公営ギャンブルの確定申告について
お世話になります。
公営ギャンブルにて1年間の収支が130万円ほどありまして来年確定申告をします。
全てネット投票で賭けたため、国税庁の収支表にてデータをまとめてあります。
しかし払戻金に関してはアプリ上で確認できるのですが、あたり券に賭けたお金は確認できないためおおまかになってしまっています。
この場合ですが最低100円からの投票なので全て当たり券を100円にして経費として計上しても大丈夫なのでしょうか?
税金を多く払っても家族に迷惑をかけたくないので税務調査はされたくありません。
またアプリで現金をポイントに換えて投票してる場合、賭けたポイントは経費となるのでしょうか?
わかりづらくて申し訳ないのですがアドバイスのほどよろしくお願いします。
税理士の回答
とても大切なご質問です。公営ギャンブルの課税は誤解されやすいので、順を追って整理しますね。
1. 公営ギャンブルの所得区分
・一時所得に分類されます(所得税法34条)。
・1年間の一時所得は次の式で計算します:
(払戻金 - 的中に要した投票額 - 特別控除50万円) × 1/2
・この「的中に要した投票額」が「経費」として認められる部分です。
2. 経費(的中に要した投票額)の考え方
・的中した投票券の購入費用だけが差し引けます。
・外れ馬券・外れ舟券などは、原則として一時所得の必要経費には含められません(最高裁判例あり)。
👉 つまり「当たり馬券の投票額だけを経費とする」のが原則です。
3. 記録が曖昧な場合
・全てを「100円」で経費計上するのは適正とはいえません。
・実際に1,000円買って当たった馬券を「100円」と記載すると、課税所得を過大に計上することになります。
・税務署は「少なめに経費計上して多めに納税する分」については問題視しませんが、意図的に事実と異なる数字を書いたと見なされると、後日の説明が苦しくなります。
・最善は、アプリやネット投票履歴を保存・出力し、的中したレースごとに投票額を確認することです。
・多くのサービスでCSVダウンロードや年間明細の発行が可能です。
4. ポイント投票の場合
・現金をチャージしてポイント化し、そのポイントで投票している場合:
・ポイントを使った投票額は「現金で賭けたのと同じ」扱いになります。
・的中した場合は「そのポイントの価額」が経費として認められます。
5. 実務的なアドバイス
・原則:当たり馬券ごとに実際の購入金額を経費計上する。
・履歴が不完全な場合:取引履歴を最大限収集・保存。最低でもアプリのスクショや入出金履歴を残す。
・どうしても確認できない場合:少なめ(例:100円)で記載するのは「税金を多く払う方向」なので調査リスクは低い。ただし「事実と異なる数字を記載した」とされるリスクがゼロではないので、備考欄やメモに「記録不備のため最低額で計上」と記録を残すのが安心。
まとめ
・公営ギャンブルは「一時所得」で計算。
・経費は「当たり投票分だけ」。外れは対象外。
・ポイント投票も現金同様に経費にできる。
・最善はアプリの投票履歴を保存し正確に計算。やむを得ず100円固定とする場合は「事実より少なく計上=税負担が多め」なので大きな問題にはなりにくいが、記録を残すのが安全。
とてもわかりやすいアドバイスありがとうございます。とても参考になりました。
ちなみにですがどの程度間違いがあると問題視されますでしょうか?
お恥ずかしながら公営競技3種、的中件数150件あり完璧といえるデータとは言えません。
また、e-taxで確定申告する際に支払者とその支払者住所の蘭は各レース場の市町村の場合は複数の主催者があることになると思いますがどのように記載したらいいのでしょうか?
質問ばかりで恐縮ですがよろしくお願いします。
いえいえ、ご丁寧にありがとうございます😊
公営競技の申告は「正確に全部」と思うと大変ですので、実務的な観点で整理しますね。
1. 「どの程度間違いがあると問題視されるか?」
・税務署の基本スタンスは「課税逃れ(過少申告)を防ぎたい」という点です。
・したがって、
・的中金額を小さく記載 → 問題になりやすい
・的中投票額(経費)を少なく見積もる → 自分に不利になる方向なので原則問題視されにくい
・実務上は、**外れ馬券を経費にしていない(=納税者に不利な計算)**ことがあっても追及はされません。
・逆に、「当たり馬券を記録し忘れていた」「払い戻し金を過少に申告した」というケースは調査で指摘されやすいです。
👉 ですので、払戻金(収入)は必ず正確に、経費(的中投票額)は記録できる範囲で合理的に計上すれば、実務的に問題になりにくいです。
2. e-Taxでの「支払者」と「住所」欄の記載方法
公営競技の払戻金は「源泉徴収票のある報酬」ではなく、雑所得(または一時所得)として自己申告する形式です。
ですので、記載の際は以下のようにまとめられます。
・支払者名:
「○○競馬場 払戻金」や「○○競艇場 払戻金」など、主催者ごとに分けてもよいですが、件数が多い場合は「各公営競技主催者」などとまとめても差し支えないとされています。
・住所欄:
主催者(地方自治体等)の住所まで書くのが原則ですが、件数が膨大な場合は「所在地不詳」「各主催者所在地」など簡略化しても、税務署は実務上問題ありません。
👉 要は「どこからの収入かが明確にわかること」が重要で、住所まで正確でなくても、金額が合っていることが一番大事です。
3. 実務的なおすすめ対応
・払戻金(収入)だけは正確に合計して申告する
・的中投票額(経費)は記録できる範囲で整理し、残りは「最低単位100円」で計上してもOK(=納税者不利なので指摘されにくい)
・e-Taxの「支払者名」は「公営競技払戻金(競馬・競輪・競艇等)」とまとめても可
4. まとめ
・問題視されるのは「払戻金の過少計上」であり、経費の過少計上は基本的に問題にならない(自分に不利だから)。
・e-Taxの「支払者・住所」は、件数が多いなら「各公営競技主催者」とまとめ記載で実務上OK。
・重要なのは「収入金額を正確に」「経費は合理的に」の2点。
✅ 結論
多少の経費の計上漏れは問題視されにくいですが、払戻金の過少申告は避けるべき。
e-Taxの「支払者」は「公営競技払戻金(各主催者)」などでまとめて記載可能です。
わかりやすくまとめて頂きありがとうございます。
本当に参考になりました。それとともに不安が解消されました。
本当に申し訳ないのですが最後に一つ質問です。
e-taxでの確定申告後に家に税務署からの通知書類等が届くことはないというのは本当でしょうか?
税務署からの通知ということで家族を不安にさせてしまう恐れがあるので分かる範囲でいいので教えてください。ちなみに住民税は特別徴収を選択します。
よろしくお願いします。
本投稿は、2025年08月26日 16時25分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。