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はじめての投資用の一棟アパートの購入にあたり,個人で買うか法人(合同会社)で買うか悩んでいます

本業はサラリーマンで年収1000万円,課税所得700万円。
購入予定の物件は戸数6,耐用年数超えの築古木造アパートで,価格が3300万円,年間家賃収入290~320万円です。
経費,空室率,税金,返済等をシミュレーションした場合,税引前利益が70~150万円,税引き後CFが35~80万円と想定しています(物件価格の建物割合は50%で減価償却は22年で計算,経費は管理費・原状回復・空室欠損・保険等の直接物件にかかわるもののみで計算)。

1棟目が問題なく運営できれば,将来的には2棟目,3棟目と買い進めて行きたいと思っています。
その際には法人を設立したいと思うのですが,最初の1棟目の段階で設立した方が良いのでしょうか(法人の場合は妻,母を役員にする予定。1棟目の段階では利益が大きく出ないので報酬ゼロを予定)。

気になっている点は
・個人で買った場合は物件の戸数が6戸のため事業性規模にならず青色申告ができないので法人に比べて経費面で不利になる。
・個人で買った場合は物件の減価償却が強制的に4年となる(?)ためキャッシュフローが安定せず,売却時の税金も高くなるのでは。
・個人で買った場合,物件を5年以内に売却したくなった時の実効税率が高い。
・法人で買った場合,固定費(税理士費用と住民税)のコストがかかり,1棟の収益だけでは割に合わないのではないか。
・法人で買った場合は消費税還付を行いたいが,物件価格が比較的安いのでもったいないような気がする(もっと高い物件を購入する時に消費税還付を受けたほうが得なのではないか)。
などです。

上記の観点以外に検討すべき事項はどのような点があるでしょうか。
また,総合的に見て個人,法人どちらが良いでしょうか。

どんなご意見でも結構ですのでご教示いただけますと幸いです。

税理士の回答

こんにちは。

ご質問の中で気になった点をお伝えします。

・不動産の貸付けが事業的規模でない場合でも、青色申告は可能です(ただし、特別控除は65万円ではなく10万円)。

・個人の場合、減価償却はおっしゃる通り強制償却ですが、中古耐用年数の適用は任意です。
木造22年の耐用年数を経過している場合、簡便法で見積もると4年になりますが、22年で償却しても問題はありません。

・税引前利益が70~150万円程であれば、おっしゃる通りコスト倒れになる可能性が高いので、現段階での法人設立はあまりお勧めできません。
2、3棟目を購入する段階で設立し、設立後に1棟目を法人に売却しても遅くないかと思います(その際に、法人で1棟目の購入にかかる消費税の還付を受けられるかもしれません)。

税理士ドットコム退会済み税理士

運用利回りが10%程度ですので、修繕費等を見込まれても宜しいのかと存じます。
他、消費税については還付スキームが事実上、防止される判例が最近出ました。特に住居用については、還付を見込まないことが現実的かと存じます。

税理士ドットコム退会済み税理士

将来の計画があるのであれば、法人でよいと思います。
専門家に依頼し、適切なアドバイスを受けられた方がよいと思います。

関田先生、相田先生、富樫先生、ご回答ありがとうございます。
個人で購入した場合でも減価償却を22年とることが可能なのですね。
とても参考になりました。
修繕費についても考慮してシミュレーションしたいと思います。

将来の融資のことも考えると判断に迷います。個人から法人への売却は譲渡税もあるのでかなり難しいとも聞きます。

個人での購入と法人での購入の場合でどのくらいキャッシュフローが異なってくるのか
きちんと計算したいのですが難しいですね。
先生方の回答も参考に、おおむね下記のようになるのかなと思ったのですがいかがでしょうか。
理解の誤りがあればご指摘いただけますと幸いです。

【個人で買った場合】
・青色申告(非事業性)で10万円の控除が受けられる
・不動産の税引前利益70~150万円
・本業年収と不動産所得をあわせた税率は30%程度とすると
 不動産の利益にかかる税金は
 (70-10)×0.3 ~ (150-10)×0.3
 =12~42万円
・よって不動産収入の税引後利益は58~108万円。

【法人で買った場合】
・実効税率22.46%
・均等割7万円
・税理士費用を20万円とする
・利益に応じて生活費(自宅を法人名義で借上社宅とする等して)経費計上
・ただし今後の融資のことも考えて赤字決算は避ける
・不動産の利益にかかる税金は
 税引前利益70万円の場合、40万円ほど経費計上
 税引前利益150万円の場合、120万円ほど経費計上
 どちらも均等割7万円のみかかり、税引後利益は3万円
・生活費を経費にした分が40~120万円の黒字
・よって税引後の実質利益は43~123万円。

よろしくお願いいたします。

税理士ドットコム退会済み税理士

個人の場合の税率は住民税10%は加わっていますね。

他、個人としての融資枠。
  法人としての融資枠。

も異なりますね。これらの試算については、日本政策金融公庫からの融資を受ければよいのかと存じます。しっかり、計画、試算について見ていただけますし、利率条件等も魅力ですから。

一般的に赤字決算は融資に影響しますが、不動産賃貸業の場合は必ずしもそうとは言えません。
赤字の原因が減価償却費や役員報酬等にあり、物件自体のキャッシュフローが回っていれば、特に問題にならないケースも多いです。
大事なのは、利益よりもキャッシュフロー(利益+減価償却費△借入元本返済)と言えます。

また、個人から法人への売却はそれほど難しいことではありません。
先祖代々の土地を売却するのであれば譲渡税の問題は生じますが、購入した物件を売却するのであれば、余程値上がりしていない限りは譲渡税がそれほど多額になることはありません(不動産取得税と登記費用はかかりますが)。
最近では金融機関も、個人から法人への売却に伴うローンの借り換えについて協力的な傾向にあります。

相田先生,関田先生ご返信ありがとうございます。
赤字決算でも不動産の場合は融資で問題にならない場合があるとのことでしたので
減価償却を10年でとって毎年赤字にした場合を考えてみました。

【個人で買った場合】
本業給与と損益通算できる金額は
1年目116万円,2年目~5年目 約22万円,6~10年目 約13万円。11年目以降は黒字なのでゼロ。

10年目までの不動産からのキャッシュフロー手残りは年間約64万円。
13年目以降は繰越欠損がなくなり年間30万円程度。

物件の出口(売却)まで見た時の,個人と法人の違いも考えると
個人は長期譲渡の際の譲渡税が20%なので,
7年目:簿価2216万円,売却金額2800万円の場合117万円の譲渡税。3300万円なら217万円。
10年目以降:簿価1705万円,売却金額2800万円なら219万円,3300万円なら319万円。
※2800万円は土地のみの実勢価格。3300万円は建物含めた購入価格。

【法人で買った場合】
本業との損益通算なし。
10年目までは税務上赤字なので経費計上できるものなし。
12年目から繰越欠損を使い切るので経費での節税が可能。

10年目までの不動産からのキャッシュフロー手残りは
年間64万円-7万円(法人税均等割)-20万円(税理士費用)=37万円。

11年目以降は160~200万円の黒字(元本返済は100~130万),経費計上による最大節税額が37~43万円。
(キャッシュフロー手残り65万円)+(節税額37~43万円)-(均等割と税理士費用27万円)
=75~81万円。

売却時の譲渡税は30%(?)なので
7年目:2800万円で売却すると175万円,3300万円なら325万円。
10年目以降:2800万円なら329万円,3300万円なら479万円。
→おおむね個人の場合より100万円程度高い。

=====
上記のように考えると5年~10年ちょっとで売却する場合は個人での購入が有利,
それ以上の長期で持つ場合は若干法人の方が有利なように思いましたがいかがでしょうか。
誤りや,もっと考慮すべき点がありましたらご指摘いただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

====
また,個人から新設した法人への売却については,
本物件の路線価を調べたところ過去7年でほぼ変動していませんでしたので簿価で売却できるとすると,
譲渡税はゼロにできそうです。
その場合でも登録免許税,不動産取得税,司法書士費用等で75~83万円ほどはかかってしまうようですね。


税理士ドットコム退会済み税理士

個人の場合、不動産所得が赤字の場合は、土地の支払利息は損益通算できませんので、ご留意ください。

税理士ドットコム退会済み税理士

追加融資を受けたい、といった場合においては、黒字にしないと利率が高くなったりすることもありますね。

金融機関に対して何を、どのような資料を準備し説明しなければいけないのか、これを無料で事実上レクチャーしてくれるのが金融公庫です。実際に相談されると勘所が掴めますし、実際に融資してくれる方が何を重視されるかもわかります。動いてみてはいかがでしょうか。

法人で購入する場合には、キャッシュフローが回る範囲内で多少の役員報酬を親族に出してもいいと思います。
役員報酬を出して損益がトントンになるくらいに減価償却費をコントロールします。

法人設立の最大のメリットは親族に所得を分散させることによる節税効果であり、法人は個人の手取り収入を最大化するための手段にすぎないと考えます。

先生方参考になるアドバイスをいただきましてありがとうございます。

富樫先生
個人で赤字の場合,土地の支払利息が損益通算できないとは知りませんでした。
あらためて取引価額の土地建物割合の決め方が重要だと認識しました。

相田先生
金融公庫を含めもう少し多くの金融機関にお話を伺ってみたいと思います。

関田先生
2棟,3棟と物件が増えてキャッシュが多く残るようであれば役員報酬も検討したいと思います。今回の物件のみでは経費計上で損益がトントンになるくらいに調整できそうです。経費をすべて計上してもキャッシュが残ればよいのですが。

今後ともよろしくお願いいたします。

税理士ドットコム退会済み税理士

公庫が一番です。親切ですし、利率も低いし、合理的な判断ですので。他は、都銀も含め、かぼちゃの馬車騒動が有ってから見直しが進むでしょうし同意対応されるかが読めません。個人所得自体が一定水準が無いと今後は難しくなるでしょうから。

本投稿は、2018年06月22日 16時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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