個人事業主の海外移住について
個人事業主(副業)です。
この度、本業の会社の都合により、海外に移住します。
移住後は、海外の駐在事務所に所属して働きながら、副業も続ける予定です。
その場合、
・個人事業主の廃業は必要か
・渡航までの住民税(個人事業主として稼いだ分にかかる、住民税。会社給与分の住民税は会社が納税)をどう支払うか
・そのほか、渡航までに稼いだ分にかかる税をどの様に納税するか
・海外移住後に発生する個人事業主として稼いだお金は、どのようにどこに納税するか。あるいは税が発生するのかしないのか
以上を知りたいです。
事業は、ライターをしています。オフィスはもともとございません(オフィスなしのフリーランス個人事業主)
ご確認よろしくお願いいたします。
税理士の回答

土師弘之
給与所得以外の所得がある場合で、1年の途中で海外勤務等になったときは、原則として出国までの所得について確定申告する必要があります。
確定申告が必要となる場合には、納税管理人を定め、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を、その人の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。
ただし、納税管理人を指定しないケースも認められますので、納税管理人の有無によって申告の仕方が変わります。
イ 出国の時までに納税管理人を指定した場合
その年1月1日から出国する日までの間(以下「居住者期間」といいます。)に生じた全ての所得と、出国した日の翌日からその年12月31日までの間(以下「非居住者期間」といいます。)に生じた国内源泉所得を合計額について、翌年2月16日から3月15日までの間に納税管理人を通じて確定申告及び納税をする必要があります。
ロ 納税管理人を指定しないで出国する場合
居住者期間に生じた全ての所得について、出国の日までに確定申告(準確定申告)をする必要があります。
そして、この準確定申告をしたとしても、非居住者期間に国内源泉所得が生じる場合には、居住者期間に生じた全ての所得と非居住者期間に生じた国内源泉所得との合計額について、納税管理人を通じるなどして、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告及び納税をする必要があります。
なお、住民税は、1月1日現在に住民票のある地方公共団体で、前年の所得に対して課税されるため、今年の所得に係る分は、来年1月1日現在では日本にいないわけですから、当然、課税されません。
海外移住後については、どこで仕事をしたかによって、申告・納税すべき国が決まります。日本国内で仕事をしていなければ、日本での非居住者期間の国内源泉所得はないことになります。
また、将来、帰国の予定があるのであれば、確定申告により出国の事実がわかるわけですから、廃業とする必要はないと思われます。
大変分かりやすいご回答をありがとうございます!
非常に参考になりました!!
ただいま、頂いたご回答に基づいて準備を進めています。
納税管理人の選出で「所得税」「消費税」の2項目があるのですが、
個人事業主(副業でのライター)の場合は、所得税のみで良いのでしょうか?
消費税の扱いがよく分からなく…
お伺いできますと大変幸いです。

土師弘之
昨年度まで、消費税の申告・納税義務者になっていますか(前々年の課税売上高が1,000万円を超えていますか)。
そうでなければ、所得税のみの届出で問題ありません。
丁寧なご回答、誠にありがとうございました。
消費税の件も含め、詳しく理解することができました。
しっかりと事前の準備を進めたいと思います。
本投稿は、2020年10月15日 14時40分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。