太陽光発電設備購入に伴う消費税の還付について
当方法人でアパートを所有しております。
収入はアパート賃料とその敷地内の駐車場賃料(割合9:1)のみとなります。
アパート建築費の消費税の還付を受けたため、現在課税事業者となっています。
この度、太陽光発電設備を購入しました。
太陽光発電設備の消費税の還付を受けるにあたり、次のどちらの考え方が正しいでしょうか。
①太陽光発電設備は課税物件なので、アパートの非課税売上げがあったとしても、課税売上げ割合に関係なく、設備購入分の消費税から売電収入の消費税を差し引いた全額が還付される。
②設備購入分の消費税から売電収入の消費税を差し引いた額に課税売上げ割合を乗じた分のみが還付される。
また、課税事業者の期間については、次の考え方でよろしいでしょうか。
第4期で設備購入のため、第6期で「課税事業者選択不適用届出書提出」を提出し第7期より非課税事業者となる。
以上、よろしくお願い致します。
税理士の回答
アパート建築費の消費税還付を受けたということですので仕入税額控除は一括比例配分方式でされていると思いますが、アパートは調整対象固定資産に該当すると思いますので、アパート建築費の仕入税額控除を受けた事業年度を含めて3事業年度の間は課税事業者と一括比例配分方式が強制適用となります。
従いまして、太陽光発電設備購入が一括比例配分方式の強制適用期間中であれば、これに係る消費税の仕入税額控除は、今期の課税売上割合により計算されることになります。現在はアパート収入という非課税売上が主で今期の課税売上割合は95%未満になると思いますので、太陽光発電設備の購入費用に掛かる仕入税額控除は課税売上割合分だけであり①にも②にも該当しないと考えらます。
なお、アパートや太陽光発電設備等の調整対象固定資産に係る仕入税額控除を行った場合、仕入を行った事業年度から3事業年度の課税売上割合の変動により仕入税額控除の調整が行われますのでご注意ください。
詳細は以下の国税庁HPをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6421.htm
また、非課税事業者になることにつきましては、ご質問の太陽光発電設備購入が第4期ということであれば第6期まで課税事業者は強制適用となりますが、第7期の基準期間(第5期)の課税売上が1000万円以下であれば原則として第7期は免税事業者になると思いますので、ご記載の通りの考え方でよろしいかと思います。
具体的な金額等が不明なため、以上のような回答になりますことをご容赦願います。
ご回答ありがとうございます。
以下のご回答内容からしますと、消費税の還付はごく僅かとなるということでしょうか。
よろしくお願いいたします。
従いまして、太陽光発電設備購入が一括比例配分方式の強制適用期間中であれば、これに係る消費税の仕入税額控除は、今期の課税売上割合により計算されることになります。現在はアパート収入という非課税売上が主で今期の課税売上割合は95%未満になると思いますので、太陽光発電設備の購入費用に掛かる仕入税額控除は課税売上割合分だけであり①にも②にも該当しないと考えらます。
具体的な計算が出来ませんので断定は出来ませんが、非課税売上になると思われるアパート建設にかかる仕入税額控除により還付を受けたということは仕入税額控除の計算が一括比例配分方式であること、太陽光発電による売電収入(課税売上)が今期どれくらい反映されるか不明ですがアパート収入という非課税売上の割合が大きいと思われますので課税売上割合は低くくなると思われること、以上から還付がされるとしても金額は余り大きくならないのではないかと思います。
ご回答ありがとうございます。
消費税の申告書を確認しましたところ、アパート建設費の消費税還付を受けた期は「全額控除」、翌期は「個別対応方式」に丸が付いておりました。よって「一括比例配分方式」ではないということでしょうか。
よろしくお願いいたします。
ご連絡ありがとうございます。一括比例配分方式ではないようですので、消費税の課税関係については以下のようになると考えられます。
文字数オーバーとなりますので、2回に分けてご回答します。
現在が第4期で、アパートの取得が第3期である場合
1.第3期(課税事業者・全額控除)
アパート取得に係る消費税全額が仕入税額控除の対象となります。
アパートの建築価格が100万円以上であると思いますので、アパートは調整対象固定資産に該当しますので、第5期まで課税事業者が強制適用となります。
2.第4期(課税事業者・個別対応方式)
アパート収入という非課税売上が主だと思いますので、課税売上割合は95%未満であることが前提となります。
太陽光発電設備取得が全量売電目的であれば、課税資産の譲渡等に要する課税仕入として、太陽光発電設備取得に係る消費税は全額仕入税額控除の対象となります。
取得目的が、アパート(非課税売上)への自社利用と余剰電力の売電(課税売上)であれば、共通して要する課税仕入として課税売上割合を乗じた金額が仕入税額控除の対象となります。
以上のように、太陽光発電設備に係る消費税はあくまで仕入税額控除の対象として計算しますので、ご質問の①にも②にも該当せず、課税売上と課税仕入全体で計算し納付税額や還付税額を計算する形になります。
また、太陽光発電設備も100万円以上であれば、調整対象固定資産に該当し、第6期まで課税事業者が強制適用となります。
3.第5期(課税事業者・個別対応方式)
第3期で取得したアパートは調整対象固定資産に該当すると思いますので、以下の要件に当てはまる場合、調整対象固定資産に係る仕入税額控除の調整が行われます。
①アパートを第5期末日に保有していること。
②以下のような課税売上割合に著しい変動があること
(ア)(第3期の課税売上割合-第3期・第4期・第5期の通算課税売上割合)/第3期の課税売上割合≧50%
(イ) 第3期の課税売上割合-第3期・第4期・第5期の通算課税売上割合≧5%
①と②に当てはまれば、仕入税額控除から以下の金額が差し引かれますので、納付税額が増加します。
アパートに係る消費税額-(アパートに係る消費税額✕第3期・第4期・第5期の通算課税売上割合)
4.第6期(課税事業者・個別対応方式)
第4期の太陽光発電設備による発電が全量売電であれば、調整対象資産に係る仕入税額控除の調整はありませんが、アパートへの自社利用と売電目的であれば以下のような調整対象固定資産に係る仕入税額控除の調整があります。
①太陽光発電設備を第6期末日に保有していること。
②課税売上割合に著しい変動があること。
(ア)(a)(第4期・第5期・第6期の通算課税売上割合-第4期の課税売上割合)/第4期の課税売上割合≧50%
(b)第4期・第5期・第6期の通算課税売上割合-第4期の課税売上割合≧5%
の場合、太陽光発電設備取得に係る消費税額✕第4期・第5期・第6期の通算課税売上割合-太陽光発電設備取得に係る消費税額✕第4期の課税売上割合、によって計算した金額を仕入税額控除に加算しますので、結果として納付税額が減少します。
一方、第5期と②(ア)及び(イ)と同じ結果となれば、逆に仕入税額控除から差し引かれますので、結果として納付税額が増加します。
5.第7期
第5期の課税売上が1000万円以下で、第6期中に課税事業者選択不適用届出書を提出すれば、免税事業者となります。
平成22年4月1日以降に取得した100万円以上の固定資産について、特にアパート等の非課税売上に係る消費税の還付は、還付されて終わりにはならず取得事業年度から3期目に仕入税額控除が減額調整されることとなります。
逆に、共通して要する課税仕入となる固定資産の取得は仕入税額控除が増額調整されることとなります。
以上のような点に留意することが必要です。
とても詳細にご回答いただきありがとうございます。
この度購入の太陽光発電設備は、全量売電となります。
「太陽光発電設備による発電が全量売電であれば、調整対象資産に係る仕入税額控除の調整はありません」とのことですが、上記太陽光発電設備が全量売電であるため「課税資産の譲渡等」に該当し、「その他の資産に共通して要する」調整対象固定資産の取得はないので、「調整対象資産に係る仕入税額控除の調整はない」との理解でよろしいでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。
ご記載の通りのご理解でよろしいかと思います。
本投稿は、2018年11月02日 00時32分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。