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べスティングの実現の仕方、一般的な方法について教えていただきたいです

友人3人で起業予定で、1年程度でのM&Aによる売却を目指しています。

株式は3人で持つ予定なのですが、万が一、途中で誰かが離脱した場合に備えて、離脱時にはその人の株式の一部を残りの創業者側で買い戻せるような仕組みを作りたいと考えています。

そこでリバースベスティングのように、在籍期間が長くなるにつれて買い戻し対象となる株式を減らしていく方法を考えたのですが、会社の価値が上がった後に未ベスト分を取得価格などの安い金額で他の創業者が買い取ると、時価との差額について贈与税がかかる可能性があると知りました。

一方で、最初から株式を全部渡さず、在籍期間に応じて少しずつ株式を付与していく方法だと、その都度所得税がかかる可能性があると理解しています。

ストックオプションを使う方法も考えましたが、今回は1年程度での売却を目標としているため、税制適格ストックオプションの要件を満たすのが難しく、行使時に給与所得等として課税される可能性があるのではないかと思っています。

このようなケースでは、税務上大きな問題を起こさずに「途中離脱した創業者の持分を減らせる仕組み」を作るには、どのような方法を取るのが一般的なのでしょうか。

また、3人程度で共同創業するスタートアップでは、創業者の途中離脱に備えた株式の扱いについて、実務上は通常どのような設計にすることが多いのでしょうか。そもそもべスティングを取り入れないケースが多いのでしょうか?

一般的な方法があれば教えていただきたいです。

よろしくお願いいたします。

税理士の回答

ご質問のように、創業者の途中離脱に備えて持分の扱いをあらかじめ決めておきたいという考え方自体は、実務上とても自然だと思います。
ただ、日本では米国型のベスティングをそのまま入れるというより、創業者間契約や株主間契約の中で、離脱時の譲渡ルールや買戻し条件を定めておく形で整理することが多いように思います。

一方で、ご懸念のとおり、会社の価値が上がった後に未実現分の株式を低額で買い戻す設計にすると、税務上の論点が生じる可能性があります。
そのため、単にベスティングを入れるかどうかではなく、買戻し価格をどう考えるか、どのような場合に譲渡義務を負うかを含めて、契約全体で設計することが大切になります。

また、最初から株式を段階的に持たせる方法や、ストックオプションを活用する方法も考えられますが、それぞれ別の税務上の論点があります。
特に、短期間での売却を想定している場合には、税制適格ストックオプションは要件との関係で使いにくいこともあります。

そのため、実務上は、創業者3名のスタートアップであれば、ベスティングにこだわるよりも、離脱時の株式の取扱いを事前に合意しておくことが重要であり、その方法は税務だけでなく会社法や契約実務も含めて個別に設計することが多いのではないかと思います。

ご認識のとおり、この問題は日本のスタートアップ実務でも典型的に指摘される論点です。整理すると以下のようになります。
前提の確認
まず、税務リスクの理解は正確です。共同創業者が離脱時に取得価額など時価より低い株価で株式を買い取る場合、発行会社が自社株買いをするときは配当可能原資の範囲内でしか自社株買いができず、株主総会での承認等の手続も必要で、譲渡株価が時価の1/2未満だとみなし譲渡課税のリスクがあり、創業者個人などが取得する場合は時価との差額がみなし贈与として課税対象になり得ます。逆に時価で買い取れば税務問題は避けられますが、資金負担が大きくなる、あるいは会社の場合は配当可能原資の制約という別の問題が生じます。ストックオプションについても、税制適格の要件(付与から行使まで一定期間必要など)を1年程度のexitでは満たしにくく、非適格の場合は行使時に給与所得課税されるリスクがあるというご理解も妥当です。 実務上よく使われている方法
① 創業株主間契約+取得価額での買戻し条項(最も一般的)
最も広く使われているのは、設立時の出資契約に加えて「創業株主間契約」を締結し、離脱時に取得価額(または無償)で株式を買い戻す条項を入れる方式です。この方式が主流である理由は以下です。
・設立直後は株式の時価がほぼ払込金額と同水準(企業価値がまだほぼゼロに近い)なので、設立から間もない時期の離脱であれば、買戻し価格=取得価額≒時価となり、贈与税・みなし譲渡課税のリスクは実質的に小さい
・リスクが顕在化するのは「企業価値が大きく上がった後に取得価額で買い戻す」場面であり、1年程度でM&Aを狙うスキームでは、まさにこのリスクが年を追うごとに高まっていく点に注意が必要です
ほとんどの方はこのリスクを正確に評価しきれないままこの方式を採用しているのではないかと思います。税務署が個々の非上場ベンチャーの創業者間取引を積極的に否認しにいくケースは多くはありませんが、リスクがゼロになるわけではない、という点は押さえておくべきです。
② 会社(自己株式)による買戻し vs 創業者個人による買戻し
・会社が自己株式として買い戻す:贈与税の問題は生じません(個人間の利益移転ではないため)が、①配当可能原資の範囲内でしか実行できない、②譲渡人(離脱者)側で時価の1/2未満の対価だとみなし譲渡課税のリスクがある、という別の制約があります
・他の創業者個人が買い取る:贈与税リスクが正面から生じますが、会社の財務制約は受けません
このため実務では「会社が買い戻す」を基本としつつ、配当可能原資が不足する場合の代替として個人買取りを併用する設計もよく見られます。

③ 譲渡予約権(コールオプション)を使う方法
上記の課題に対応する比較的新しい手法として、創業者間で「譲渡予約権」を有償で設定する方法があります。仕組みは以下の通りです。
・共同創業者が保有する株式について、他の創業者(または会社)が一定の在籍条件を満たさない場合に、あらかじめ定めた価格で買い取れる権利(コールオプション)を、公正なオプション料を払い込んで設定する
権利者が公正な対価(オプションプレミアム)を払っているため、デリバティブ取引として構成でき、行使時の差額は贈与ではなく譲渡所得として整理しやすくなる
・在籍条件を権利行使条件に組み込めるため、実質的にリバースベスティングと同じ経済効果を持たせられる
このスキームの難点は、非上場株式のオプション価値評価(フェアバリュー算定)に専門家費用がかかることです。1年程度のexit志向の小規模スタートアップにとってはコスト対効果が見合わない可能性があります。
御社のようにexitまでの期間が非常に短い場合、精緻な税務設計(譲渡予約権など)のコストをかけるより、以下のような割り切った設計にするケースが多い印象です。
リバースベスティングを段階的(月次・年次で少しずつ確定)にするのではなく、クリフ型(例:一定の重要マイルストーン=資金調達成立やM&A交渉開始までは0%、それ以降は100%)にして、判定タイミングを絞り、価格差が生じる期間・金額を最小化する
買戻し価格を「取得価額」固定ではなく、直近の資金調達時株価や合理的な算定式(簿価純資産など)に紐づけ、時価との乖離を抑える
買戻し義務者を会社と創業者の両方から選べるようにし、配当可能原資の制約に対応できるようにしておく
税務リスクについては契約書上で「差額が生じた場合の税負担の分担」まで取り決めておく(実際に問題が起きた場合の紛争予防)
そもそもベスティングを入れないケースは少なくないです。特に以下のような場合は、フォーマルな(取得価額での買戻しを伴う)ベスティングを組まず、議決権・重要事項の同意権に関する取り決めのみ(役員解任時の株式譲渡努力義務、ドラッグアロング条項など)に留めるケースがあります。
・exitまでの期間が非常に短く、途中離脱・価値上昇のシナリオの発生確率・金額的重要性が小さいと判断される場合
・創業者間の信頼関係を優先し、税務コストや実務負担を避けたい場合
一方で、VCやアクセラレーターから出資を受ける場合は、投資契約・株主間契約の中で創業者間契約の締結(ベスティング条項を含む)を投資実行の前提条件とされることが増えており、外部資金調達を予定しているなら、何らかの形でのベスティング的な仕組みは事実上必須と考えておいた方がよいでしょう。


本投稿は、2026年09月02日 10時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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