合同会社の役員報酬
合同会社の役員報酬について質問させてください。
(1)先週の税務情報誌に合同会社が役員報酬を支払うには定款記載が必要とありましたが会計ソフトのHPには定款記載又は社員総会での決議で支給できるとあります。
定款記載がなくても社員総会での決議だけで支給できますか。
(2)定款記載ですが「役員報酬総額は3,000万円以内とする。」のように上限額を記載し各人支給額は社員総会で決定する方法は可能ですか。
(3)定款記載が必ず必要なとき法務局の定款例のように「業務執行社員の報酬は、社員の過半数の決議をもって定める。」とだけ記載し、社員総会で各人支給金額を決定する方法でも支給可能ですか。
宜しくお願い致します。
回答は、その根拠も教えてください。
税理士の回答

佐藤和樹
【(1) 定款記載がなくても、社員総会での決議だけで役員報酬を支給できるか】
→ 可能です。
「業務執行社員の報酬その他の職務執行の対価は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の同意を得なければならない。」
つまり、定款に報酬の定めがなくても、「社員の同意」があれば支給可能です。
「社員の同意」とは、一般的には**社員総会の決議(過半数)**を意味します。
※税務署等からの指摘を避けるため、議事録等により支給決定を文書化しておくことが重要です。
税務上の「定期同額給与」の要件にも関わるため、支給開始時期や金額、決議日付を明記した文書は必須です。
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【(2) 「役員報酬総額は3,000万円以内と定款に定め、各人の報酬額は社員総会で決定」は可能か】
→ 可能です。
■ 根拠:
定款の定めにより、報酬総額を上限としておき、具体的な配分(個別金額)は社員総会決議で定める運用は、一般に広く行われています。
■ 注意点:
・総額の上限を定款に記載しておくことは可能であり、その配分については会社内部の意思決定(社員総会)で対応できます。
・この方法は、株式会社の株主総会による「報酬総額決議」と取締役会での配分決定の考え方と類似しています。
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【(3) 定款に「業務執行社員の報酬は、社員の過半数の決議をもって定める」とだけ記載し、社員総会で支給金額を決める方法は可能か】
→ 可能です。
■ 根拠:
このような定款規定は、会社法第590条第1項の「定款に別段の定めがある場合」に該当します。
「社員の過半数決議により報酬を定める」という方式を定めたものとみなされます。
そのため、定款に上記のように記載があれば、社員総会(過半数決議)によって役員報酬を決定し支給することが可能です。
■ 実務上の注意:
・社員総会議事録には、支給対象者・支給金額・支給時期・支給方法を明確に記載してください。
・特に「定期同額給与」の取扱いを受ける場合、期首から3か月以内の決議と定期支給が必要です(法人税法施行令第69条参照)。
丁寧にご回答頂き有り難うございます。
だいぶ理解しました。
ところでご回答頂いた「業務執行社員の報酬その他の職務執行の対価は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の同意を得なければならない。」ですが会社法を探しましたがありませんでした。
何法の何条でしょうか。
宜しくお願い致します。
本投稿は、2025年07月22日 16時43分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。