中古車販売業者の仕入税額控除について
中古車販売業を営む法人です。
一般の個人から中古車を仕入れた場合、請求書や領収書を受領していないケースが多々あります。
このような場合、仕入税額控除を受けることができるか、インボイス導入前と導入後に分けてご教示いただきたく存じます。
何卒よろしくお願いいたします。
税理士の回答

菅原和望
こんにちは。
質問者様は中古車販売業を営んでいるということですので、古物営業の許可を得ている事業者(古物商)という前提での回答となります。
現在、古物商の方がインボイスを受領しなくても仕入税額控除を行うことができるのは、①古物の仕入れ②棚卸資産としての仕入れ③インボイス発行事業者ではない者からの仕入れ、のすべてに該当する仕入である場合です。
したがいまして、質問にありますように、古物(中古車)を販売する目的でインボイス発行事業者でない一般の個人から仕入れた場合には、インボイスがない場合でも仕入税額控除は可能です。
ただし、この場合であっても、次の必要事項が記載された帳簿を保存しなければなりません。
①取引相手の氏名又は名称及び住所又は所在地
②取引年月日
③取引の内容
④金額
⑤古物商の特例の対象となる旨
インボイス制度の導入によって、事業者からの仕入れについてはインボイスがなければと仕入税額控除ができなくなり、一般個人からの仕入れでは、帳簿に上記⑤の記載要件が追加されました。
正しく仕入税額控除を行うためには、各取引の相手方が事業者であるかどうかの確認が必要となりますのでご注意ください。
ご回答ありがとうございます。
インボイス登録していない個人からの仕入の請求書、領収書がない場合でも①~⑤を記載した帳簿があれば、仕入税額控除は可能でしょうか。
また、インボイス登録している事業者からの仕入で、仕入の請求書、領収書がない場合、経過措置として80%の仕入税額控除は可能でしょうか。
それとも、そもそもインボイス制度以前の問題で、書類(請求書、領収書)の保存がないので、仕入税額控除できないと考えるのが正しいのでしょうか。

菅原和望
おっしゃる通り、一般個人についてはそのような処理をすることで仕入税額控除が可能です。
適格請求書発行事業者以外の者(消費者、免税事業者又は登録を受けていない課税事業者のこと)からの仕入れについては、インボイス制度の開始から一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置(80%控除)が設けられています。
しかしながら、インボイスの登録事業者は、上記の場合に該当しないので、インボイスの受領がない場合には仕入税額控除をすることはできず、80%控除の適用もありません。
ご回答ありがとうございます。
何度も恐縮ですが、以下の理解であってますでしょうか。
一般個人からの仕入
① 請求書領収書なしの場合
帳簿があれば100%控除 帳簿がなければ控除不可
② 請求書領収書(当然ですがインボイスではない)がある場合
帳簿があれば100%控除 帳簿がなければ80%控除(経過措置)
インボイス登録事業者からの仕入
① インボイスがあれば 100%控除
② インボイスがないが請求書(非適格)がある場合 80%控除
③ インボイスも請求書(非適格)もない場合 控除不可

菅原和望
①一般個人からの仕入れ
古物商等の場合は仕入税額控除について特例があるので、一般個人からの仕入れについては、帳簿の記載要件を満たすことでその全額が仕入税額控除として認められます。インボイスの有無で80%の控除となってしまうものではありません。
②インボイス登録事業者からの仕入れ
インボイス登録事業者からの仕入れは、インボイスの受領がない場合には、一切仕入税額控除を行うことができません。これは古物商であっても、その他の事業者であっても変わりません。
古物買取の際に記載を求める書類に、売主がインボイス登録事業者かどうかのチェック欄のようなものを設けることで、インボイスの受領漏れを防げるかと思われますのでご検討ください。
また、80%の経過措置は、一般の個人やインボイスの登録事業者でない事業者から仕入を行った場合に、原則としてその全額が仕入税額控除の対象外となるところ、経過措置(数年だけ特別)として、その80%の控除を認めるものですので、古物商の方への適用は実質的に想定されないものと思われます。(古物商は一般個人や未登録の事業者からの仕入れならば帳簿のみで100%控除できますので、80%控除を選択するメリットがないです。)
インボイス制度導入前の領収書、請求書がない場合の取扱いはどうなっていたのでしょうか。
本投稿は、2024年11月03日 02時00分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。