税理士ドットコム - [税金・お金]未払い賃金の遡及支給における住民税の取扱いについて - 未払賃金の取扱として、所得税法上は、どちらの方...
  1. 税理士ドットコム
  2. 税金・お金
  3. 未払い賃金の遡及支給における住民税の取扱いについて

未払い賃金の遡及支給における住民税の取扱いについて

従業員に未払い残業代として支払うことになりました。
当社としては一時金として支払うつもりなのですが、当該従業員からは「一時金だと、次年度の住民税が一気に増加するので納得いかない。年末調整をやり直して各年度分の所得とすべきだ」と言われています。
仮に当該従業員に言われる通り、各年度分の所得として処理したとしても、支払うべき住民税自体の額に変わりはないと思うのですが、実際のところどうなのでしょうか。
ただし、税法的には後者の方が正しい処理であるということは認識してのご質問とご理解いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

税理士の回答

未払賃金の取扱として、所得税法上は、どちらの方法に該当するかによって給与所得の帰属時期が異なります。

① 未払で過年度の残業代を「一時金(精算金等)」として支給する場合
労働基準監督署の行政指導等により労使合意の上支払額を算定し、実質的には損害賠償金(過去の労働の対価に対する精算)として一時に支給する場合は、賞与と同様に支給を受けた年分の給与所得として認識します。この場合は、完全な実額にはならない場合がほとんどです。

② 未払で過年度の残業代を実労働時間に基づき「過年分の給与」として支給する場合
所得税法基本通達においては「支給日が定められている給与等についてはその支給日、その日が定められていないものについてはその支給を受けた日」と規定されています。
過年分の給料を精算する場合は「支給日が定められている給与等」に該当するため、本来各支給日に支払うべき残業手当が一括して支払われたものと認められます。よって、本来支給を受けるべきであった支給日の属するそれぞれの年分の給与所得として認識することになります。
この場合の会社の処理は、既に支払済の給与に未払残業代を加えて、再度年末調整(確定申告)を行い、各市町村に給与支払報告書の再提出を行う必要があります。この結果、過年分の住民税の精算という形で、特別徴収税額変更通知が送付されてきます。

住民税の問題だけではありません。
各年度の所得として処理をすると、
すべての年末調整をやり直し、給与支払報告書も再提出が必要です。
それが4月~6月の給料であれば社会保険についても再提出の調整が必要です。
一時金であれば当期の賞与のような扱いになりますので会社の手間は減ります。
従業員にとってはたしかに過去の修正のほうがいいですが会社の手間はかなり増えるのでそこをどう説明するかです。

回答ありがとうございます。
ご回答いただいた各点(社会保険料も含む)につきましてはいずれも認識していますが、今回は住民税に限った場合のことを知りたいです。一時金として処理した場合と、各年度の所得として年末調整をやり直した場合とで、支払額の差が出るかを教えていただけますと助かります。

支給額の差は出る可能性はあります。
給与所得控除額は所得の金額によって異なるため、
各年度の修正をすることでの給与所得控除額の変動と、
一括で支給したときの給与所得控除額の変動は同じとは限りません。
一般的には一括支給のほうが所得が大きくなり、給与所得控除額は相対的に小さくなりますので住民税の負担は大きくなると考えられます。

ご対応いただきましてありがとうございました。
よく理解できました。今後ともよろしくお願いいたします。

本投稿は、2022年06月16日 08時00分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

この税務相談の書き込まれているキーワード

この相談に近い税務相談

税金・お金に関する相談一覧

分野

人気のエリアの税理士事務所

税金・お金に関する他のハウツー記事を見る

みんなの税務相談

税理士の無料紹介サービス

プロが税理士を無料でご紹介いたします

  • 相談無料
  • 全国対応
  • 24時間受付
税理士紹介サービスの詳細はこちら
累計 相談数
158,348
直近30日 相談数
695
直近30日 税理士回答数
1,364