米国人の税金、確定申告、外国税額控除について
税理士さんによって 外国税額控除が使えると言う方と、使えないと言う方と真っ二つに分かれていて、困っています。
どなた様かご教示頂けると幸いです、宜しくお願い致します。
こちらのサイトで当方と全く同じ状況の方の質問を見つけました。
「現在日本在住のアメリカ人の夫は、在宅勤務でアメリカの会社に勤めています。給料も全てアメリカの口座に支払われています。税金はアメリカの会社から引かれているのですが、日本でも税金を支払う必要がありますでしょうか?」
こちらのサイトの税理士さんは
「米国で所得税が課税されているようであれば、確定申告の際に外国税額控除という制度で、二重課税を排除して精算します。日本で納税すべき所得税から控除する、ということになります。」
2017年の回答です。
当方の相談した税理士さんには、「フリーランスで雇われていて(給与受け取りもアメリカの口座)、自分でアメリカに納税しているのであれば日本で外国人税控除はできる、アメリカの会社に雇われていてアメリカの会社がアメリカの税金を給与から引いているのならできない。」との事だったのですが、詳しい理由はメールでの相談料の文字数の制限なのか教えて頂けませんでした。
またアメリカの企業に雇われている在日歴2年目の米国人の知人が日本で確定申告をした際は外国人税控除はできた、と言っていました。
どちらが正しいのか教えて頂けますでしょうか?
税理士の回答
日本の居住者ということですから日本では全世界所得となります。
日本では租税条約が国内税法に優先されるとされているので、お聞きする限り国外(米国)源泉所得に対する米国の課税なので、日本での外国税額控除適用の対象となります。
受け取った年度に源泉されているのであれば、既にその年度に納税しているのですから(後に米国の方で還付があれば、翌年の日本の申告において調整が必要)、その年度において外国税額控除できると思います。
源泉はされず米国の確定申告により米国で納税するのであれば、翌年での納税となり、日本では納税していない年度において実際に外国税額を控除することはできません。外国税額控除の適用はできますが、翌3年間の繰越期間の間に発生した税額から控除可能です。
したがって、日本で外国税額控除を適用しても結果として米国で納税した税額を控除できず、二重課税となる可能性があります。
日本の確定申告で、3年の繰越を含めて二重課税解消できることが確実であれば、そのようにされるべきかと思います。
日米租税条約上、正しくない手法ということになるかもしれませんが、日本では外国税額控除を適用せず、米国ですべての所得を米国外源泉所得として外国税額控除する、ことも日米租税条約の規定上(米国国内法にも同様の規定があるかもしれません)、認められているようです。
つまり場合によっては、税務戦略的に、日本ではあえて外国税額控除を適用せず、米国で適用する(その方が納税者有利、二重課税回避になる場合)、ということも考えられます。
日本で、将来3年の繰越を含めて外国税額控除適用できる(租税条約上は、「すべき」)としても、それをあえてしないからといって、日本の税務当局に指摘を受けるということは、日本に限定して考えれば納税者不利ですから、まず考えにくいです。
他の会計事務所が業務を引き継ぎ、過去の申告書をみれば、「なぜ外国税額控除を適用していないんですか?」という質問が来るかもしれませんが、税務署からわざわざそんなことを聞いてくることは考えられません。
米国人は、米国の特殊な税制により、米国外居住者となる場合はどうしても二重課税の問題が生じ、その解消が難しい場合が多く生じます。日本の専門家、米国の専門家それぞれ別々に聞いても、それぞれの答えが返ってくるだけで、納税者にとって本当の解決にならないこともあります。
在日米国人の方の日米申告は、所得が大きければ多いほど、所得の種類が多ければ多いほど、難易度が高くなると思います。しかるべき方々に相談なさった方が宜しいかと思います。
とても分かりやすく丁寧に説明して頂きありがとうございました。
大変勉強になりました。
本投稿は、2022年01月09日 19時22分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。