セラピストで開業して1年弱。節税対策の基本伝授と質問へのご回答をよろしくお願いします!
初めて質問をさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
<質問者の状況>
・会計年度任用職員として週に10時間程度勤務し、手取りで月10万円弱の給与を受け取ってます。
・社会保険は夫の扶養に入っています。(途中、夫が無職の期間があり、国民年金と国民健康保険に3ヶ月ほど加入しました)
・2024年5月から副業でセラピストとしての施術をスタートしました。
・2024年7月にセラピストとして開業届を提出しました。(青色申告は未申請)
・2024年は必要経費を差し引いた収入がマイナスであったため、所得は未申告です。
・2025年の3月上旬に青色申告の申請書を提出しました。
・2025年は現時点で1〜5月の売り上げが計70万円程で、今後も売り上げが増えそうです。
<質問内容>
・質問①
セラピストとして必要な資格を取得するために支払った講座費用は2024年に150万円程度です。
この講座費用を2025年の経費に組みこむことは可能でしょうか?
(2024年の売り上げは50万円弱でした)
・質問②
昨年7月に購入した自宅を、月に10回程度×数時間、講座や施術を行う場所(セラピールーム)として使用しています。
こちらを経費に組み込むことは可能でしょうか?
可能な場合、どのような手順で経費に計上すると良いですか?
簡単な流れを教えてください。
・質問③
セラピストに必要な研修参加のため、移動手段で新幹線や飛行機を利用し、カードで支払いました。
交通費として計上する場合、帳簿に記載する に加えて、カードのWeb明細があれば大丈夫でしょうか?
・質問④
質問者の状況を踏まえて、節税対策の基本として押さえておくべき点があれば、どんな小さなことでも良いので全部教えてください。
質問は以上です。
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

【質問①】
2024年に支払った講座費用(150万円)を2025年の経費にできるか?
→ 原則として不可です。
• 経費は「その年に実際に支出した費用」を「その年の所得と対応させて」計上する必要があり、支払った年(2024年)に計上すべきです。
• ただし、2024年の開業前であっても「開業準備費」として2024年分の経費として申告が可能です。
• 2024年の確定申告を「期限後申告」として提出し、「開業準備費(研修費)」として処理すれば、赤字(損失)を繰り越せます(2025年3月提出の青色申告申請により、2025年分から損失繰越適用可)。
対応策:
→ 2024年分を「白色申告」で申告し、講座費用を経費に計上しておく。青色申告特別控除は使えませんが、2025年の黒字と通算する布石にはなります。
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【質問②】
自宅の一部をセラピールームとして使用している場合の経費計上方法
→ 按分計算により、家賃・住宅ローン利息・光熱費・固定資産税などを一部経費にできます。
【流れ】
1. 使用面積の割合を算出(例:自宅60㎡のうち10㎡を業務用 → 10/60=16.7%)
2. 業務時間割合も考慮可能(例:平日昼のみなど)
3. 対象経費の例:
- 住宅ローンの「利息」部分(元本返済分は対象外)
- 固定資産税
- 水道光熱費
- 通信費(Wi-Fiなど)
【注意点】
・領収書や請求書を保管
・按分根拠(計算メモや図)も保管しておく
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【質問③】
交通費の計上とWeb明細の扱い
→ カードのWeb明細でOKですが、内容を補完するのがベストです。
【理想的な証憑の構成】
1. 交通費の支出日・金額・目的・行先・手段を帳簿に記載
2. Web明細(クレジットカード会社のPDFなど)を保存
3. 旅費精算書形式のメモやカレンダー記録があるとより信頼性が高まる
→ 万一税務調査で聞かれた際、「この出張はどこで何を学んだか」などを示せる準備をしておくと安心です。
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【質問④】
質問者の状況に合った節税対策の基本ポイント
1. 2024年分は白色でもよいので「確定申告」を行う
→ 講座費用など赤字を「開業準備費」として計上し、翌年以降の黒字と相殺できる準備を。
2. 2025年分からは青色申告を活用
→ 青色申告特別控除(55万円 or 65万円)
→ 赤字の繰越最大3年間可能
→ 家事按分の活用(住居費・通信費・光熱費)
3. 帳簿は毎月つける習慣を(会計ソフト推奨)
→ 無料でも「やよいの青色申告オンライン」など便利です。
4. 事業専用の通帳とクレジットカードを用意
→ プライベートとの混同を防ぎ、経費計上の精度・信頼性UP
5. 研修・講座・書籍・機材など、業務に関係ある出費はこまめに記録して経費化
→ 「家計簿的にまとめておく」だけでも後で仕訳しやすくなります
6. 扶養範囲にも注意(夫の社会保険)
→ 年間の「所得(=売上-経費)」が48万円を超えると扶養から外れる可能性がある(配偶者控除や社会保険への影響)
NLTEC税理士事務所
佐藤和樹 様
とても丁寧で分かりやすいご回答をありがとうございました!
何も知らない、分からないところからネットで検索などを始めたところ・・・でしたので、
佐藤様のご回答を拝読し、大変分かりやすく、大変勉強になりました。
会計ソフトの推奨もありがとうございます。
何かしらのソフトは導入しようと思っていましたが、何を選んで良いのかも分からなかったので、ソフト名まで教えていただき、大変有り難いです。導入の方向でソフトをリサーチ&検討します。
佐藤様のご回答を受けて・・・更なる質問が湧いてきました。
ご回答いただけると幸いです。
質問① 2024年の確定申告について
毎年、寄附金控除のために確定申告を行っています。
2025年3月に2024年分は申告済みですが、修正という形で再申告するのが良いでしょうか?
質問② 家事按分の活用について
セラピールームとして使用している自宅は、現金とローンで購入しました。
家の持分は私が7割、夫が3割程度で、ローン(1000万円)は夫名義で組んで返済中です。
この場合、実質の家賃が発生しないため、家賃に相当する金額を経費に入れることは難しいでしょうか?
質問③ 事業専用の通帳とクレジットカードについて
過去に使用していたゆうちょ銀行の通帳を、開業後からほぼ専用で使用しております。
このままでも(新しい通帳を作らなくても)良いでしょうか?
質問④ 扶養範囲について
会計年度任用職員の給与(年110万円程度)+セラピストの所得=年間の所得・・・という認識で合っていますでしょうか?
セラピストの所得が増えているので、今後は自身で社会保険に入ることは必須と考えております。
2024年の確定申告(寄附金控除のため)も申告済みのため、追加の納税などが発生した場合は速やかに対応する所存です。
質問⑤ 按分計算について
使用面積の算出、使用時間の算出後に出た%を、それぞれの項目(固定資産税など)の金額に掛け合わせる・・・というやり方で合っていますでしょうか?
その場合、夫婦で支払った固定資産税に掛け合わせる で良いでしょうか?(私が支払った固定資産税に掛け合わせる・・・でしょうか?)
質問⑥ 開業前に購入したPCについて
お客様とのやり取りでスマホとPCを利用しています。昨年の開業前(開業の約1年前)に購入したPC代も開業準備日として経費に入れることは可能でしょうか?
以上、たくさんありますが、可能な範囲でお答えいただけると助かります。
どうぞよろしくお願いいたします!

【質問①】2024年の確定申告について(修正申告)
→ 寄附金控除の内容に誤りや漏れがあった場合は「修正申告」が可能です。
2025年3月にすでに申告済とのことなので、控除漏れがあるなら「訂正して修正申告」してください。
※還付が増える場合は「更正の請求(提出期限:申告期限から5年以内)」でも可。
【質問②】家事按分・家賃相当の経費について
→ 実際に家賃を支払っていない場合、地代家賃としての経費計上は不可です。
ただし、按分によって「固定資産税」「水道光熱費」「通信費」等を経費にすることは可能です。
ローン返済は旦那様名義なので、金利部分の按分経費化も原則不可(旦那様が事業主でない限り)。
【質問③】事業用通帳・クレジットカードについて
→ 既存のゆうちょ通帳を「実質的に事業専用」として使っているなら、問題ありません。
ただし、プライベートとの混在があると帳簿整理が面倒になるため、今後収入が増えるなら専用口座の開設がおすすめです。
【質問④】扶養範囲・社会保険について
→ ご認識の通り、「給与所得(任用職員)」+「事業所得(セラピスト)」の合算が年間所得です。
社会保険は「年間130万円超 or 月額108,334円超」が加入義務の目安(条件による)。
収入次第では「国民健康保険+国民年金への切り替え」が必要です。
【質問⑤】按分計算の方法
→ はい、面積・時間で算出した按分率を各経費に掛ける方法でOKです。
固定資産税については、原則「実際に負担した人のみ」経費にできます。
→ つまり、「ご自身が支払った金額のうち按分分」を経費に計上するのが正しい方法です。
【質問⑥】開業前のPC代について
→ はい、開業のために購入したPCであれば「開業費」として経費計上可能です。
ただし、10万円以上であれば減価償却資産として扱うのが原則です(耐用年数:4年)。
→ 取得日は「事業に使い始めた日」として処理してください。
NLTEC税理士事務所
佐藤和樹 様
こんばんは。
丁寧で分かりやすいご回答をありがとうございました。
ネットで調べてもいまいち分からない…ことに対する不安が解消されました。
心より感謝申し上げます!
『分からないことは質問・相談する』『分からないまま(不安な状態のまま)にしない』という第一歩が踏み出せて良かったです。
今後も分からないことがでてきたら、
自分で調べたり、こちらの掲示板で質問・相談をさせていただきながら、ビジネスを前に進めて楽しんでいこうと思います。
このたびはありがとうございました!
本投稿は、2025年05月20日 00時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。