報酬でいただいており、相手に助成金や補助金などが入らなかったら請求できないこととなっております。
前に顧問契約をしていた税理士の方からは、その場合においては申請は行なっており、補助金や助成金などが決定する前で貰えるかわからないとしても、決算時には売上を概算計上しなければならないと言われていたため、そのように売掛金を計上していました。
今回、顧問契約をしていた税理士の方に不幸があり自分で申告をすることになりました。
どうにか申告は出来上がり納税も今月済ませたのですが、概算計上していた売上の一つが要件を外れるため補助金の申請を取り消すことになりお金をもらえなくなってしまいました。
この場合、今期に売上の取消処理を行なっていいのでしょうか?
それとも、申告をやり直すのでしょうか?
決算月には貰える予定でしたので、今期に取消処理でいいのではないのかと思いますが、どうかどなたかご教授お願いいたします。
税理士の回答

狩野正之
法人の場合には決算を確定させていますので、さかのぼって修正を行うことはできません。
売上を過大に計上していますので、「更正の請求」を行えると考えます。
申告した所得金額に誤りがあった場合には、次の方法があります。
①所得金額を増加させる「修正申告」
②所得金額を減少させる「更正の請求」
①「修正申告」は、増加させた所得金額で申告書を提出し、納付済み税額との差額の税金を支払うことになります
②「更正の請求」は所得金額を減少させるための手続きで、「更生の請求書」に誤りを証明する資料を添付した上で提出し、税金の還付を受けることになります。
今回のケースでは、「更正の請求」の手続きを行うことになります。
但し、実務上は所得金額・税額への影響が少ない場合には、次の事業年度において「前期損益修正損」などの科目で今期の売上計上過大を減少させる方法を選択しているところもあります。
ご質問の売上計上時期についてですが、役務提供が完了し売上先に請求可能となった時点で計上するものと考えられます。
ご質問のケースでは申請書を提出した時に役務提供は完了していますが、売上先に助成金などの支給が決定し、かつ、入金されたら請求できるとのことですので、請求できるのは早くても入金された日となります。
契約にもよりますが、支給されることが決定した時点で計上することもあります。
いずれにしても、役務提供を完了していますが、支給が決定しないことには請求できないことになります。今回のケースでは、請求できないことになっています。
売上の概算計上を要するのは、役務提供が完了し請求できる状況(締切日や支払日の条件を除く)になったが、請求する金額が確定していない場合であると考えてください。
本投稿は、2021年11月17日 22時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。