株式異動証明書中の有償増資の扱い方について
お世話になります。
相続した株式の取得価格を算定しようと、株式異動証明書を取り寄せました。
最初に1964.9.18名義書換2000株とあるので、この時に取得したものと思われますが、1969.3.2に有償増資500株があり都合2500株になりました。
この場合の、取得額の算定はどのようにすればよいのでしょうか?
よろしくご教示ください。
税理士の回答
ご質問ありがとうございます。
株式異動証明書に記載された
1964年 名義書換 2,000株
1969年 有償増資 500株
この2点から、取得株式は合計 2,500株 と判断できます。
大事なのは、“2,000株と500株は取得時期が異なるため、取得価額は別々に計算する”という点です。
①名義書換(1964年)の2,000株
これは、贈与、相続、売買、単なる名義変更のいずれの理由で移転したか によって取得価額が異なります。
取得価額の原則
相続で取得したものなら→被相続人の取得価額を引き継ぐ(相続税法57条)
贈与なら→贈与者の取得価額を引き継ぐ(相基通19-2)
売買なら→実際の購入価額
名義書換だけで移転したもの(真の所有者変更なし)は →元の所有者の取得価額を引き継ぐ
つまり、
1964年の2,000株は、“当時の実際の取得価額”を知る必要があります。
株式異動証明書だけでは取得価額は分からないため、可能なら会社へ 「旧株式の払込価額」「当時の資本金の額」 の資料があるか確認すると良いです。
②有償増資(1969年)の 500株
こちらは簡単です。
有償増資の取得価額は払込金額がそのまま取得価額(法人税基本通達・相基通9-2)とします。
たとえば1株あたり払込金額1,000円なら、
500株×1,000円=50万円
これが500株分の取得価額になります。
③最終的な取得価額は「合算」ではなく“2本建て”で管理します
重要なのは、
1964年分:2,000株 → A取得価額
1969年分:500株 → B取得価額(=払込金額)
というように、取得価額は2つのブロックとして管理する必要があります。
相続税評価でも、譲渡所得計算でも、取得価額は“株式ごとに原価法で積み上げる”ため、混ぜて平均化してはいけません。
④まとめ(相談者様がやるべきこと)
1964年取得分2,000株の「実際の取得価額」を確認する
過去の払込証、譲渡契約、株券裏書、会社側の登記簿など
不明な場合は、会社に「当時の1株当たり払込金額」を確認
1969年の有償増資 500株は「払込価額=取得価額」
計算は合計せず、別々に管理することが重要となります。
詳細なご説明ありがとうございます。
実は、相続した株なのですが、そもそもは売買により取得した株だと考えております。
当時の単価はと東京証券取引所の日報から確認できました。
その後、2500株については恐らく売却されていて現在は20株のみ一般口座に残っています。
他の銘柄も併せて、相続税で取得費が相殺される3年間の間に処分したいと考えているのですが、確定申告が必要で、この20株の取得単価が知りたいのです。
最終的にどのように計算するのが正解なのかご教示いただける幸いです。
① 結論
現在の20株の取得単価は、“2,000株+500株の原価を起点に、過去の売却ごとに移動平均法で更新した最終平均単価” になります。
個別ロット(1964年・1969年)の原価をまず確定し、その後は売却のたびに平均単価を更新していくのが税務上の正しい流れです。
② 計算の正しい順序
・起点となる原価(ロット別に確定)
1964年購入 2,000株→ 当時の購入価額(TSE日報+手数料)
1969年 有償増資 500株→ 払込金額そのまま(取得価額)
ここまでが「ロット別の原価」。
・ 2,500株分の総原価を合算し、最初の平均単価を出す(=移動平均のスタート地点)
初期平均単価=(2,000株の取得価額+500株の取得価額)÷2,500株
その後の売却ごとに、移動平均法で原価を更新
一般口座は移動平均法が税務上のルール(所得税法施行令48)。
新しい平均単価=(売却前の残原価 − 売却株数×現在の平均単価)÷残株数
これを繰り返し、最後に残った20株の平均単価が確定取得価額となります。
③ 相続税の「取得費加算」を使う場合
相続税申告期限の翌日から 3年以内 に売却すれば、その銘柄に対応する相続税額を 按分して取得費に上乗せできます。
取得費加算額= 相続税額 ×(当該銘柄評価額の割合)×(売却株数/相続時保有株数)
※ これを取得費に足して確定申告します。
詳細なご説明ありがとうございます。
2000株の購入に対する手数料はどうすれば把握できるでしょうか?山一證券だと思います。
よろしくお願いします。
① 結論
山一證券の手数料は、原則として“当時の売買資料が残っていなければ再取得はできません”。
ただし、代替的に合理的な単価を求める方法があります。
② 手数料を把握するための現実的な方法
方法1:会社側(発行会社)に「当時の株券発行・払込記録」が残っていないか確認
売買手数料そのものは出ませんが、払込金額(=取得価額の基礎) が分かるケースがあります。
方法2:当時の新聞(日本経済新聞)・証券取引所日報・証券年鑑
当時の売買価格は日報で判明済とのこと
手数料は日報には載りませんが、当時の標準手数料率の一覧が証券年鑑に残っている場合があります
→ 大型手数料体系で、“売買代金 × 〇% + 固定料” の仕組みが一般的でした。
※山一證券は1997年破綻済のため、証券会社に問い合わせても資料はありません。
方法3:当時の一般的な手数料率で“合理的推計”を使う
税務上、取得価額は“合理的に算定できれば推計が認められる”(所得税法36条)。
例えば1960年代後半の大手証券の手数料率は
概ね 約0.5〜1.0%台 が多く、少額株式では固定手数料部分もありました。
→ この範囲で 合理的な推計値を使って取得価額を計算することが実務上可能です。
方法4:どうしても不明な場合は「概算取得費(5%)」という最終手段
譲渡価額の5%を取得費とする方法
(所得税法48条)
これは不利になることが多いため、推計法が使えるなら推計が望ましいかと思います。
本投稿は、2025年11月23日 09時37分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







