損益通算するタイミング
給与所得と不動産の損失分を損益通算するタイミングについてご相談があります。
昨年まで海外居住者でしたが、今年から、日本の給与が発生しますがこれは雇用主が年末調整します。
一方、令和3年から、毎年、不動産所得がありますが、赤字のため、毎年損失申告しています(土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分ではありません。)
給与所得と、不動産所得を損益通算したいのですが、今年より来年の方が、給与所得は大幅に増える見込みです。不動産は来年も赤字です。
今年は損益通算せずに、不動産の損失申告のみおこない、来年度から、給与所得と損益通算を行う事は可能でしょうか?
追加質問:ふるさと納税と、損益通算を同時に行う事は可能でしょうか?
ご回答、よろしくお願いします。
税理士の回答

今年の不動産所得の赤字を給与所得と損益通算せず、翌年に繰越ししたいという趣旨のご質問であれば、結論は不可です。
青色申告の場合、純損失の繰越し制度がございますが、
赤字の翌年への繰越しは、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額が生じたときに、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除するという規定となっております。
よって、不動産所得の赤字と給与所得を損益通算してそれでも赤字が残る場合にはじめて翌年に繰り越せる制度ですので、今年の給与所得と損益通算せずに繰り越すことは不可です。
なお、損益通算を適用してもふるさと納税制度は適用可能です。
◆ご参考
・No.2070 青色申告制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
早々のご回答ありがとうございます。
理解しました。
ちなみに、令和3年から、不動産所得の毎年赤字を繰り越してきましたが、令和6年まで、海外に居住しており、日本の住民票も抜いていました。
赤字を繰り越せるのは「居住者」であることの文言を見ました。
日本の居住者でなかった期間(R3-6)は、納税管理人を立てて、不動産の確定申告をしておりましたが、この期間に繰り越した赤字分は、損益通算できないという事でしょうか?
令和7年6月から、日本に居住しており、今後も居住する見込みです。

純損失の繰越控除の規定は、所得税法70条において、「確定申告書を提出する【居住者】のその年の前年以前三年内の各年・・・と規定されており、相談者様のご覧になった文言もそこから来ていると思います。
一方で、非居住者についても、所得税法165条において、上記規定を準用する旨の規定が設けられており、所定の要件(損失発生年における青色申告書の期限内提出及びその後の連続した確定申告書の提出)を満たしている場合には、純損失の繰越控除の適用があります。
但し、繰越し可能期間は3年間ですので、令和7年分の確定申告においては、令和4年分、令和5年分、令和6年分の損失が繰越控除の対象となります。
詳細にご回答いただき、ありがとうございました。よく理解できました。
本投稿は、2025年09月28日 10時05分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。