賃貸アパートで、管理会社が賃貸代理人の場合の、消費税受領者について
アパートのお部屋探しのお客様に賃貸アパートの一室を紹介・仲介する会社に勤める者です。
インボイス制度に関するご質問です。
例えば下記のような契約形態が発生したとします。
・賃借人が法人
・賃貸人は、個人の大家さんで非インボイス登録者
・「賃貸代理人」として管理会社も契約書に捺印
・入居期間中の諸々のトラブル対応も賃貸代理人の管理会社が対応する。(賃貸代理人兼管理会社)
以上、大家さんが全て管理会社にお任せ、という形態です。
そして、下記の諸々条件が契約書にも記載されると仮定します。
家賃(非課税)
共益費(非課税)
敷地内の駐車場代(課税項目)
水道料(課税項目)
24時間サポート(課税項目)
契約時に支払う、解約時実施のハウスクリーニング費(課税項目)
※契約金の受け取り口座は管理会社のもの
※月々の費用支払い先口座も管理会社のもの
上記の場合に、
消費税受領者は誰なのか、ということで借主法人にむけ、受領者のT番号を、我々仲介業者が発行する初期費用請求書に、記載する必要があります。
①賃料口座も契約金受領口座も管理会社のものならば、すべての消費税受領者は、管理会社となる
②管理会社は代理賃貸人なので、すべての行為が委任者に帰属することから、あくまで賃貸人が受領者となり、すべての項目について消費税受領者は賃貸人となる
③もしも水道料や、24時間サポート、ハウスクリーニング費は、管理会社が独自で販売しており、その費用が一切賃貸人に渡らないと確認されるなら、たとえ契約書に記載されていても実態に基づいて、駐車場消費税だけ受領者を賃貸人とし、その他の項目の消費税受領者は、管理会社とする。
④ケースバイケースだから、契約ごとに代理賃貸人である管理会社に確認すべき。
⑤上記全て間違い
以上のうち、どれが適切でしょうか。
サブリースを生業とする管理会社も多くあるのですが、この場合はその特定転貸事業者がすべての項目について消費税受領者とできるのですが、管理会社が賃貸代理をしていると、消費税受領者判断が難しいです。
指針をご教示いただきたく、ご相談申し上げます。
よろしくお願い申し上げます。
税理士の回答

インボイスに関して、提示されている事項のみを参考に回答します。
アパートの賃貸借契約は、所有者である賃貸人と賃借人との契約です。したがって、この契約に基づく支払の受取りは、すべて賃貸人に帰属します。管理業者は代理で受け取っているにすぎません。
賃借人から消費税法57条の4(適格請求書学校事業者の義務)に基づいたインボイス交付請求があった場合、賃貸人がインボイス登録事業者であれば交付しなければいけません。しかし、賃貸人がインボイス登録事業者でない場合は、交付することはできません。
そして、事務手続きの関係上、媒介者である不動産管理会社が賃借人に自らのインボイス登録番号で交付することも可能です。これが消費税法施行令70条の12(媒介者による適格請求書等の発行の特例)です。しかし、この特例には前提として、賃貸人がインボイス発行事業者であることが必要です。賃貸人がインボイス発行事業者でない場合は、この特例による不動産会社のインボイスは、当然交付できません。
ご質問の場合、「家賃」と「共益費」、「駐車場代」、「水道料」は賃貸借契約に明記されていることがほとんどであることから、その受取りは賃貸物件の所有者である賃貸人に帰属すると思います。
「24時間サポート」と「ハウスクリーニング」は、誰が賃借人と契約しているのかによって、賃貸人になるのか管理会社になるのか、判断が分かれてくると思います。
ちなみに、サブリースの場合は、家主とサブリース業者との賃貸借契約とは別に、転貸人であるサブリース業者と転借人である入居者との転貸借契約があり、入居者(テナント等)へのインボイスは、賃貸人であるサブリース業者が交付する義務があります
ご回答いただきまことにありがとうございました。
大変勉強になりました。
本投稿は、2024年12月23日 08時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。