海外収入の日本での確定申告と扶養について(日本でも海外でも居住者)
現在海外に税法上の居住者として滞在しており、収入を得ています。
質問は下記の3点です。
①日本でも住民票を抜いておらず、親の扶養に入っているのですが、海外での収入が103万円を超えた場合は扶養から外れるのでしょうか。
②海外での確定申告は2022年7月分〜2023年6月分となるのですが、日本で2024年に確定申告をする場合はどの年度分を申告すれば良いのでしょうか。
③住民票を日本に置いたまま確定申告をせずに2,3年経った場合、過去に遡及しての申告は可能でしょうか。その場合、扶養についても過去に遡及して影響が出るのでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。
税理士の回答
回答します
双方の国で居住者とのお話ですが、日本の住民票を抜いていないことで、日本の居住者とのご認識でしょうか。
既に1年を超えて海外に居住している時には、日本の非居住者であり、また、出国時に「継続して1年以上居住が必要とする職業を海外に有する(留学も短期ではなく1年を超える場合も該当します)」時には出国の翌日から日本の非居住者になります。
双方居住者になった場合、現在滞在している国と日本の国とで租税条約を締結している場合は、どちらかの居住者になるか判断することになっています(解決できない時は相互協議となります)
租税条約が締結されていない場合は、それぞれの国の主権が関わりますので、双方居住者となり、日本でも居住者としての課税、滞在国でも居住者としての課税となります。(二重課税の調整はありません)
その上で、ご質問にお答えします
1 日本の居住者に該当する場合
① 居住者は「全世界課税」のため、外国で得た収入(所得)も勘案されます。貴方の収入が給与所得の場合は、収入が103万円を超えた場合は扶養からは外れます
② 2024年の確定申告期の申告は、2023.1~2023.12年の所得(収入)が対象となります。(令和5年分)
③ 過去の申告をすることは可能ですが、納税額が算出された場合は、延滞税などのペナルティが生じます。
※出国時は居住者であっても、出国をして1年を超えたときには非居住者になります。原則、確定申告は「居住者」が対象となります。
扶養に関しては、親御様の扶養から外れる場合は貴方の申告を待たずに、親御様は扶養から外されたほうが良いと考えます。
長くなるため続きます
2 日本の非居住者に該当する時
扶養の判断は「合計所得金額48万円以下か否か」が判断基準となっています。
給与所得だけの場合は給与所得控除額が55万円であるため、収入金額が103万円が目安とされる所以となっています。
この「合計所得金額」は居住者に対する考えであるため、扶養控除の対象になるか否かに関しては、収入金額の目安はありません。
ただし非居住者の場合は「国外居住親族」として別の要件があります。
親御様が職場又は確定申告時に、貴方との「親族関係書類」や貴方に対して生活費を送金している「送金関係書類」などの提出をする必要があります。
※ 令和5年から、年齢によってそれ以外の資料も必要となりますので、国税庁hpから説明のチラシを添付しておきます。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0022009-107_01.pdf
② 出国時期や、貴方の所得が「国内源泉所得」に該当するか。また申告を要する所得であるかによっても異なります。
もしも、給与のような役務提供による報酬の場合は、勤務地が海外である場合は日本は課税権がありませんので申告・納税義務はありません。
しかし、日本にある不動産の収益の場合は確定申告義務があります。
対象となる期間は、暦年で考えます(居住者と同じ)
なお、出国した年の出国までの間の「給与所得」や「不動産所得」については、出国前に行うか、納税管理人を立てて確定申告時期に申告をする必要がありました。
③ 過去の申告をすることは可能です。
居住者の場合と考え方は同じとなります。
国税庁HPから参考になる箇所を添付します
「居住者と非居住者の区分」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
「住所の推定」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875-1.htm
「源泉徴収のあらまし」から「非居住者」
国内源泉所得に関しては、7枚目P274の一覧表になっているので分かりやすと思います。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2022/pdf/12.pdf
本投稿は、2023年06月15日 10時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







