課税事業者の個人事業主から正社員になった場合の消費税申告
10年程個人事業主で青色申告をしておりました。
2023年末に就職し2024年は正社員+今までの事業を副業という形で続けております。(※閉業届、青色申告取りやめの届け出は提出しておりません)
副業としての売り上げは給与所得に対して2割程度です。
また、今年度まで消費税の課税事業者です(2年前の売り上げ1000万以上)
①この場合は事業所得として青色申告できるのか?それとも雑所得での申告でしょうか?
②雑所得での申告となった場合は青色申告は使えないという認識です(←あっていますか?)白色申告で雑所得の申告と消費税の申告をするという認識で大丈夫でしょうか。
③青色申告の取り止め届は提出したほうが良いでしょうか。
給与所得+副業の確定申告が初めてなので質問させていただきました。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

矢尾正俊
ご質問ありがとうございます。
給与所得と副業の確定申告について、順を追って回答させていただきます。
①事業所得か雑所得かの判断
2024年の状況は、正社員としての給与所得に加えて、これまでの事業を副業として継続されているとのことですが、この副業は事業所得として扱われる可能性が高いです。
以下の理由から、事業所得として青色申告できる可能性があります。
①10年程度の実績がある継続的な事業である
・閉業届や青色申告取りやめの届出を提出していない
・消費税の課税事業者である
ただし、最終的な判断は事業の実態によります。副業としての売上が給与所得の2割程度であることは、必ずしも雑所得であることを意味しません。
②雑所得の場合の申告方法
・仮に雑所得と判断された場合、ご認識の通り青色申告は利用できません。この場合、白色申告で雑所得の申告と消費税の申告を行うことになります。
③青色申告の取りやめ届について
・現時点では、事業を継続しており、閉業届も提出していないため、青色申告の取りやめ届を提出する必要はありません。ただし、今後事業を完全に終了する場合や、白色申告に切り替える場合には提出が必要になります。
追加のアドバイス
・事業所得としての申告:
現状では、事業所得として青色申告を継続できる可能性が高いです。これにより、青色申告特別控除(最大65万円)などのメリットを受けられる可能性があります。
・消費税の申告: 課税事業者であるため、消費税の申告は必要です。ただし、今後の売上規模によっては、簡易課税制度の選択や免税事業者への移行を検討する余地があります。
・帳簿の継続: 事業所得として申告する場合、これまで通りの帳簿記録を継続することが重要です。
確定申告の際は、給与所得と事業所得(または雑所得)を合算して申告することになります。初めての経験で不安な点も多いかと思いますが、丁寧に準備を進めていけば問題なく申告できるはずです。
継続的に不明な点がございましたら是非ご相談ください。
年末のお忙しいところ丁寧なご回答ありがとうございます。
追加の質問になり恐縮ですが、①のご回答に対して
>最終的な判断は事業の実態によります。副業としての売上が給与所得の2割程度であることは、必ずしも雑所得であることを意味しません。
とのことですが、
今年は売上0の月が6か月ほどあり売上があるのは2、3か月に1回ペースで年間合計80万円程です。この場合、継続した事業ではなく単発での仕事と捉えられないか心配です。
10年継続してきた事業に変わりなく規模が縮小しただけなので事業所得として申告できるなら青色で申告しようと思います。
また仮に、青色申告で申告した後に白色申告で訂正申告を促されるようなことも想定されますか?
度々の質問になり大変申し訳ございませんが、よろしければお手すきの際にご教授頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

矢尾正俊
ご質問ありがとうございます。
追加の情報を踏まえて、改めて回答をさせていただきます。
事業の継続性について
10年間継続してきた事業であり、今年度は規模が縮小したという状況は、事業の継続性を示す重要な要素です。売上が不定期であることや年間売上が80万円程度に減少したことは、必ずしも事業性を否定するものではありません。
以下の点を考慮すると、事業所得として青色申告できる可能性が高いと考えられます:
・10年間の事業継続実績がある
・閉業届や青色申告取りやめの届出を提出していない
・消費税の課税事業者である
・事業縮小の理由が明確(本業への就職による)
ただし、事業実態を明確に示すために、以下の点に注意することをお勧めします:
・帳簿の継続的な記録
・事業関連の経費の明確な区分
・可能な限り事業拡大や収益改善の努力を示す
青色申告から白色申告への訂正可能性
青色申告で申告した後に白色申告での訂正を求められる可能性は、一般的にはそれほど高くありません。特に、以下の点を満たしている場合、その可能性はさらに低くなります:
・適切な帳簿記録を維持している
・事業実態を示す証拠(契約書、請求書など)がある
・過去の青色申告の実績がある
ただし、万が一税務署から質問や調査があった場合に備えて、事業の実態や継続性を示す資料(過去の実績、今後の事業計画など)を準備しておくことをお勧めします。
結論
10年間の事業継続実績と現在の状況を考慮すると、事業所得として青色申告を行うことは十分に妥当であると考えられます。
ただし、事業実態を明確に示すための努力と、適切な記録保持が重要です。
追加の質問にも大変丁寧に分かりやすくご回答いただきありがとうございました。
ずっと悩んでいた疑問点が解決いたしました。先生にご指摘いただいた点に注意しながら申告を進めていこうと思います。
年末のお忙しい中、本当にありがとうございました!

矢尾正俊
ご丁寧なコメントありがとうございます。
参考になったようでなりよりです。
本投稿は、2024年12月16日 12時59分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。