太陽光発電開始に伴う消費税還付、確定申告等
私は会社員で2008年より以前居住していた区分マンション1戸室を転勤に伴い賃貸に出しており不動産収入(非課税)が年間100万円程あります。事業的規模には至らないため開業届は出していませんが、青色申告承認申請書を出しており10万円控除を受けて確定申告をしています。
上記については、個人として居住していたマンション戸室を居住目的の第三者に賃貸したため、家賃は非課税取引と考え、消費税課税事業者の選択届出書も提出しておりませんでした。
今般、2021年6月に2000万円程度の野立ての太陽光発電設備(出力は50kw未満ですが、土地は賃貸でフェンス等で囲い一定の管理を実施)を個人で購入して、事業所得を有する個人事業主として開業し、消費税還付を受けたいのですが、過去から不動産所得を得ていた点が障害とならないか、また下記の手続きで問題ないか教えて頂けますでしょうか。年間の売電収入は200万円程度です。
1. 開業届(売電開始日を開業日として、開業日から1ヶ月以内)と消費税課税事業者選択届出書(太陽光設備の購入の意思決定をする前に業者と接触を開始した2021年5月中旬を開業日として、2021年12月末まで)を提出する。
※1 この点、国税庁HPには「事業を開始した日の属する課税期間から消費税簡易課税制度選択届出書又は消費税課税事業者選択届出書に係る制度を選択する場合には、これらの届出書をその事業を開始した日の属する課税期間の終了の日までに提出すれば、その課税期間から選択することができます」との記載がありましたが、以前より非課税と認識していたものの不動産所得を得ていたことで、すでに2008年当時から「事業を開始していた」と税務署から判断され、選択届が受理されないことはないでしょうか。
※2 以前、不動産所得を申告する際に青色申告承認申請書を提出ずみですが、今回事業所得を新たに申告するために、改めて青色申告承認申請書の提出は必要でしょうか?
2. 2021年の所得税を2022年の3月に申告し(給与所得と不動産所得と事業所得)、事業所得については、65万円控除を受ける。同時に消費税の申告を行う(非課税の不動産収入の割合が多いので個別対応方式を選択)
3. 2022年5月頃に消費税の還付を受ける。
4. 2024年より免税業者に戻るため2023年12月31日までに
消費税課税事業者選択不適用届出書(第2号様式)を提出する。
以上、よろしくご回答をお願いします。
税理士の回答
1.合っています。
※1の事業を開始した日というのは、課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日です。(消費税法施行令20条1項)
家賃収入が全て非課税売上であれば、事業を開始した日の属する課税期間は2021年です。
なお、課税事業者選択届出書は今年の税務署開庁日中に提出する必要があります。12月末は閉庁日ですが、消費税の届出書は翌年1月4日に繰り越すことができないということです。
※2不要です。
2.不動産所得は10万円控除、事業所得は65万円控除ではありません。65万円控除(e-taxの場合)のみとなり、控除の順番は不動産所得、事業所得です。例えば、不動産所得で15万円控除したら、事業所得の控除は50万円になるということです。
3.時期ははっきりわかりませんが、概ねその通りです。(確定申告書作成コーナーでは申告書提出から1.5カ月程度となっていますが)
4.こちらも2023年の税務署開庁日中に提出する必要があります。12月31日が閉庁日なので翌年1月4日に繰り越すという形ではありません。
なお、太陽光発電は調整対象固定資産に該当しますので、課税売上割合の変動による調整が必要です。詳細は以下をご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6421.htm
また、高額特定資産にも該当しますので、簡易課税制度の選択もできません。
上記の回答は、太陽光発電が事業所得と認められることを保障するものではありません。資源エネルギー庁では、出力50kw以上の場合は、一般的に事業所得に該当するとしていますが、最終的には税務署の判断になります。開業届を提出すれば必ず事業所得になるという訳ではありません。
雑所得であっても消費税の手続きは事業所得の場合と同じですが、青色申告特別控除の適用はありません。
前田先生、早速ご回答をありがとうございました。
・青色申告控除の15万円と65万円の控除は、それぞれ不動産所得、事業所得ごとに適用されると勘違いしておりましたので、重複適用ができない点および適用の順序が不動産所得→事業所得となる点についてはご教示いただき本当に助かりました。
・調整対象固定資産の件は、3年間の消費税課税事業者の期間に税抜き100万円以上の調整対象固定資産を新たに取得した場合に非課税事業者に戻れる時期が先延ばしになる可能性があるとの理解で概ね合っていますでしょうか?
訂正させていただきます。
当初のご質問で個別対応方式を選択するという記載を見落としていました。
個別対応方式の場合、調整対象固定資産に係る調整はありません。
従いまして、追加質問の二つ目は関係ありません。
前田先生
早速のご回答をありがとうございました。承知いたしました。
説明が不足してましたので追記します。
太陽光発電の取得は課税売上に対応する課税仕入となりますので、調整対象固定資産の調整はありません。
調整対象固定資産の調整は、個別対応方式のうち共通課税仕入としたものと、一括比例配分方式を採用した場合に必要になります。
課税事業者選択届出に課税事業者となった場合は、税抜100万円以上の調整対象固定資産を追加取得した場合に更に課税事業者が3年間延びるのは、2021年と2022年の2年間に追加取得した場合です。(消費税法9条7項)
なお、調整対象固定資産でも税抜1,000万円以上のものを課税事業者の時に取得した場合は、取得した年から3年間課税事業者が強制適用となりますので、課税事業者の期間が延びます。
高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例は、以下をご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6502.htm
本投稿は、2021年06月27日 18時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。