任意団体における、事業にかかる収入および役員報酬について
任意団体において、事業にかかる収入および役員報酬を受け取るにあたり、必要な手続きやかかる税金を教えていただきたいです。
現在ある任意団体を運営しているのですが、定款を変更して入会金・会費を徴収することにしました。また、事業において利用者から手数料などを徴収するよう変更する予定です。その際に理事長が役員報酬を受け取ろうと考えているのですが、必要となる手続きや届出、かかるようになる税金などを「団体として必要なもの」「理事長個人として必要なもの」のそれぞれでご教示いただきたいです。また、会費や事業にかかる収入は0に近いこともあると思うのですが、報酬を定額にせず、収入の〇%と定めることはできますでしょうか。
現在わかっていることは、
・行っている事業が特掲34業種に該当しないこと
・役員報酬を受け取ること自体は問題ないということ
です。
質問したい点をまとめますと
・団体が収入を受け取るにあたり、団体として必要な手続き・届出・税金
・理事長が役員報酬を受け取るに当たり、団体として必要な手続き・届出・税金
・理事長が役員報酬を受け取るに当たり、理事長個人として必要な手続き・届出・税金
・報酬を収入のうちの定額とせず、収入の〇%と定めることはできるか
の4つとなります。
税務についての知識がまったくなく、変な質問をしているかもしれませんが、何卒ご回答をよろしくお願いいたします。
税理士の回答

佐藤和樹
【1】団体が収入を受け取るにあたっての必要な手続き・届出・税金
◆ 任意団体のまま収入を得ることは可能
• 任意団体でも、収益事業を行うことは可能です。
• ただし、収益の有無によって税務上の取扱いが変わります。
◆ 法人税の課税対象となるか?
• 任意団体でも、以下の要件を満たすと「人格なき社団等」として法人税の課税対象となることがあります:
• 継続的に収益事業(販売・手数料徴収等)を行っている
• 団体名義で口座を持ち、収支を管理している
• 団体として経済活動を行っている実態がある
• この場合、団体として【収益事業開始届出書】を税務署に提出し、法人税の申告義務が生じます。
◆ 課税される税金
• 法人税:収益事業で得た利益に対して課税(所得800万円以下で15%、超過で23.2%など)
• 消費税:課税売上が年間1,000万円を超えると課税事業者となり、申告義務が発生
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【2】理事長に役員報酬を支払う場合の、団体としての必要な手続き・税金
◆ 支払いに必要な手続き
• 任意団体であっても、報酬を支払う場合には給与支払事務所等の開設届出書を提出(税務署)
• 源泉所得税の納付義務が発生
• 報酬支払時に10.21%(通常)を源泉徴収し、翌月10日までに納付
• 納期の特例(半年ごとにまとめて納付)も申請可
◆ 年末調整や法定調書
• 年末調整や、支払調書(報酬、給与)・源泉徴収票の発行と提出が必要
• 翌年1月末までに税務署へ提出
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【3】理事長個人に関する手続き・税金
◆ 確定申告が必要
• 報酬収入がある理事長は、給与所得者として確定申告または年末調整の対象
• 収入金額に応じて所得税・住民税が課税されます
◆ 社会保険・国民年金等
• 任意団体は法人格がないため、原則として社会保険加入義務なし
• 理事長は個人で国民健康保険・国民年金に加入継続
• ただし、報酬が多額になる場合、社会保険加入要否の検討余地あり(個別相談推奨)
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【4】報酬を「定額」ではなく「収入の〇%」とすることは可能か?
◆ 規約(定款)で明示すれば可能
• 任意団体でも、報酬の支払方法を「収入の●%」など、成果報酬型で定めることは可能
• ただし、以下の点に留意:
• あらかじめ定款または議事録等でその基準を明記
• 過大な割合(相場に比べ著しく高い)だと「寄附金」扱いで法人税上否認される可能性あり
• 不明確・恣意的な計算だと税務調査で否認されやすいため、毎年の根拠資料(損益計算書・計算式)を明記・保管しておくと安全
本投稿は、2025年05月07日 10時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。