土地収用法により強制収用された場合に受けられる、市からの補償金に関する「税率の軽減」とその根拠条文
市道の拡幅工事のため近く、私の所有の家の庭の一部を市に任意売却するか強制収用されるかという状況ですが、その際に市から私に支払われることになるであろう「補償金」に関する所得税について、質問します。
租税特別措置法33条の4などに基づき、市(地方公共団体)が私に対して最初に買い取りの申出をした日から『6か月』以内に私が任意売却した場合に限り市(地方公共団体)から支払われた譲渡所得(補償金)の所得税などの計算において5千万円の特別控除を差し引くという課税特例があるそうです。
そして、例えば任意売却を私が拒否して数年後に土地収用法による強制収用になった場合は、上記『6か月』を超過したため5千万円の特別控除は受けられないと、こちらでの私の前回の質問の回答を頂きました。
ところで、その回答の中で、「ただし税率の軽減は受けられる」と教えて頂きました。
この(市からの補償金に関する)「税率の軽減」は、強制収用の場合だけのことでしょうか?
また、この「税率の軽減」の要件と効果はどのようなものでしょうか?
さらに、この「税率の軽減」の根拠条文もお教え下さい。
税理士の回答

丸尾和之
軽減税率の根拠条文は以下となります。
土地の所有期間5年超の場合は、
租税特別措置法 第31条の2 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
特例の内容は、
⑴ 課税長期譲渡所得金額が2,000万円以下のとき
課税長期譲渡所得金額×10%
⑵ 課税長期譲渡所得金額が2,000万円を超えるとき
(課税長期譲渡所得金額-2,000万円)×15%+200万円
となります。
土地の所有期間5年以下の場合は、
租税特別措置法 第32条 短期譲渡所得の課税の特例
特例の内容は、
特課税短期譲渡所得金額に対する税率が15%となります。
要件については、それぞれの条文に記載がありますが、ざっくり
・国・地方公共団体に対する土地の譲渡
・都市再生機構等による土地の譲渡
・収用交換等による土地の譲渡
となります。
こちらは6ヶ月以内の要件はありませんが、
5,000万円特別控除とは選択適用になります。
実際の適用にあたっては、適用可否又は有利不利について税理士事務所等に相談の上行ってください。
◆ご参考
・措置法31条の2
https://www.keisan.nta.go.jp/r6yokuaru/cat2/cat21/cat218/tokurei/jobunjun/sochi31_2.html
・措置法32条3項
https://www.keisan.nta.go.jp/r6yokuaru/cat2/cat21/cat218/tokurei/jobunjun/sochi32_3.html
本投稿は、2025年07月13日 01時16分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。