イギリス留学時におけるフリーランス執筆業に関する税金などの扱いについて
Tier4VISAを取得し、イギリスに約2年間留学する予定でいる者です。
現在は執筆業のみで、日本国内の会社から仕事を請け、報酬を得ています。
Tier4VISAの規約では、イギリスにおいてフリーランスでの就労が禁じられていますが、日本国内の会社から仕事を受ける場合はこれに該当しないものと考えます。
しかし留学中も日本の会社から仕事を受け続けた場合、税金はどこに収める必要があるのでようか? 日本の税務署に聞いてみると、今までの通り、個人事業主の届け出を出していた日本の税務署で申告するように言われています。
よって、イギリスで日本の会社から仕事をうけたばあいでも、イギリスへの納税義務はなく、日本へこれまでのとおり確定申告をしていれば大丈夫という認識ですが、この認識に誤りはありますでしょうか? 教えていただけますと幸いです。
税理士の回答

留学ということは、通常1年を超えて日本に居所を有しなくなりますので日本の「非居住者」、イギリスの「居住者」に該当します。
この場合、日本では特定の「国内源泉所得」が課税対象となり、イギリスでは、日本で得た所得も含めた所得が課税対象となります。(全世界課税)
執筆による収入は、原則「著作権」の譲渡若しくは使用料に該当すると推察します。
日本に支店などの「恒久的施設」を有しない非居住者に対し、著作権の譲渡若しくは使用料を支払う者は、その報酬を支払う際に所得税を源泉徴収します。また、報酬等を受け取る非居住者は確定申告等は不要となります。(源泉分離課税)
ただし、日本とイギリスとの間には「日英租税条約」が締結されており、著作権の使用料は免税となっています。(譲渡は国内法で課税となります。)
そこで、「租税条約の届出書」に英国の課税当局が発行した「居住者証明書」を添付した「特典条項の付表」を事前に支払者に提出することにより、使用料に関しては源泉徴収は不要となります。
なお、貴方はイギリスでの「居住者」となりますので、イギリスでの納税が必要となると思われます。
なお、著作権の譲渡として、日本で課税された所得に関しては支払者をつうじて「源泉所得税の納税証明書」を入手し、イギリスで「外国税額控除」を受けることになります。
イギリスでの課税方法及び「居住者証明書」に関しては、イギリスの課税当局にご確認ください。
税務署の方は、貴方が日本の非居住者に該当することについて、錯誤があったのではないでしょうか。
なお、貴方は居住者期間の「確定申告」を出国までに行うか、納税管理人を選択し届出書を税務署に提出することにより、翌年の確定申告期間に確定申告をすることになります。
参考に国税庁のHPをご覧ください。
「居住者・非居住者の区分」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
「非居住者に対する課税のしくみ」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2873.htm
「国内源泉所得」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2878.htm
「租税条約に関する届出書(使用料)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/pdf2/252.pdf
「特典条項の付表(英国)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/pdf2/267.pdf
「居住者証明書(英国の課税当局に証明してもらう様式)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/joyaku/annai/pdf2/y_17.pdf
本投稿は、2019年06月24日 04時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。